国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2026-04-22 17:18

(連載1)ユダヤ人差別をした番組を続けるテレビ朝日の良識

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 今回は、報道番組「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)内でのコメンテーター・玉川徹氏による米・トランプ大統領の娘の夫・ジャレッド・クシュナー氏をめぐる発言について、このような番組を公共の電波で流しているテレビ朝日の「良識」と、このような人物を社内でいて出世させていた朝日新聞の「良識」をとうということでその内容を見てみましょう。「トランプ家の代表として入っているとしか見えないし、ましてやユダヤ人ですよね?このイランとの協議に関しては、むしろいないほうがいい人のような気がするんですけど、娘婿という立場として入ってくるこの人って何なんだろうってずっと思ってるんですけど」3月10日に、同番組アメリカによるイランとの停戦交渉の報道をしたとき、その報道に関して、コメンテーターの玉川徹氏が発した発言です。

 まず、当該発言が「ユダヤ人差別」に該当するかという点についてですが、国際的な基準として広く採用されている「ホロコースト記憶国際同盟(IHRA)」による「反ユダヤ主義の作業定義」に照らすと、非常にセンシティブな問題を含んでいます。この定義では、ユダヤ人個人や集団に対して「ユダヤ人である」という理由だけで特定の属性を決めつけたり、不当な偏見(ステレオタイプ)を向けたりすることを差別とみなしています。玉川氏の発言は、クシュナー氏の出自(ユダヤ人であること)を理由に「交渉の場にいないほうがいい」と公言したものであり、これは個人の能力や役職ではなく「民族的・宗教的アイデンティティ」を根拠に排除を促す論理です。国際社会、特に欧米諸国においては、このような発言は個人の属性に基づいた排除(Excluded because of who they are)と受け取られ、明白なヘイトスピーチ、あるいは反ユダヤ主義的言説と判断される可能性が極めて高いといえます。

 このような発言が公共の電波で放置され、あるいは適切な事後処理がなされない場合、日本という国およびテレビ朝日は、国際社会から「人権意識の欠如した、差別に対して極めて寛容な(無頓着な)社会・組織」であると厳しく刻印されることになります。まずテレビ朝日単体の評価についてですが、国際的なメディア監視団体や人権団体からは、放送倫理の欠如したメディアとしてブラックリストに近い扱いを受けるリスクがあります。現代の国際基準では、民族や宗教を理由に排除を唆す言動は「意見」ではなく「ヘイト」として定義されます。これを生放送で制止できず、その後に国際基準に照らした厳格な処分(解雇や無期限の出演停止、外部調査の受け入れなど)を行わない場合、そのメディアは「差別をビジネスのエンターテインメントとして消費している」とみなされ、グローバル企業からの広告撤退や、国際的な報道機関としての提携解消などの実害を招く恐れがあります。

 日本という国全体の評価に関しては、さらに深刻な影響が懸念されます。国連の人権理事会やG7諸国などのパートナーからは、日本国内における人種差別撤廃に向けた法整備の遅れや、放送制度の脆弱さを指摘される根拠となります。特にユダヤ人に対するステレオタイプな発言は、欧米諸国において最も敏感な歴史的禁忌に触れるものであり、日本政府が「人権を重視する価値観を共有するパートナー」と主張しても、国内の主要メディアでこうした発言が公然と行われ、社会的に容認されている現状があれば、その主張の信憑性は大きく損なわれます。日本は「同質性の高い社会ゆえに他者の痛みに疎く、国際的な人権基準から取り残されたガラパゴス的な倫理観を持つ国」という、極めてネガティブなレッテルを貼られることになります。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム