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2020-06-04 23:48

(連載1)同調圧力の光と闇

緒方 林太郎 元衆議院議員
 ここまでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を見ていて、日本においては「同調圧力」の果たす役割がとても強い事に留意せざるを得ません。私は大きく分けて、以下の4つが極めて特徴的だと思います。①制度が同調圧力を前提に作られている。②その同調圧力は、全体としては極めて効力を持っている。③ただ、社会の構成員の数パーセントには同調圧力は効果が無い。④そして、行政が同調圧力をマウンティングしてくる事がある。
 
 ①については、今回の対策のベースとなった新型インフルエンザ等対策特別措置法の作りが同調圧力を前提としています。つまりは要請、自粛、最後は見せしめ(従わない人の公表)です。同調圧力が機能しない世の中であれば、このような仕組みは無意味です。つまり、「お上が『やらんでくれ』と言っとるけん、そんな事するもんじゃなか」というのが暗黙のルールとして織り込まれているわけです。欧米では機能しないだろうな、と思います。 
 
 しかし、②のように日本ではそれがとてもよく機能します。欧米のメディアでは、日本の対策は間違いなくポイントを外しているはずなのに、何故自分達よりも上手く行っているのか、という「不思議の国日本」という論調が出始めています。あんな緩いやり方なのに、より厳しい措置を取っている自分達よりも遥かに被害が抑え込めているのは不思議でならないという事です。私は日本人の綺麗好きもかなり影響していると思いますが、欧米人にこれを言ってもなかなか納得してもらえません。
 
 ただ、勿論、③のような事態はあります。憲法上の自由という観点からは、こういう同調圧力の効果が無い人が居るという事は健全な社会であるという見方も出来ます。制度上禁止されているわけではない以上、その制度の中での自由は最大限享受するという発想は(COVID-19対策とは別の次元で)自由主義社会のベースだろうと思います。(つづく)
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