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2025-10-18 13:20

(連載1)米中首脳会談は世界経済安定と和平の節目に

岡本 裕明 海外事業経営者
 トランプ氏は2、3か月ほど前から習近平氏と会談するとほのめかしていました。それは一連の関税問題、ロシア絡みの問題、そしてTikTokを含む中国との問題などの総括をする機会だと捉えていたのでしょう。1週間ほど前には中国側が発表したレアアース輸出規制に激怒し、「習氏と会うつもりはない」とも言っていましたが、もちろんそれはブラフで実務レベルでは首脳会談に向け、様々な調整が進んでいます。日程的にはトランプ氏が日本に10月28日に来てたぶん1泊。(場合によっては27日に来日、同日1泊して28日に韓国へ移動もあり得ます。)そして29日にAPEC開催国の韓国に移動し、29日か30日に習近平氏と韓国で会談するというのが流れになっています。現時点でその会談開催が危ぶまれるという情報はありません。

 まず二国間関税問題ですが、現状、24%の関税付保を11月10日まで留保しています。同日までの関税交渉期限延期は当然、APECでの首脳会議日程が前提になっていたとみてよいでしょう。この頂上決戦が単に米中の経済や二国間関係のみならず、世界経済や国際問題を大きく左右する2025年最大級の経済外交イベントの1つになるとみています。なぜおまえはそこまでこの会談を重視するのか、といえば双方にとってインパクトがある案件が非常に多くその結果次第では株価すらゴムまりのようにすっ飛ぶ可能性があるのです。

 個人的な最大の注目は二国間関税ではなく、対ロシア政策であります。アメリカの方針としてはロシア経済を完全に締め上げることに踏み込んでいる点です。インドのモディ首相とトランプ氏は電話会合でインドがロシア産原油を買わないと約束したとアメリカが発表しています。インド側は若干ニュアンスが違うようで、その開始時期も未定で多分時間がかかるとみています。時間稼ぎでしょう。またウクライナとの戦争が終わればまたロシア産原油を買うだろうともみられています。開始時期が未定なのは代替の供給源を確保する必要もあるからです。インドはイラク、サウジ、イランといった国々から原油を調達してきましたが、イランは経済制裁もあるし、採掘能力が十分ではないという問題もあります。抜け道としてロシア産原油をイラン経由でインドに回す「う回輸出」の可能性はないとは言えません。トランプ氏はモディ首相の言質を取ったことで習近平氏との交渉を優位に進めるという思惑はあります。

 トランプ氏は中国に「ロシア産原油購入を止めよ」と相当な勢いで迫るはずです。トランプ氏はそれをしてくれるならアメをあげよう、というでしょう。それが関税条件です。仮に中国もロシア産原油を買わないと確約すればロシア経済は相当のダメージになり、経済破綻が見え、プーチン体制の崩壊も起こりえます。ただ、BRICSの最大の盟友同士の絆を考えると習氏が「はい、わかりました」とは簡単に言わない気がいたします。(つづく)
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