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2008-03-25 08:16

“テロ減税”には「再可決」しかない

杉浦正章  政治評論家
 暫定税率失効が不可避の形勢となった。政府・与党はこの際、国と地方の歳入欠陥を最小限に食い止めるため、躊躇なく衆院での「再可決」に踏み切るべきである。民主党が首相問責決議案を出せば、これを無視するか、衆院で首相支持決議を通過させ、粛々と処理すればよい。民主党の無責任極まりない「何でも政局化路線」が押し通されようとしている。これまで首相福田康夫は、民主党に対して“性善説”でありすぎた。話の通る相手ではない。何度も言うがサソリは刺すのである。議長斡旋の一方的破棄、話合い継続という引き延ばし戦術など、ありとあらゆる手段で政局に結びつけて、政府・与党を追い詰めようとしている。

 暫定税率の失効で生ずる2兆6000億円の歳入欠陥をどうするかについても、民主党幹部からは“節約”などという児戯に類する対応しか出てこない。首相の修正方針提示にも難癖をつけて乗ろうとしない。要するに、民主党の目指すのは一種の“テロ減税”である。このような政党に理性を持った話し合いを求めても、もはや無駄ではないか。国民生活に責任を持つ政府・与党は、あらゆる手段を講じてこの“テロ減税”に対抗すべきである。ここはサソリの毒を中和するために、毒には毒をもって制するしかない。それには憲法に保障されている衆院における3分の2の再可決条項を活用すべきだ。3分の2条項の適応には二つの対応が考えられる。一つは、参院が民主党の対案を可決した場合、政府案の否決と見なして憲法59条を適用し、衆院で再可決する。衆参両院法制局長がこの方式の憲法上の問題について「答える立場にない」というのは、政治判断でやってくれということだ。

 問題は民主党がその手に乗るかという事になる。民主党が可決しなければ、「みなし否決」はできない。その場合憲法の60日間規定による見なし否決を活用すればよい。衆院通過が2月末だから4月末にならないと3分の2で再可決できず、ガソリン市場は混乱するが、これはすべて参院選挙で国民が選択した結果であり仕方がない。民主党はいったん減税したのに増税したと政府・与党を追及する構えだが、“テロ減税”を元に戻したからと行って増税と非難する根拠はない。さらに民主党は参院に首相問責決議案を提出、可決して、衆院解散に持ち込もうとするだろう。しかし憲法上何の拘束力もない決議案が可決されたからといって、いちいちまともに対応する必要はない。無視すればよいのだ。衆院を解散したり、内閣総辞職をしては、国政が停滞するだけである。だいいち日本の政治史に悪例を残す。
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