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2021-01-06 13:57

EUと中国の経済連携協定について

真田 幸光 大学教員
 昨年末、「中国本土と欧州連合は、経済連携強化、相互投資に関する7年間の交渉を終了、基本合意した。中国本土とEUの首脳は12月30日にビデオ会議を開催し、EU・中国本土間の投資を促進することを目的とした協定に合意した。」とのニュースが入ってきました。
 
 さて、新型コロナウイルス感染拡大が続き、更に米国、ロシア、インドが自国内部の混乱が見られ、力を落とす中、中国本土は、「漁夫の利」を得ようとするかの如く、「中国本土流の国際化、そして市場開放」を餌にしながら、開発途上国、新興国はもとより、英国の欧州連合(EU)離脱、所謂、BREXITにより、混乱が見られ、更に、新型コロナウイルス感染拡大によって、EU域内市場の先行きにも不安があるEUをも飲み込み、一気に、「世界の覇権国家の道」を歩み出すと言う、初年度に2021年はなるかもしれません。中国本土の用意は周到であり、「いざとなれば、産業、経済面での鎖国が出来る国作りの推進を図る為に、製造2025を一気に推進する。」一方、「米英の覇権の大きな担保となっている基軸通貨、米ドルの地位を奪うべく、人民元経済圏の拡大を図る、そして、その際に、デジタル人民元経済圏を図り、通貨のデジタル管理化を強化して、米英の巻き返しを難しくしていく。」そして、「こうしたことを具現化する場として、一帯一路地域に加えて、RCEPを有効活用する手筈を整えた。」といった動きを示しているのが、今の中国本土であります。
 
 こうした中、中国本土は、上述したように、更に、衰えの見える欧州勢の代表たるEUとの間で、「経済協定締結」で基本合意しました。そして、欧州では、中国本土とEUは、「野心的な経済協定締結に合意した。」と評価されています。この合意は、画期的な内容を含む一方、多少、議論の余地がある曖昧な所があるとの批判もあるとの声はありますが、私には、
「中国本土の野心に対して、欧州は少なくとも一旦は乗って、経済発展のチャンスを掴み取りに来た。」という格好に映ります。そして、EUと中国本土間の今回の経済協定は、上述したように7年前から交渉が始まったものであり、今回、やっと合意に達したものではありますが、今回の協定は、中国本土に下記義務を課す、即ち、下記内容を中国本土が欧州に譲歩しても、中国本土の覇権主義にはメリットがあると中国本土政府は判断したものと私は見ています。
 
1. 自国市場のEU企業への開放
2. 企業間の公平で自由な競争
3. 地球環境保護を重視
4. 世界労働機関・ILO基準の尊重、労働者の権利保護、強制労働の禁止
5. ウイグル族の人権保護
 
 はてさて、英国や米国が本気で巻き返しを図らないと、中国本土の思惑は更に進展していくように思います。バイデン氏は如何に動くでしょうか?また、ジョンソン首相、否、英国王室は中国本土の覇権拡大を一旦は容認するのでありましょうか?新型コロナウイルス感染拡大のまだまだ続く中、今年は「中国本土の動静」には目が離せないものと思います。
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