国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2022-09-27 21:56

(連載1)日本の金融・為替政策は世界の実験台

中村 仁 元全国紙記者
 大規模金融緩和の継続と利上げ回避を日銀総裁が記者会見で発表中に、円は1㌦=146円を突破し、慌てた政府は24年ぶりの円買い介入を実施しました。140円台前半まで円は戻したものの、介入の効果は限定的なようです。鈴木財務大臣、黒田日銀総裁の会見を見ていると、異次元金融緩和と財政拡張政策を10年近く続けたため、身動きがとれなくなっており、口先だけの空威張りとの印象を受けます。 一斉に利上げに動いている米欧主要国とは正反対に、「孤高のゼロ金利を続ける日本の結末はどのようなものになるか」と興味深く見つめていることでしょう。「成功するのか惨敗するのか」の実験台として日本を見ているのです。
 
 結論から申しますと、国債残高の半分を日銀が保有するという異常な状況、1000兆円を超える国債発行による財政危機から、どうやって正常化に向うのかというシナリオを早く示すことです。そうした長期戦略がない、描かずという日本の悪弊から抜け出すことです。 日銀が異常な金融緩和の継続(円安要因)を続ける一方、政府が円安阻止の為替介入をすると自体が矛盾した対応です。利上げと為替介入をセットにして市場の流れを変えるのが本来のやり方です。それをしないから、市場に足元を見破られ、また円安に戻ると市場は見ています。
 
 鈴木財務大臣はおかしな発言をしました。「日銀の政策には日銀の独立性があり、尊重しなければならない」と。「日銀の独立性」はアベノミクスによってとっくに消失し、「政府と日銀の協調」という名のもとに、実質的には日銀は政府の意向に逆らえない。独立性なんかないのです。
 
 黒田総裁の発言にも、首を傾げる場面がいくつもあります。金融政策先行き指針(フォワードガンダンス)は「2、3年、変えない」、つまり利上げは2、3年しない。一方、米国の政策金利は年末に4%台後半、23年には5%台に到達する。日米金利格差はさらに広がり5%(円安要因)となります。金融政策は経済状況に応じ、短期的に動かす道具です。それを「2、3年動かさない」と言い切ってしまった。「日米金利格差は2、3年は縮まらないから、どうぞ円安にかけてください」といったも同然です。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム