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2026-02-07 17:46

(連載1)中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)による影響力工作

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)は、習近平国家主席が「魔法の武器(法宝)」と称した、党にとって極めて重要な政治工作機関です。この組織の主な任務は、共産党員ではない国内外の有力者や団体に働きかけ、党の利益に合致するように世論を形成し、潜在的な反対勢力を無力化することにあります。特に海外に住む約6000万人とも言われる華人・華僑に対しては、単なる監視を超えた「包摂と管理」のネットワークを構築しています。この工作は、2018年に「国務院僑務弁公室」が中央統一戦線工作部に統合されたことでさらに強化されました。これにより、それまで行政的な支援を装っていた海外同胞へのアプローチが、明確に共産党の直接的な政治指導の下に置かれることになったのです。
 
 具体的な手法としては、世界各地にある華人団体や商工会議所、同郷会といった既存のコミュニティに深く浸透し、そのリーダー層を中国国内の会議に招待したり、経済的な利益を供与したりすることで、彼らを党の代弁者へと変えていきます。こうして「親中派」となった組織を通じて、コミュニティ内での監視の目が張り巡らされます。例えば、中国政府に批判的な言動を行う個人がいれば、その情報は現地団体を通じて速やかに党へ報告され、中国国内に残された親族への圧力を通じて口封じを図るといった「越境的な弾圧」が行われることもあります。さらに、この組織はメディアや教育機関にも触手を伸ばしています。海外の中国語メディアの多くが、出資や広告を通じた間接的な支配、あるいは直接的な買収によって統一戦線工作部の影響下に置かれており、党に都合の悪いニュースは検閲され、プロパガンダが日常的に流布される仕組みが整っています。大学においても、中国人留学生学友会などを通じて学生の動向を把握し、学問の自由を脅かすような監視体制が敷かれていることが各国で問題視されています。
 
 このように、中央統一戦線工作部は物理的な部隊というよりも、目に見えない巨大な「影響力の網」として機能しています。それは、ターゲットとなる人々を敵と味方に分断し、味方には利益を、敵には孤立と恐怖を与えることで、世界中の中国系住民を党の意志に従わせようとする精緻な統治システムなのです。この中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)にいても報道もうなされていましたが、警告されるのは、中国共産党が「統一戦線」という名の下で展開している、国家の枠組みを超えた巨大な洗脳と統制のシステムです。彼らは世界中に散らばる6000万人もの華僑・華人を、単なる同胞としてではなく、党の意志を遂行するための「生きた細胞」として利用しています。この工作の恐ろしさは、軍事力のような直接的な攻撃ではなく、経済、文化、教育といった日常生活のあらゆる隙間に、気づかぬうちに毒を回していく手法にあります。具体的には、世界各国の政治家への献金や、学術機関への巨額の寄付を通じて、中国に不利な言論を封じ込め、逆に党の正当性を称賛する「傀儡」を育成しているのです。
 
 そして、この「魔法の武器」が最も狡猾に、かつ深く突き刺さっているのが、他ならぬこの日本であるという戦慄の現実が浮かび上がります。日本の政界や財界の深部には、すでに彼らが仕掛けた「静かなる侵略」の根が張り巡らされている可能性があります。古くから続く日中友好団体や商工会議所は、一見すると平和的な交流の場に見えますが、その実態は統一戦線工作部が情報を吸い上げ、日本の政策を誘導するための「前線基地」と化しているのではないかという疑念が拭えません。かつて「親中派」と呼ばれた政治家たちが、なぜ日本の国益を損なうような発言を繰り返すのか、あるいはなぜ特定の地域で中国資本による不自然な土地買収が加速しているのか。これらは決して偶然の産物ではなく、工作部が長年かけて日本国内に作り上げた「協力者ネットワーク」による、緻密に計算された破壊工作の一端であると考えられます。(つづく)
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