国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2022-08-24 19:08

(連載1)中国経済のアキレス腱

岡本 裕明 海外事業経営者
 中国経済の雲行きが怪しいのですが、その中で悪い悪いとずっと言われて続けているのが不動産。不動産こそ中国経済のアキレス腱であり、これが機能しなければ非常に厳しい試練が待ち受けることになります。その中で最近話題になっているのが住宅ローンの不払い運動ですが、これがより大規模になれば経済が廻らなくなる可能性もあると思います。そのあたりを見てみたいと思います。
 
 中国で結婚する条件は、といえば家があることとされます。つまり、家も買えない男は価値なし、というぐらい不動産への執着が強い国です。先日、香港の不動産が廃れつつある今でも高額で取引されていると申し上げましたが、中国人の不動産神話は本当に根強いものがあり、信じるものは不動産なり、と言ってもよいほどなのです。とすれば中国人にとって不動産が一心同体のようなものである中で購入した物件がいつまでも完成しないとなればこれは怒り心頭でしょう。不動産向け融資規制といった習近平体制の不動産バブル退治が強烈だったこともあり、多数の不動産開発会社は倒産の瀬戸際にあるとされます。当然、資金繰りが廻らないのですが、更にコロナで仕事ができないという追い打ちが起きます。これが開発途上の物件が遅々として完成せず、引き渡しが出来ない理由になっています。
 
 問題はこれだけではありません。中国の不動産購入では頭金の比率が大きいのです。概ね2-3割、ひどい場合には7割というのもあったようですが、平均6000万円の物件で25%の頭金の場合、1500万円相当を契約時に払います。日本なら頭金は貯金なり親なりに援助してもらうことも多いと思いますが、中国ではこれをローンで賄うわけです。金利は概ね4.5%、すると未完成の物件のローン金利だけで年間675000円かかり、更に住宅ローンですから元本返済もあるのでしょう。その住宅はいつ完成するかわかりません。これでは購入者は怒り心頭なのが分かります。
 
 このローンに対して不払い運動が中国各地で展開され、現在その不払い元本が8兆円規模あるとされ、これが連鎖反応を示せば、更に膨れ上がり、試算では20兆円規模を超えるとみる分析もあります。これで困るのは銀行で体力的に持ちません。その為に地方政府が開発業者に住宅完成を急がせているのですが、住宅市況も悪化してきており、次に待ち構えるのは売るに売れないという事態が想定されます。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム