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2019-09-05 18:22

(連載1)アフリカの人口爆発問題

倉西 雅子 政治学者
 全人類の人口は、有史以来、食糧の増産や科学技術の発展等により凡そ増加傾向を示してきました。『旧約聖書』や『コーラン』では、神は人類が地球上に満ちることを望んでおられますが(もっとも、聖典の云う人類は、ユダヤ人かイスラム教徒?)、この神の望みが既に現実のものとなった今日、人類は、これまでとは異なる問題に直面しているように思えます。
 
 古今東西を問わず、多産は歓迎すべきことであり、子孫繁栄は人類の悲願でもありました。乃ち、人類が最も恐れてきた事態とは、飢餓や疫病、あるいは、戦争等によって人口が減少し、自らの集団が消滅してしまう事態であったのです。かくして人類の歴史は増加願望一辺倒であったのですが、現代にあっては、人口問題は双極化しています。これこそ、過去とは一線を画する問題であり、先進国の少子高齢化と途上国の人口増加が同時進行しているのです。つまり、先進国における人口構成と途上国とのそれとでは正反対となり、全人類を見渡しますと、極めていびつな人口構成が出現してしまうのです。
 
 特に注目されるのは、アフリカ大陸諸国における急激な人口爆発です。一説によると、今後、全人類の人口の4分の1がアフリカ系となり、残りの内の4分の2を中国人とインド人で分け合い、そしてさらにその残りの4分の1がその他諸々となるそうです。もちろん、この推計は、現在の人口増加率を基準に算出されていますので、必ずしもその通りに推移するとは限らないのですが、途上国の人口増加は、自然増加と云うよりも、政治・経済・社会的な要因が引き起こしています。
 
 アフリカ諸国において人口が増加する主たる要因は、食糧供給や医療・衛生管理レベルの向上にあります。これらの要因による人口増加は先進諸国も辿ってきた道であり、それ自体は合理的に理解し得る現象です。その一方で、先進諸国における生活水準の向上と経済・社会の高度化は、自らが扶養可能な範囲に子供の数を制限するという方向に強く作用します。人口問題の一極をなす先進国の少子高齢化は、家計の所得レベルや雇用形態が多産を許さなくなった結果なのです。言い換えますと、先進国における人口の変化は、主として経済要因と連動しているのであり、この側面は、今日、政治レベルにおいて給付金制度を伴う政策を以って少子高齢化対策が進められている理由でもあります。(つづく)
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