国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2023-02-09 09:57

「国政」を動かす前に自身の「アイデンティティ」の確認を

伊藤 洋 山梨大学名誉教授
先月から、「異次元の防衛力増強」、「異次元の子供支援」、「異次元の資本主義」等々と「異次元」だらけの岸田政権の、その大いなる「リアリズム」が問われる通常国会が始まった。国会が留守の間に「異次元」時空間を作りほうだいつくってきた岸田文雄首相だが、さてさてその中身がどれ程の「異次元」なのか、はたまたこけおどしの単なる偽物なのか?何しろ岸田政権が誕生してから1年有余経つというのに腰を落ち着けてこの国の行く末をじっくり取り上げて熟慮したという痕跡が全く見えない。文字通り異次元の世界から魑魅魍魎がやって来て、何かを隠して立ち去ったというようなそんな時間が過ぎ去っていっただけというのが筆者の印象だ。
 
なぜこんなことになるのかと熟考してみると、岸田文雄さんご自身がご自分には豊富に有ると信じている「知性」だが、本当はこれをあまり持ち合わせていなかったのではないか?それを見破っている霞が関や永田町に巣食う有能な宦官たちが岸田さんの耳元で囁いているのが「異次元○○」なのではないか?その一例が、<異次元の国防力増強プラン>だ。A4版裏表印刷で4枚に満たないほどの「国防3文書」、一国の憲法を完無視した軍国化政策を閣議了解だけで「決定」した。それについて、立法府を通じて自国民や国民を代表する国会議員と議論したことのないものを、初見で六つもの有力異国の最高権力者に言いふらして歩いたうえに、最後の米大統領府では、主のバイデン氏自身がホワイトハウス玄関まで出迎えてくれ、あまつさえ肩に手を付いて大統領執務室まで案内してくれたこと、これがうれしくて氏は舞い上がったという。
 
岸田さんは、正月休みに知性の陶冶を計画して数冊の書物を買い込んだと新聞に出ていた。その中にはドストエフスキーの長編名作「カラマーゾフの兄弟」が入っていたらしい。しかし、どうも途中で投げ出してしまったと、後刻どこかの新聞が書いていた。時間が無かったからとあった。さもあらん。審問官の章を読めば自身の来し方行く末にいささかの自信を喪失したにちがいないが、その証拠が無いところを見るとどうやらその前に頁を閉じたのであろうと思料する。
 
ここまで少々冗談にめかして書いてきたが、われらが宰相のいささかの異次元性について、一国民として実に不安になってきた。そういえば巷では彼は少年時代には東大病患者だったという。己の本当の実力と、自身がカラーで描く自画像とがずれたままの人物が一国を主導するという無謀さは危険である。年初にあたって、氏には「国政」を動かす前にもう一度自身の「アイデンティティ」の確認から始めてもらいたい。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム