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2008-03-27 08:49

終盤国会が政権維持の関ヶ原

杉浦正章  政治評論家
 流れは、4月29日以降の暫定税率を維持する租税特別措置法改正案の再可決となった。政権の存否も賭けた正念場となるが、全ては首相福田康夫が、再可決後5月連休明けからの1か月を切り抜けられるかどうかにかかっている。既に与野党ともに4月1日からのガソリン税値下げは織り込み済みで、事実上国民に対する宣伝戦に入っている。福田は今月末に記者会見で再可決が何故必要かを訴え、国民の協力を求める。4月29日は休日だが、地方財政の窮状を考えれば同日にも本会議を開会して再可決すべきだろう。これに対し民主党は首相問責決議を出すが、おそらくこれを受けての本格的な動きは連休明けの7日以降に持ち越されるだろう。連休中は事実上の休会状態だろう。そこで与野党攻防の正念場は7日以降6月15日の国会閉幕までの1か月余りになるものとみられる。

 問責決議の可決を受けてどう福田が対応するかだが、(1)問責決議は法的根拠がない事を理由に無視する、(2)衆院を解散して国民の信を問う、(3)内閣総辞職して別の首相にバトンタッチする、などが考えられる。このうち「解散」だが、「与党3分の2」を放棄する政治判断をするには、与党内から反発が強く、よほどのことがない限り福田は解散権を行使しまい。世論は、おそらく朝日新聞が解散要求の社説を書くだろう。朝日は1月解散、春の解散といずれも主張して見通しを誤っており、今度は正念場とばかりに解散論に傾くだろう。しかし読売、産経、日経の各社は、おそらく解散を主張しまい。毎日は微妙だ。したがって世論は割れて、解散ムード一色になることはない。

 総辞職だが、「麻生政権で選挙」を待望する空気はまだそれほど台頭していない。福田としてはなんとしても7月7日のサミットを自分の手でやろうとするだろう。従って現時点では総辞職は考えにくい。結局「無視」が一番考えられる対応であろう。その場合には覚悟が必要となる。おそらく共産党をのぞく野党は、参院の全面審議ストップに出るだろう。しかし「無視」する以上は、腹を固めて、衆院で与党単独で重要法案の審議などを粛々とこなし、一方で宣伝戦を展開して野党の非を暴いてゆくしかない。

 通常国会を延長することはまずあり得ないから、国会は6月15日で終わる。国会を乗り切っても福田はおそらく「ぼろぼろ」になるだろうが、乗り切れれば先が見えてくる。サミットの前後に内閣改造を断行して、“ねじれ対応型強力布陣”を敷くのである。今の布陣ははっきり言って幹事長も官房長官も機能していない。ここに国民的人気のある麻生太郎や実力派の与謝野馨を取り込み、新体制で支持率の回復を図る。内閣改造が実現出来れば、後は衆院解散をちらつかせて、政局の主導権を握る。ここまで持ってこれれば、福田の力量としては十分だろう。問題は嫌気が差して政権を投げ出すケースがないかということだ。福田は官房長官も年金未納問題であっさりと辞任しており、その辺が霧の中だ。
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