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2026-05-31 16:16

欧州経済について

真田 幸光 大学教員
 世界は、米国トランプ政権とイスラエルによるイラン攻撃を契機として、「世界的なインフレ再燃のリスク」に再び晒され、景気回復の期待が腰折れされています。 それは、世界経済の一つの基軸となる、「欧州経済」も同様であり、日米、アジア経済の景気拡大期待が損なわれているのと同様、痛手となっています。即ち、世界的インフレの再燃は、消費マインドを冷やし、内需拡大に悪影響を与える可能性があることは言うまでもありません。そして、外需部門も、欧州経済の対外経済の主要な相手国である中国本土や米国経済の鈍化が顕在化、更に悪化すれば外需が内需不振をカバーすると言う期待も薄れるでありましょう。
 
 更に、欧州各国の場合、こうした景気減速感懸念が漂う中、既に、多くの中東移民を自国内部に受け入れており、こうした移民がいつ、「テロリストに転換するのか分からない。」といった不安感も存在しています。それは、過去、何回も自国内部で大きな犠牲を伴ったテロ事件を経験している国々の警戒感とも言え、これが、経済不安と共に、目に見えぬ社会不安ともなっています。
 
 さて、こうした中、欧州経済を概観すると、欧州経済は2024年に緩やかな回復基調に転じ、2025年は回復、今年も昨年同様1%前後(1%台前半)の実質GDP成長率が続くと見られていました。インフレ鈍化による個人消費の緩やかな改善や雇用環境の底堅さが下支えするとの見方でありました。但し、ドイツの低迷や米国の関税リスク、世界的な不確実性が成長の阻害要因もなると本年年初には見られていました。2025年後半にかけて緩やかに回復し、2026年にかけて設備投資や個人消費が徐々に上向くシナリオが期待されていたのであります。但し、それでも、上述したように、欧州経済の牽引車とも言えるドイツが2年連続でマイナス成長を記録するなどの不安材料もあり、加盟国間での経済状況の差が目立つ斑模様の経済情勢が不安要因として指摘されていたのであります。そして、エネルギー価格の下落に伴いインフレは沈静化傾向にあり、ECB(欧州中央銀行)の利下げ開始が家計や企業の需要回復を促すと期待され、一方で、実質賃金の上昇により消費者マインドは改善しつつあると期待されていました。

 更に、こうしたリスク要因はあるものの、着実な景気回復期待が出てきていたことから、対内直接投資は回復、2024年に前年対比81.5%増と大幅に増加したことなどを受けて、今年も投資は堅調に推移するものと期待されていたのであります。ところが、今般の中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格の再燃リスクが顕在化しており、米国のトランプ政権の貿易関税政策が更に悪化する傾向があるなど、保護主義的な動きが輸出に悪影響を与える懸念が出てきました。
欧州にとって、今回の米国の動きは「いい迷惑」であったはずです。さて、こうした中、EUの財政ルール復活により、加盟国が財政政策で景気を押し上げる余地は限定的ともなれば、欧州経済は、成長の期待が当面は持てないと言うことにもなりかねません。このように、構造的な弱さを抱える欧州経済、如何なる打開策を見い出し、実行してくるのか注目したいと思います、
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