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2022-10-21 06:57

小泉純一郎元首相に賛意を表したい

伊藤 洋 山梨大学名誉教授
 小泉純一郎元首相の発言;――「『首相の判断で原発をゼロにできるのに、やるべきことをやっていない。非常に残念だ』。東京電力の原発事故後、脱原発を主張する小泉純一郎元首相(80)は9月22日、毎日新聞のインタビューで岸田文雄首相に苦言を呈した。岸田首相が原子力政策の見直しを表明する中、小泉氏は民間団体『原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟』の顧問として、岸田政権に政策見直しの撤回を求めている」。(2022/10/01 毎日新聞)
 
 かの森喜朗元首相のように歳を重ねてますます世にハバカル御仁がいるかと思えば、上記小泉元総理のように年を経て「進化」を遂げる人もいる。小泉氏は、現役政治家時代にはその政治的発言は玉石混交、不安定のそしりを免れなかった御仁ではあったが、今や核廃絶の闘士であり、指導者であり、説教者に変身している。その言や善しである。ここで、小泉さんを「善し」というのは、核技術(核分裂によって発生する莫大なエネルギーを扱う技術一般)は、そのスケールの大きさがちっぽけな人間の手に負える対象たり得ないという意味において、最終的に人類のみならず自然界全体に対して回復不能な障害を残し、生物進化の過程を数億年または数十億年過去まで引き戻しかねないものであると考えるからにほかならない。
 
 しかるに日本政府は、プーチンロシアの無理無体な戦争を奇貨として核技術の回復というアナクロニズムに陥ろうとしている。いわく既存原発の永久使用、原発適地の選考とそこへの新増設の推進、あろうことかまだ見ぬ新型ガス炉の研究・開発にまで言及するに及んでは「何をか況や」である。岸田さん、あんた分かって発言しているのかい?!、と改めて突っ込みたくなるのは筆者だけではあるまい。この小さな島国に一時は50基に及ぶ原子炉がうなりを上げ、それらのほとんどはそのまま放置されて老体をさらし、使用済み核燃料は原子炉建屋階上のプールにお金を使って冷却保管され、それがもはや容量限界に達し、その解決先として青森県下北の地に運び込みたいが同県の反対に遭って動かせない。
 
 列島が小さいため河川規模が小さく水量不足のために諸外国のように内陸地に原発設置できないこの国では海浜にこれを設置し、海水で冷却を図る。ために地震大国特有の津波との遭遇は避けがたい。これは外国等からの悪意ある攻撃に弱いことをも意味する。通常兵器による攻撃でも原水爆以上の被害を受ける可能性が著しい。加えて、世界最多の四つのテクノプレートひしめく地震大国は10万年にわたって不動の地盤を持たない。使用済み核廃棄物の永久隔離の適地は皆無と認識すべきだ。にも拘らず政府は北海道で2か所調査に入っている。見えすいた「やってる風」作りとしか言いようがない。地元は補助金目当ての不純動機の誘致であって、すべからく国富の無駄遣いと断じてよい。これに小泉元首相は異を唱えている。彼の判断こそ「ヨシ!」と賛意を表したい。
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