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2008-03-12 12:32

(連載)世論調査からみた台湾総統選挙(4)

岡田充  ジャーナリスト
 TVBSは、投票1カ月前の2008年2月21~22日に実施された調査の結果を発表した。馬英九支持率が53%と変わらない一方、謝長廷は2ポイント増やし31%に上昇した。謝支持上昇の主因は、民進党支持層の謝支持率が前回の78ポイントから83ポイントに増加したことである。しかし、無党派層の謝支持が20%と前回と変化がなかったのに対し、馬支持は4ポイント増の48%であり、前回調査と大きな変化はないと考えるべきだろう。

 しかし両候補による2月24日のTV討論直後の調査では、馬が49%と4ポイント下がって、50%台を初めて割り込み、29%の謝との差は20ポイントに縮まった。TV討論後の調査で目立った点は次の通り。

 第1に、どちらに良い印象を持ったかについては、馬43%に対し謝28%と、馬に軍配が上がった。両候補の政策についても、馬支持44%、謝支持26%とほぼ同じ結果となった。2月25日付けの『中国時報』によると、討論を聞いた後「投票行動を変える」と答えた有権者はわずか4%。両候補にとって「可もなく、不可もない」結果になったと言える。
 
 第2は、TVBS調査に表れた世代別の支持率で、20~29歳の青年層で謝支持が43%と、馬支持の31%を超えたのが、謝にとっては明るい材料である。2つの調査から言えるのは、(1)両候補の差は20%まで縮まった、(2)謝にとっては、態度未表明の約20%のうち、無党派層の約10ポイントの支持拡大がカギ、(3)逃げ切りを狙う馬は、45%まで支持率を下げると赤信号、などである。

 選挙情勢に影響を与える可能性がある動きとしては、第1に李登輝が2月23日の記者会見で、総統選と住民投票の切り離しを初めて言明し、馬陣営は歓迎している。また第2に「統一派」の許信良・元民進党主席がTV討論直後、謝支持を表明した。ポスト陳水扁の民進党再編のなかで、一定の役割を果たしたいとの思惑があるようだ。党内には「ありがた迷惑」と受け取る向きが多い。(つづく)
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