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2007-06-11 11:01

北神圭朗議員の問題提起への疑問

石原雄介  学生
 民主党の北神圭朗衆議院議員が、6月5日の本欄への投稿「日米同盟の古くて新しい問題」で非常に興味深い問題提起を行われた。議論を盛り上げるために、やや反論を主眼として疑問を提示してみたい。北神議員は、最近の日米同盟論議を整理して、アメリカへの協力を重視する「世界のための日米同盟」論と独立国として「どのように独自の防衛体制を固めるか」論があり、「大事なのは二番目の議論だ」と主張しておられる。

 私には、この視点は、日米同盟のアウトリーチがグローバルだけではなく、アジア太平洋、そして、日本の国防にもおよぶ、多層的なものであるという視点、および我が国の国益が同じくグローバルな広がりを持っているという視点を軽視しすぎているように思われる。若干説明させてもらいたい。日米同盟が我が国への侵略に対する抑止と対応を任務とするものであることは言を待たないが、1996年の日米安保共同宣言以降は、アジア太平洋の安定のための日米同盟という姿が明示されている。実際、地域での多国間演習(コブラゴールド、サムライ)や緊急時のアドホックな対応(スマトラ沖地震)は、地域において日米同盟の果たしている役割を示している。

 また、現在の日本の安全保障政策を振り返ると、我が国は「防衛大綱」によって「国際安全保障環境の改善」という枠組みを提示し、これによって、潜在的で、かつ地理的に遠い安全保障課題への取り組みも安保戦略の柱の一つとした。グローバリゼーション下における我が国の国益を考えれば、必要な措置であるといえる(カーン博士やアル・カイーダのネットワークを想起せよ)。そして、この「国際安全保障環境の改善」という政策目標の実現のために、自衛隊による国連PKOへの参加などが検討される。日米同盟のグローバルな運用とは、そのような日本の「主体性」が見いだした国益なのである。

 このように、見ていけば北神議員の言う「アメリカの世界戦略ニーズに応える」という視点と「日本の独自の安全保障」という視点は、矛盾したり、対立したりする視点なのではなく、両者は基本的に重なりあっていると言える。私のこのような議論に対し、北神議員は「うなずける部分も多いが、やはり違和感がある」と仰るられるかもしれない。北神議員の考える「リージョナル」「グローバル」とはなにか、そこに見いだす日本の国益とは何かを、日本の政策決定のプロとしてぜひとも語っていただきたいと思う。
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