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2025-04-13 10:04

(連載1)若年層は皇室について議論を

倉西 雅子 政治学者
 今般、筑波大学に入学した秋篠宮家の悠仁氏については、昨年、大学入学をめぐり、一大騒動が起きることとなりました。何故ならば、 ‘東大入学を希望した秋篠宮家が、皇族の特権を濫用して裏工作を画策したのではないか’とする憶測が流れたからです。真偽のほどは判然とはしないものの、同情報の内容と実際の行動や出来事との間に一致がみられたことから、SNSやウェブを中心にかなりの信憑性をもって語られることになったのです。この結果、国民の間から反対の大合唱が起きると共に、悠仁氏の東大入学に反対する署名活動も始まる事態に至りました。しかも、同署名活動が停止状態に追い込まれたため、日本社会に対して介入パワーを持つ‘特権身分’として、皇族の存在に対して、より一層警戒感がもたれることにもなったのです。
 
 皇族の大学進学がかくも国民の反対に遭った理由は、皇族を特別扱いすることに対する不公平感にあったことは言うまでもありません。公平であるべき国立の大学の入試制度を自らの私的目的のためにねじ曲げようとしたのですから、それが皇族であれ、誰であれ、国民からの反発は、至極、当然のことでもあります(不正な裏口入学となる・・・)。そして、ここで考えるべきは、現在の若者層は、皇室の存続を心から望んでいるのか、という基本的な問題です。
 
 悠仁氏の東大入学に関する疑惑を前にしてしばしば指摘されていたのは、‘入学試験が競争を伴う限り、皇族に対して特別に入学を認めることは、本来、合格すべき他の同年代の受験生から定員枠を一つ奪うことになる’という批判です。合格を目指し、寝る間も惜しんで受験勉強に励んできた受験生達に対して、卑怯な手を使うのはいかがなものか、という批判です。こうした意見は発信手段を比較的自由に使いこなせる‘大人’によるものなのですが、同世代の若者の多くも同様に感じたことでしょう。
 
 入試問題に限らず、‘皇族は特別の存在だから特別待遇を受けるのは当然であり、国民は黙って従うべき’と考える若者は、今日では、ほとんどいないのではないでしょうか(この側面は愛子氏や佳子氏も同じであり、将来的には、悠仁氏の次世代にも繰り返される・・・)。生まれながらにして特権を有し、他者は無条件で礼を尽くして敬意を示さなければならない存在は、心から受容や納得していない限り、決して心地よいものではありません。(つづく)
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