国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2025-10-27 10:19

(連載1)外国人問題-ユダヤ人迫害のパラドックス

倉西 雅子 政治学者
 日本国内でも、外国人人口の急激な増加を受けて、在留資格のさらなる厳格化や移民規制を求める国民からの声が高まっています。先の参議院議員選挙では、‘日本人ファースト’を掲げた参政党が躍進しましたし、昨日、日本史上はじめての女性首相となった高市早苗首相に対しても、外国人問題をめぐる同首相の厳しい対応を期待している国民も少なくありません。こうした世論の流れを前にして、リベラル派を中心として‘外国人差別’、‘偏狭なポピュリズム’、‘排外主義’といった反発も根強く、とりわけユダヤ人迫害の歴史を事例とする批判も少なくありません。外国人を、常に異国にあってマイノリティーであったユダヤ人に見立てた批判です。
 
 しかしながら、今日の外国人対策の強化をユダヤ人迫害と同一視することは、同問題の解決に際して適切であるとは思えません。その理由は、ユダヤ人迫害の主たる原因は、ユダヤ人が自らの国家を持たず、それ故に、他国にあって外部者として社会に身を置きつつ、非公式に政治や社会を動かそうとしたところにあるからです。このような民族は、他には殆ど存在していません。例外中の例外をもって典型例とするには無理があるのです。
 
 国家の起源を辿りますと、先ずもって、様々なリスクから自らの集団を護るという必要性を見出すことができます。ところが、ユダヤ人は、ディアスポラ以来、自らの国家を失い、世界各地に離散しましたので、自集団を保護する枠組みや仕組みをも喪失しています。軍隊を持たず保護壁もないに等しいわけですから、他の定住民族よりも迫害を受けやすい状況下にあったと言えましょう。ユダヤ人がしばしば居住国の王権に接近したのも、自らを自らで護ることができなかったからに他なりません(ユダヤ人は金融業等により、生命や身体のみならず、財産の保護も必要とした・・・)。ユダヤ人と‘政府’の癒着とは、今に始まったわけではないのです。
 
 その反面、母国が存在しないことが、逆に有利に働いた側面もないわけではありません。経済や社会的な脅威とはなっても、防衛や安全保障上の問題を引き起こすことがないからです。即、‘敵国人’と認定されて追放されたわけでもありません。特に、国境を越えるユダヤ人ネットワークにより金融や貿易等に従事していたユダヤ人も多くも、経済的豊かさをもたらす‘商人’として居住するタイプも少なくなかったのです(ただし、真偽を確認する必要はあるものの、幼児犠牲といった一部ユダヤ人の風習(モロコ教の一派?)、経済支配や搾取、陰謀等が問題となった場合には、‘敵認定’されてしまうため、ユダヤ人虐殺が起きている・・・)。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム