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2024-06-28 10:20

韓国による中東諸国との関係強化

真田 幸光 大学教員
 アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領が5月28日、韓国を国賓として訪問した際、三星電子のイ・ジェヨン会長ら韓国財界のトップらと会合を開催したことが報告されている。その内容について、韓国マスコミ報道によると、以下のように総括されている。
 
 「韓国財界関係者らは今回の会合を機に、UAEが温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指して建設中の都市を巡る協力や原子力発電所などの追加受注などの成果に期待をしている。ソウル市内のホテルで今回の会合にはイ会長のほか、SKグループのチェ・テウォン会長、現代自動車グループのチョン・ウィソン会長、ハンファグループのキム・ドングァン副会長、HD現代(旧現代重工業グループ)のチョン・ギソン副会長、GSグループのホ・テス会長、CJグループのイ・ジェヒョン会長、暁星グループのチョ・ヒョンジュン会長、コーロンのイ・ギュホ副会長、LIGの具本尚ク・ボンサン会長ら、本当に韓国財界をリードする主要人材が出席した。」そして、何よりも、今回の会合はムハンマド大統領の要請によって開かれた会合であったと報告されている。
 
 こうした韓国財界トップらは、この会議の席で各グループの主力事業を中心に先端技術や国防・防衛産業、エネルギーなど多様な分野での協力策について話し合い、今後の受注機会を模索している。ユン・ソクヨル大統領が昨年、UAEを国賓として訪問したのを機に両国の協力分野がエネルギーや防衛産業だけでなく、水素、バイオ、スマートファーム、デジタル転換、メタバースなどに多角化しただけに、この場でも未来産業分野での追加協力などについて意見が好感され、産油国でありながら、実体産業に課題があるUAEとの関係強化を更に深める契機となったとしている。また、ユン大統領のUAE訪問に合わせて行われた首脳会談でムハンマド大統領が約束したUAEによる300億米ドルの対韓投資に関する措置が取られる可能性も期待されている。財界トップらとの会合後には、更に総合エンターテインメント企業であるHYBE(ハイブ)トップのパン・シヒョク議長やNCソフトのキム・テクジン社長、電子商取引(EC)大手のMUSINSA(ムシンサ)のチョ・マンホ総括代表など、各分野を代表する企業トップとの面会も行われた。
 
 関係者の間では音楽やファンションなどの分野での協力関係が具体的に発展する可能性に期待する声までも出ている。また韓国ファッションブランドの中東地域への進出の可能性も指摘され始めた。業界関係者は、「石油以外の領域で新事業を広げることを望むUAEは音楽やドラマ、映画などコンテンツ基盤のエンターテインメントにファッションを加えたK―カルチャーをアブダビに移植することを望んでいる状況にある。」と見方をしている。韓国はかつての中東建設ビジネスを基にした関係を軸に、更に中東諸国との関係強化に向かっており、このUAEのみならず、サウジアラビアやカタール、イランなどとの関係緊密化を図ろうとしている。日本としても、こうした韓国の動きは注視していく必要があろう。
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