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2020-10-29 19:48

(連載1)蓮舫議員「失脚」の意味

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 共産主義というのは、単一の直線型のヒエラルヒーによって構成されている。上位の人間から徐々に下に向かって一直線上になっていて、上の権力者を排除しなければ、下の者は上がれない仕組みになっている。中国共産党などは良い例で、「共産党」でなければ出世できない。もちろん、共産党員ではない人であっても、企業人として活躍できる人はいるが、しかし、共産党員と必ずつながっているか、少なくとも共産党を否定するなどのことはない。一つの権力構造の枠からはみ出してしまった場合、その国の権力構造に二度と組みできない。中国共産党支配下に置いて一度失脚した人は、基本的に二度と権力構造の中に戻るのは難しい(習近平の父習仲勲は例外の一つである)。
 
 さて、共産主義の中で対立派閥が出た場合は、「内ゲバ」が始まる。相手を倒さないと自分が倒されるからだ。そのために、外部の情報をスパイするのと同じくらい、内部の人々の監視体制が厳しい。よって、「失脚した人の再登板」は厳しい権力構造にあってほとんどないということが言える。これが「左翼的な政治思想」である。
 
 上層部の覚えめでたい人が、上層部の人のコネで引き揚げられ、一度はしごを外された人は、そのまま下に下がってゆくしかない。逆に上層部のおぼえをめでたくするためには、過激なことを声高に言い「目立つ」ことがときに必要になる。そのために舌鋒鋭く目立った人が、何かの瞬間にはしごを外されて急に失脚するというようなことが起きるのである。筆者は長年のジャーナリストとして取材してきて、この「左翼的な政治思想」が左派政党、ここでは立憲民主党にあると見ている。
 
 ここで、蓮舫議員が失脚しているという国会の動きが、意味を持つのである。立憲民主党の参議院幹事長を外されて羽田孜元総理の息子である羽田雄一郎氏が参議院幹事長に就任した。もちろん立憲民主党の中の人事であって別段国政に何か大きな影響はない。予算委員会筆頭幹事も外れるとのことで、「看板がすべて外された」形だ。小沢一郎ではないが「一兵卒」に下がったということになる。その事情がなかなか興味深い。事情としては、自民党の石井準一氏との関係が深かったが、その石井氏が交代したので蓮舫も外されたというのである。(つづく)
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