国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2007-08-02 19:53

連載投稿(1)資源節約型社会構築への中国の取り組み

須藤繁  シンクタンク研究員
 環境汚染に対し国際的な批判が高まることを警戒するかのように、中国は最近、環境対策、省エネルギー推進、資源節約型社会構築に取り組む姿勢を強調している。その例を以下に、二、三紹介してみたい。

 7月4日から開催された第10期全国政治協商会議常務委員会第18回会議において、国家発展計画委員会の馬凱主任は「中国の2007年1月から5月の工業生産の伸び率は18.1%と極めて高く、またエネルギー多消費産業、環境汚染型産業の発展が依然著しいことから、同期間の全国の電力消費量も15.8%増と過去3年で最高を記録した」と述べ、「こうした状況が改善しない限り、第11次5ヵ年計画での省エネルギーの目標の達成は難しい」との認識を示した。その際、同主任は「中国は省エネルギーの推進とCO2排出量の削減を重視しており、資源節約型社会・環境友好型社会の構築に取り組んでいる。今後は経済発展モデルを改定し、環境に優しい生産・消費方式を確立して、循環型社会を模索する」と語り、経済発展の理念にまで踏み込んで環境対策を講じる姿勢を強調した。実際に、同会合では、室内の空調の温度が従来の24度から26度に引き上げられたほか、出席する各委員の平服着用も認められた。

 また、中国人民銀行は、7月6日、国内の銀行に対して、エネルギーの利用が大きく、汚染が深刻でかつ生産能力の過剰な業種への融資を制限する一方、省エネルギーや環境保全に貢献する業種への融資を奨励するとの方針を打ち出した。特に、国家の奨励する省エネルギー促進産業や環境保全産業には、融資手続きの簡素化や金融サービスの充実化を徹底する方針であることが注目される。

 温家宝首相は、7月11日に開かれた国務院常務委員会での省エネルギー、CO2排出削減及び地球温暖化対策に関する議論において、報道される環境汚染の元凶となっている企業等による汚染物質のたれ流しや不法投棄といった違法行為には厳格に対処し、調査を徹底するよう指示した。また、同常務委員会では、2007年下半期の省エネルギー、CO2排出削減及び地球温暖化対策に関する最重要項目として、省エネルギー製品の開発・販売への注力、環境汚染排出企業向けに続けられている優遇措置の改定等が決められた。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム