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2020-03-15 15:56

新型コロナウイルス対策に向けて

池尾 愛子 早稲田大学教授
 今年も訪中の予定があるので、中国情報を注視していた。年初、外務省海外安全ホームページから、「1月9日、世界保健機関(WHO)は、中国当局が武漢で入院中の肺炎患者から新型コロナウイルスが特定されたとの予備的な確定を行ったことを発表しました」とのニュースと注意喚起の知らせが登録者に向けて配信された。新型コロナウイルスは、「COVID-19」と呼ばれるようになっている。中国通の友人と連絡を取り合い、また、学生や学会仲間にも情報を届けているので、その対策を少し拡張して議論しておきたい。
 
 日本時間で3月12日朝、WHOはこのコロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)宣言をついに表明した。「ついに」と書くのは、東アジアでは一見パンデミック峠を越えたように感じられるタイミングだからだ。そして同3月12日午後7時のニュースを見ていると、東京オリンピックに向けての採火式がアテネで実施される様子が生中継で届けられた。翌13日のニュースでは、国際オリンピック委員会(IOC)がWHOと連絡を取っていることが紹介された。東京オリンピックを開催するつもりで対策をとってゆくのがベストだと考えられているようである。
 
 現状については、既にわかりやすいウェブサイトがある。友人たちに紹介したのは、NHK特別サイトである(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/)。都道府県によって状況に大きなばらつきがあることに注意して、対応策は実施されるべきであろう。専門家会議の見解も掲載されているので、対応策の要点を抜粋しよう。
(1)換気を行う(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)
(2)人の密度を下げる(互いの距離を1、2メートル程度あける)
(3)近距離での会話や発声などを避ける(やむを得ない場合はマスクをつける)
(2)について、英語圏では、「social distancing」というフレーズが与えられている。3月19日を目途に専門家会議の次の見解が発表されることになっている。
 
 感染者・発症者から他の人たちに感染するだけではなく、感染者(検査陽性反応者)・無症状者からも、他の人に感染するので、大変厄介である。検査を受けないと、感染しているかどうかわからない。そして、一度感染・発症したあと治癒したように見えても、再び症状が出ることがある、つまり免疫ができないようなので、ワクチンの開発が容易ではない。それゆえ、収束に時間がかかり、終息にはより長い期間が必要であろう。そして、コロナウイルス「COVID-19」の収束に努力する一方で、通常の経済的・社会的活動も続けてゆかなくてはならない。ただ今までと同じような行動をとり活動を続けてゆくことはできない。今後は、衛生に一層配慮した環境を確保するようにして、人々の需要行動、消費活動が大きく変化してゆくことを予想して対応を考える必要があると思われる。産業構造・人々の移動には大変化が生じるかも知れない。WHOの「パンデミック」宣言に際してヨーロッパでの感染拡大が懸念されていることも付け加えられた。ヨーロッパなど東アジア以外の地域から、このウイルスが日本や東アジアに入り込まないようにする対策も取る必要があることは言うまでもない。
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