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2007-11-30 11:45

連載投稿(1)原油価格高騰をめぐるOPEC内の相克

須藤繁  シンクタンク研究員
 OPEC(石油輸出国機構)は、11月17~18日、サウジアラビアのリヤドで、首脳会議を開催した。18日採択されたリヤド宣言前文は、各国元首は、1975年アルジェリア、2000年カラカスで開催した首脳会議の精神を踏襲し、サウジアラビア国王からの招待を受け入れ、第3回首脳会議を開催したとしている。また、加盟国は、国際エネルギー市場安定性と経済発展維持へのOPECの寄与を強調することは、国際エネルギー市場の安定性、 持続可能な開発のためのエネルギー、及びエネルギーと環境という三つの主題が、経済、エネルギー及び環境問題に対処する上での原理であると認識したとした。
 
 原油価格が90ドル/バレルを上回る現在、足元のエネルギー市場の安定性に関する議論としては、ドル安を巡り、議論が白熱したと報じられた。同討議においては、核開発問題で米国と対立するイランやベネズエラがドル安懸念を首脳会議の宣言案に加えることを主張したのに対し、サウジアラビアはドル急落を招きかねないと主張、強硬派と穏健派の立場の違いが明らかになった。会議後、バドリOPEC事務局長は「確かにドル安は懸念されるが、ドル安問題は最終宣言案には入れない」と発言した。

 また、ナイジェリアのアジュモゴビア石油相は17日、現下の原油価格に関し、懸念を表明し、「我々は、来月のOPEC総会で原油価格の高騰問題を協議しなければならない」との見方を示した。ただし、同石油相は、原油価格の高騰は実際の需給問題に起因するものではないとし、OPEC加盟国による増産には慎重な姿勢を示した。 関係者の発言の中では、ベネズエラのチャベス大統領は首脳会議の開会式で演説し、100ドルに近い現在の原油価格を適正価格としたうえで、「米国がイランを攻撃すれば、油価は100ドルどころか200ドルにもなり得る」と述べ、消費国並びに米国をけん制したことが注目された。

 首脳会議は、18日夕刻、当面の原油価格高騰対策として増産等を実施しないことを決めて閉幕した。増産を見送ったことに関しては、12月5日アブダビで臨時総会の開催を控えていることもさることながら、現下の価格水準を適正水準とみるベネズエラ等と行き過ぎとみるサウジアラビア等の加盟国の間で、油価の見方に関し立場の違いがあったことが大きいと評価される。(つづく)

 
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