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2022-02-18 17:26

(連載1)習近平主席の向かうところ

岡本 裕明 海外事業経営者
 新型コロナウイルス感染症対策において、北京五輪から聞こえてくるのは「厳しいルール」という声ではないでしょうか。これは選手のみならず、取材記者からも漏れ聞こえ、完全バブル方式にすることで一般社会と完全に遮断し、北京にいながらどこにいるかわからない状態にしました。感染拡大防止という名目のもと、ペンという剣を持つ世界中のメディアに中国の実態を見せないようにしたわけです。今しか知らない世代の人には違和感があるかと思いますが、共産圏では昔からごく当たり前の対応で中国でもその昔は指定エリアしか外国人は入れなかったし、北朝鮮では今でも平壌から外には出られません。その点でいえば実態をほとんど把握していないのが中国の下位役人やスタッフで、上層部で何が起きているのか、その実態を知ることはまずありません。トップの指示は下に行けば行くほど忖度と厳格化、先鋭化した形となり、彼らは異様なほどの神経質さを持って対応します。このスタイルは文化大革命の時も同じで社会体制が変わらない故の社会的損失だと考えています。
 
 日経に「中国不動産、社債の乱高下続く 恒大問題の余波収まらず 住宅販売減、政府の規制緩和期待も」とあります。中国の不動産業界は恒大に限らず、全般的に厳しい状況が続いています。その最たるものが恒大ですが、政府や中央銀行が個別企業対策をとれば他の会社にも同様の「支援」を施すだろうという甘えと期待感が生じるため、思い切った対策がとれない問題を抱えます。
 
 一方、習近平氏としては自身の3期目の就任決定を秋に控え、いくつかの関門を乗り越えなくてはいけません。1つ目が北京五輪を成功裏に終わらせること、2つ目が恒大を含む不動産会社の再建の道筋をつけ、中国国内の経済的不安要素を取り除くこと、3つ目がアメリカとの外交的関係についての長期的ビジョン、4つ目が台湾問題、5つ目が内政の支配、6つ目が人権問題で食い下がる欧米への対応というところかと思います。
 
 あと半年強でこれだけの問題を片づけるのは容易ではありません。もちろん、政治力学的に習近平氏が反対勢力を抑え込めば、ほかの課題がどれだけ未達であっても3期目の継投はほぼ決まりでしょう。しかし、求心力という点で崩れ始めればオセロゲームのような状態にすらなりかねません。(つづく)
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