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2023-01-25 12:37

国際宇宙ステーションの危機

船田 元 GFJ政治家世話人/衆議院議員
 1995年から建設が始まった国際宇宙ステーション(ISS)は、NASA(アメリカ)、ロスコスモス(ロシア)、JAXA(日本)、ESA(欧州)、CSA(カナダ)の5か国が参加する国際共同研究機関だ。現在では総質量350トン、長さは100mにも達している。現在では常時6名程度の宇宙飛行士が滞在して、宇宙空間や無重力状態を利用した様々な科学実験が行われ、その成果は私たちの生活や産業に大きなインパクトを与えている。
 
 そのISSに宇宙飛行士を往還させているのは、ロシアのソユーズと、NASAのスペースシャトル、その引退後はクルードラゴンである。そのソユーズに昨年12月15日に、スペースデブリあるいは流星の元になる物質が高速で衝突したため、船体に小さな穴が開き、そこから冷却剤が漏れた映像が撮影された。幸い、当時ISSに滞在していた若田光一さんら宇宙飛行士は皆な無事だったし、居住空間に特別な変化はなかったという。しかし往還機の一つのソユーズの温度管理が万全ではなくなり、普段なら冷却されているフライト・コンピュータに誤作動が生じる恐れがあると言われている。したがってそのままソユーズを使うことは安全上の問題がある。
 
 日本のマスコミではあまり大きな騒ぎとなっておらず、後追いの記事もほとんどないが、事態は必ずしも楽観できるものではないのではないか。最悪のケースでは2つの往還機の一つが使えなくなり、クルードラゴンのみに頼ることになるかも知れない。それは安全の担保がなくなることを意味する。担保を十全に確保するには、損傷したソユーズに代えて、万全なソユーズを打ち上げてドッキングさせることだが、肝心のロシアに、今それだけの余裕があるのだろうか。またそれを行う意思があるのだろうか。ウクライナ戦争の余波が宇宙にまで及んでいるのである。
 
 地上で睨み合っている米ロ両国が、宇宙で仲良くし難いことは容易に想像できる。しかしISSを救うためにはお互いが話し合い、智慧を出し合い、譲歩し合うことが不可欠である。宇宙飛行士が見る地球には国境線が描かれていないのだから、彼らからの呼びかけを、米ロは最大限尊重しなければならないはずだ。
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