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2019-07-24 10:24

(連載1)機能不全に陥るWTO

赤峰 和彦 自営業
 筆者に寄せられた情報筋の話によると、「韓国政府は日本に対する強気の発言とは裏腹に、八方塞がりであることを自覚しており、どうしたらいいのかわからない」というのが真相のようです。韓国は、頼みとするアメリカの仲裁も期待できず、国際社会からは北朝鮮やイランを支援するテロ支援国家の烙印を押されそうになっている状況では、WTO(世界貿易機関)に救いを求めるほかはありません。日本産水産物に対する韓国の輸入規制に対して、本年4月にWTO上級委員会が日本の主張を退けた幸運を再び当て込もうとするしか方法はありません。
 
 すでに韓国はこの時の担当者らを集め、「日本の措置は元徴用工訴訟判決に対する政治報復であり、自由貿易の原則に反する」との観点から提訴の準備をしていると言われています。これに対して日本は、「安全保障上の理由から韓国へのこれまでの特別扱いを止め、一般の国並みに書類審査、検査を厳格化するだけなのでWTOに違反しておらず、提訴の対象にならない」とし、仮に韓国の提訴が受理されたとしても、日本が敗訴することはないと主張をしています。
 
 WTOは、物品貿易、金融、情報通信、知的財産権やサービス貿易も含めた包括的な国際通商ルールを協議する場で、閣僚会議、一般理事会(このなかに紛争解決機関としてパネルと呼ばれる小委員会、最終判断となる上級委員会がある)などで構成されています。161の国と地域が加盟し、本部はスイスのジュネーヴにあり、職員数はおよそ640人。アメリカだけが唯一の拒否権を持ち、資金分担率は米国が22%、日本は8.564%となっています。
 
 本年6月末に大阪で行われたG20では、WTOの上級委員会が紛争解決機関の役割を果たしていないことが問題視されました。これは上級委員会が、「WTO加盟国の与えた権限を超えて不当に加盟国の政策裁量を制限している」との理由のようです。実際、WTOの現状をよく知る友人は次のコメントを寄せています。「WTOは古いルールにこだわり、変化に対応することができない機能不全に陥っています。必ずしもWTOに権威があるわけではありません。WTOのトップもスタッフも役人仕事をする人物達です。福島県の農産物を韓国が輸入拒否した時もWTOは韓国に軍配を上げたくらいですから。韓国政府が真っ先にWTOに訴えようとした背景にはそうした事情があるわけです」(つづく)
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