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2023-04-17 23:07

プーチン大統領演説に拍手なしという「ロシア国内の変化」

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 既にロシアのウクライナ侵攻から1年と2カ月が経過している。このウクライナの件に関しては、本当は、毎週書くことがあるくらい、大変な事になっている。実際に「戦争」というのは、様々な流れがあり、様々に書くことがある。そもそも、今回の戦争は、ウクライナという国家の中で戦っているという状態である。これは多くの人がテレビなどを見てわかっていると思う。しかし「戦っている戦場のすぐ横」または「戦場そのもの」で、そこで生活をしている人がいるということになるのではないか。また、軍人であっても、毎日飯は食べるし、水も飲む。当然に、家族がいる(結婚していなくても親はいるし、兄弟もいる。当然に、恋人もいるかもしれないという意味で)のである。軍隊というのは、日本人の場合は24時間戦っているようなイメージがあるが、実際は、そこまで戦いが連続するというものではない。つまり「戦争をしていない軍人」もいるし「町の中で生活している一般の(軍人ではない)人々」がいるということになるのである。その人々の生活はどうなっているのであろうか。そのことが気になっている人はいるのだろうか。
 
 そして、戦闘が続いている。その戦場では、人が死んでいるのだが、その「遺体」はどうなっているのであろうか。同時に、物資の輸送はどうなっているのであろうか。そのようなことは全く放送されないし、何も見えてこない。もちろん、その現場に行けば、そのようなことは見える。日本ではウクライナの人々の事ばかり見えているが、ロシアの方に関してもそのような内容が多くあるということになるのではないか。このように言われて、初めて見ている人がいるということなのであろうか。
 
「ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ危機の原因がアメリカにあると演説したことに対し、各国の大使が無言の抵抗を示した。
プーチン大統領『世界の安全保障と安定に深く関わる米ロの関係は、深刻な危機にある』
演説で、プーチン大統領は、ロシアがクリミアに侵攻した当時のアメリカからウクライナへの支援が危機を招いたと批判した。大使着任の儀式では、新しい大使がプーチン大統領の演説に拍手で返礼するのが通例だが、アメリカ大使を含め、新しい大使からは拍手は起きず、プーチン大統領が戸惑うように見える場面もあった。」(「プーチン大統領演説に“拍手なし”で各国大使が無言の抵抗 プーチン氏が戸惑う場面も」2023年4月6日付FNNプライムオンラインhttps://www.fnn.jp/articles/-/510061)
 
「プーチン大統領が『ウクライナ危機はアメリカが招いた』と大使を前に痛烈批判です。
ロシア、プーチン大統領:『ウクライナ危機とロシアとアメリカの関係の悪化は、つまるところアメリカのせいだ』
プーチン大統領は5日、新たに着任した各国の大使に信任状を渡す式に出席しました。プーチン大統領はアメリカの大使を前に『2014年のウクライナ政変をアメリカが支援したことが今の危機を招いた』と痛烈に批判しました。EU(ヨーロッパ連合)の大使に対しても『地政学上の混乱を引き起こした』と強く非難をしています。演説後、大使からの拍手などは起きませんでした。」(「プーチン大統領『ウクライナ危機は米のせい』痛烈批判」2023年4月6日付テレ朝newshttps://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000294373.html)
 
 ロシアにおいては、「何万人もの人が犠牲になっている」という情報がある。つまり、その数倍の人々が「家族を失っている」ということになる。実際のところ、家族の中において、どのような感情を持つのであろうか。
 
 さて、そのことからロシアの中では厭戦気分が出てきているという話がある。実際に、ロシアの国内では、「短期戦でウクライナを占領する」というようなことが様々な言われていた。当然に、ロシアの国内の一部、戦争推進派の中には、そのような話を信じていたのに違いないし、そのような計画を立てていたことは事実であろう。その計画がかなり変わった。実際に政治の中において「自分の思い通りにならなかった時に、どのような対応をするか」ということが重要になってくる。政治であり戦争であるから、当然に、自分の思い通りになることばかりではない。相手があることに「絶対」はないのである。その時にどのような対応をするかが非常に重要になるのであるが、その時のプーチン大統領の決断は「勝つまでやる」ということである。しかし、実際に現段階において、「勝つ」という事は、基本的には難しい状態であろうし、そもそもクリミア半島の維持も難しいということになってくるのではないか。そのような時に何をすべきかということが非常に大きな問題になってくる。
 
 この「厭戦気分」がロシア国内に出てきたことで、現在のロシアの国内は、私の取材にすれば「戦争継続派」「厭戦派」「プーチン反対派」の三つに分かれつつある。今までプーチン支持派であった人々がいつの間にか、「厭戦派」の中に入ってしまっているということになるのである。そして、厭戦派が徐々に力を持ちつつあって、その勢力が徐々に大きくなってきている。今回のエピソードはそのことをよく見ているエピソードである。アメリカが仕掛けた戦争であるといいながらも、実際には、そのようなことを思っている人はいない。そのことがプーチン大統領の話に対して拍手なしということで抵抗をするということになっているのである。そのようなことで大丈夫なのであろうか。実は、片方でウクライナ戦争に関しては、このまま一進一退が続けば、そのままロシアの中において厭戦気分が増える。その内容が今後別な意味でどのようになるのか、そしてそのような厭戦気分があるロシアが、今後どのようになるのか。そこが気になるところである。
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