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2008-05-22 08:42

8月臨時国会召集は冒頭解散回避が狙い

杉浦正章  政治評論家
 政府・与党が臨時国会召集を8月に前倒しする方向で21日動き始めた。自民党は、新テロ特措法の期限を延長する改正案の衆院再可決成立に必要な60日間を確保するためとしているが、真の狙いは、臨時国会冒頭解散回避にあるとみてよい。臨時国会の召集時期がいつになるかは、この緊迫した政治状況になると、衆院解散との絡みで見ることだけが正しい。折から民主党代表・小沢一郎は20日夜、衆院解散・総選挙の時期について「9月から12月までの間に必ずあると思っている」との見通しを示した。民主党は明らかに後期高齢者医療制度問題で会期末に首相問責決議を可決し、参院が機能しない片肺飛行のまま通常国会を終え、街頭の選挙戦に出る構えだ。もちろん問責決議可決の作った政治状況を臨時国会まで維持して、片肺状況を維持して冒頭解散に追い込もうというわけだ。既に10月19日投票説や同月26日投票説が永田町ではささやかれている。

 これに対し政府・与党は、後期高齢者医療制度問題の作った地滑り的な自民党離れ対策には、選挙時期をできるだけ遅らせて、できれば来年に回したいのが本音だろう。こうした中で自民党筋は、福田にお盆明けの8月中旬に召集し、会期は3か月程度とする案を打診した模様である。これは、秋の臨時国会は解散のために招集するのではなく、新テロ特措法など重要法案処理のために招集するのだ、という方針を強く印象付けるための苦肉の策であろう。加えて、通常国会中に後期高齢者医療制度の改善策をまとめるにしても、終盤国会にかけては野党の「廃止法案」に事実上追いまくられることから、臨時国会に反転攻勢の機会を作る必要があることも理由だ。政府・与党は、たとえ解散に追い込まれるにしても、状況が不利の極みとなる冒頭解散だけは避け、できれば臨時国会を解散なしで終えたいのだろう。

 しかし現実にそうなるかが問題だ。危険水域に入った首相・福田康夫の支持率が好転することは困難であり、自民党内から新首相の手で解散総選挙を目指す「ポスト福田」の動きが本格化してもおかしくない。たとえ福田政権が臨時国会まで維持されても、走り出した“選挙戦”は止めることは困難だ。マスコミも秋には「解散せよ」で全国紙の社説が一致するだろう。臨時国会の8月招集は本格化してきた“解散綱引き”そのものを象徴しているのだ。
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