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2019-07-30 00:00

(連載1)日韓財産請求権協定に「穴」はない

緒方 林太郎 元衆議院議員
 いわゆる徴用工問題について、韓国は一切の「白洲」での議論を拒否しています。仲裁手続の委員選出に関するすべての手続きを拒否してきました。ベースとなる日韓財産請求権協定はとても精緻に出来ています。協定の解釈に問題がある時はまず「外交上の経路」で解決しなさいとなっています。しかし、それで解決できない時に仲裁の仕組みを設けています。仲裁とは、仲裁委員会を作ってそこに解決を委ねるという事です。そして、その仲裁委員会の判断には両国とも服することになっています。なので、仲裁委員会の作り方が大事な攻防戦になります。
 
 仲裁委員会の作り方の仕組みは、ちょっと難しいですが論理的にできています。順を追って説明しますのでお付き合いください。まず、仲裁要請を韓国が受け取ってから30日以内に、日韓両国はそれぞれ1名の仲裁委員を任命します。そして、そこから更に30日以内に日韓の仲裁委員間で、3人目の仲裁委員を決めるか、それが決められないのであれば、3人目の仲裁委員を選んでくれる国について合意する事になっています。まあ、普通に考えたら、対立する日韓の仲裁委員間で特定の個人である3人目の仲裁委員に合意する事は無いでしょうから、3人目の仲裁委員を選んでくれる国としてアメリカを選ぶんだろうなと思います。そして、アメリカが3人目の仲裁委員を選びます。これがスタンダードな仲裁委員会の作り方です。ただ、これは韓国が自国の仲裁委員を任命してきませんでしたので動きませんでした。
 
 ただ、ここも蓋がされていまして、そういう時は日韓それぞれが30日以内に仲裁委員を選んでくれる国を選びます。A国(日本が選んだ国)、B国(韓国が選んだ国)がそれぞれ仲裁委員を出してきます。そして、A国政府とB国政府との間で協議をして、第三の国C国を選びます。C国が3人目の仲裁委員を選びます。これで仲裁委員会が出来上がります。ここには日本人も韓国人も入っていない可能性が高いです(絶対に入っていないとまでは言えませんが)。
 
 具体的に仮定の国名を入れてみると、日本がアメリカ政府を選び、韓国がイギリス政府を選ぶとします。アメリカ政府とイギリス政府はそれぞれ仲裁委員を出します。そして、アメリカ政府とイギリス政府とでオーストラリア政府を選び、オーストラリア政府が仲裁委員を出す。そして、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3ヶ国政府がそれぞれ選んだ仲裁委員で仲裁委員会が出来る、そんな感じです。今回、韓国が拒否してきたのはこのB国選びです。(つづく)
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