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2022-12-05 10:49

トランプ前大統領が密かに狙うオマーンでのリゾート開発

浜田 和幸 国際政治経済学者
 11月18日はオマーン・スルタン国のナショナルデーでした。イギリス領から独立してから52年目に当たります。東京の広尾にある同国の大使館では盛大な祝賀レセプションが開催されました。日本では「知る人ぞ知る」オマーンですが、アラビア海に面し、資源も豊かな戦略の要衝を占める国です。わが国は原油や天然ガスを輸入しています。
 
 そのオマーンに熱い目を向けているのが、大統領選への再出馬を表明したトランプ前大統領に他なりません。トランプ氏の率いる不動産会社はオマーンの首都マスカットに大規模なゴルフ場、2つの高級ホテル、そして3500戸のリゾートヴィラの建設を進めています。2年前の大統領選挙で敗北したトランプ氏ですが、本人は敗北を認めておらず、「不正選挙のためにホワイトハウスを去らねばならなかった」と強引な主張を崩しません。そのため、2年後には「必ずホワイトハウスを取り戻す」と息巻いているわけです。しかし、カムバックするためには選挙資金が要ります。しかも、想像を絶する金額です。もともと不動産事業で成り上がったトランプ氏は、浪人することになった2年前から新たな資金稼ぎを虎視眈々と狙ってきました。新たに完成するオマーンのホテルには「トランプ」の名前が冠として輝くとのこと。中東の大富豪を取り込もうという意図がうかがえます。
 
 思い起こせば、トランプ大統領が最初の訪問先に選んだのはサウジラビアでした。以来、サウジの王室とは緊密な関係を維持しています。「ワシントン・ポスト」紙のコラムニストであったカショギ氏が殺された件で、サウジの関与が取り沙汰された際にも、トランプ氏はサウジの弁護に回ったほどでした。実は、オマーンにおけるリゾート開発計画はサウジアラビア最大の不動産会社との共同事業なのです。昨年、トランプ氏の娘婿のクシュナー氏はサウジの国営ファンドから20億ドルの資金提供を受けています。
 
 サウジアラビアは世界最大の産油国です。現在、アメリカの景気減速の原因でもあるガソリン価格の高騰を抑えるため、バイデン大統領はサウジを訪問し、ムハンマド皇太子に増産を直訴しました。しかし、あえなく拒絶され、その後、アメリカとサウジの関係はぎくしゃくしています。サウジがバイデン大統領を袖にした背景にはトランプ前大統領の影が見え隠れしました。サウジやオマーンなどアラブパワーは「2年後のホワイトハウスの主」への先行投資に走っているようです。
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