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2008-03-07 08:19

都知事は銀行出資を“延命”に使ってはいけない

杉浦正章  政治評論家
 新銀行東京の驚くほどずさんな経営ぶりが白日の下にさらされている。政治家癒着の焦げ付き融資話すら出ている。再建策を見ると縮小均衡で問題を先送りして延命を図り、都知事石原慎太郎の任期中は破綻させない意図が明白である。血税を一政治家の“延命”に使ってはいけない。

 再建計画は400億円の追加出資し、現在の6店舗を本店1店舗に集約して、平成23年度の黒字化を目指す事を柱としている。要するに400億円の追加出資で細々と経営を続け、石原の在任中はつぶさないという意図が見え見えである。再建計画即石原延命策である。しかし金融専門家の間では「400億円追加しても半年か一年持てばいいとこ」という見方が強く、都議会が承認すれば都民の税金は焼け石に水となる方向だ。とにかく新銀行東京は「文人の商法」を反映しての“ざる経営”であった。焦げ付き86億円、半年以上延滞132億円。ほぼ回収不能となった貸し出し600件と、返済が6か月以上延滞している1100件を合わせると、融資件数全体の13%を占めることになる。

 「“破綻待機中”のリスクの高い企業が駆け込み寺として利用した」という指摘もある。最初から返済の意思がない、詐欺まがいの借り手も多かったのではないか。こうした融資を業界用語で「即死融資」というが、その即死率が少なくとも13%に達しているわけだ。即死率は実際には30%に達するという説もある。そもそも石原の安易な政治判断によるだだ漏れ経営で事態はここまできてしまったのである。石原知事のメンツよりも都民の税金の方が大事である。石原は不退転の決意というが 「そんなに存続させたいのなら、石原さんが個人で出資したらどうか」と朝日が社説で書いたら、共産党までそう言い出している。その“ざる融資”の中には石原じっこんの政治家の口利きで融資し、焦げ付いたものも含まれるという。石原は旧経営陣の責任を追及するというが、自らの責任を棚上げに出来るのか。

 今後は他行への事業譲渡などで撤退するしか道はないだろうが、脳死状態の銀行を引き受ける民間銀行が果たしてあるだろうか。現に断ったメガバンクが出てきている。債務超過-破綻の構図が見えてきた。時事電によると4日付の英紙タイムズは、「設立の発案者である石原慎太郎東京都知事は、都民の怒りを静めることはできない恐れがあり、同氏が軽蔑してきた中国から資金を借り入れざるを得なくなるかもしれない」と報じたという。要するに石原都政は思わぬ伏兵で一挙に断末魔だ。ここはみずから潔く責任を取って辞任すべきだろう。悪あがきは自分の傷を深めるだけでなく、都民の血税を泥沼に投げ込むだけのことになる。
 
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