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2020-01-29 17:47

(連載1)イギリスとイスラムとの不思議な関係

倉西 雅子 政治学者
 日本国内では、キリスト教、ユダヤ教、並びに、イスラム教の三者は相互に対立しているとするイメージが定着しています。キリスト教とイスラム教との敵対的なイメージは十字軍の遠征に依るところが大きく、いわば、この時代から時間の流れが止まり、関係性が固定化されている観があります。
 
 また、キリスト教系の国家であるアメリカやイギリスの後ろ盾の下で建国されたユダヤ人国家イスラエルが、アラブ諸国との間で激しい中東戦争を戦い、今なお、イランがイスラエルを攻撃対象としていることは、ユダヤ教対イスラム教の対立構図のイメージ形成に寄与しています。そして、よく知られているように、キリスト教国では、ユダヤ人が迫害されてきた歴史もありました。
 
 過去であれ、現在であれ、一般の日本人の目からしますとキリスト教とイスラム教、そして、ユダヤ教とイスラム教は三つ巴を成しつつ相互に敵対しているように見えるのです。しかしながら、これらの三つの宗教の関係は、人々が信じているほどには対立一辺倒ではないかもしません。とりわけ、イギリスの歴史を見ますと、大変、三者の関係における興味深い側面が見えてきます。本日の記事では、ある書物の一文を読み解いてみたいと思います。
 
 その一文とは、永積昭氏による『オランダ東インド会社』(講談社学術文庫、2000年、142頁)に記されているインドネシアのジャワ島にあったマタラム王国に関する記述です。そこには、「この頃(1640年頃)、バンテンの王がメッカからスルタンの称号と旗を贈られたことが、マタラムを大いに刺激し、ジェパラ港にほそぼそと商館を営んでいるイギリス人を仲立ちとして、メッカから称号を受けた」と記されており、当時のマタラム王(スルタン・アグン)が、1641年にイスラム教国の君主の称号であるスルタンを正式に名乗るに至った経緯を説明しています。(つづく)
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