国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2019-05-21 13:16

(連載1)丸山議員戦争発言問題を考える

倉西 雅子 政治学者
 日本維新の会の片山虎之助共同代表と馬場伸幸幹事長の両氏は、除名処分とした丸山穂高衆議院議員の「戦争発言」について、ガルージン駐日ロシア大使に陳謝したと報じられております。近く、松井一郎代表も北海道を訪問して元島民に直接謝罪する方針を示しており、同党は謝罪行脚の様相を呈しております。加えて、野党6党は丸山議員の辞職を求める決議案を衆議院に提出していますが、この一件、しばし考えてみる必要があるように思えます。

 「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」という同議員の発言を聴きますと、‘北方領土をロシアから取り戻すための唯一の方法は戦争しかない’と考えている節があります。しかしながら、望みは薄いとはいえ、日ロ交渉を通して北方領土の全島が返還される可能性はゼロではありませんし、司法解決という手段も残されています。元島民の方に対して戦争一択への同意を求めるような発言には、確かに首を傾げざるを得ません。

 その一方で、同発言は、議員辞職に価するほどの許されまじき発言なのか、と申しますと、同議員が主張するように、言論の自由に関わるだけに慎重な扱いが必要です。辞職を要求する側の言い分としては、新党大地の鈴木宗男代表の弁を借りれば、「政治家の究極の目的は世界平和。戦争による解決を持ち出す発想はあり得ない。」ということなのでしょう。

 日本国憲法の第9条には、‘国際紛争を解決する手段’としての戦争を放棄していますので、特に強い反発を招いたのかもしれません。しかしながら、国際社会は不変ではなく、自国を取り巻く状況が暗転すれば、日本国もまた、その変化への対応を迫られる可能性はあります。例えば、国際法秩序が崩壊し、国家間の合意を意味する条約や協定も紙屑となるような時代ともなれば、武力のみが解決手段であった時代に逆戻りすることでしょう。国際社会が無法地帯となった場合には、日本国もまた、最後の命綱が防衛力となるケースも想定され得るのです。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム