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2008-06-06 23:10

洞爺湖サミットはグローバル・ガバナンスに貢献せよ

小野塚 佳光  大学教授
 日本でサミットが開催される機会に、何を政治的なメッセージとして発信するのでしょうか?たとえば、京都議定書の次の温暖化防止に関する国際合意を一歩進めたい。石油価格の高騰、食糧価格の高騰や各地の暴動に対して、積極的な国際協調を示したい。ほかにも、サミット直前まで、さまざまなテーマが持ち込まれ、様々な事件が起きるでしょう。私は、日本政府やサミットを支える諸官庁のスタッフに、こうしたテーマを総括し、サミットの意義を問う姿勢を示してほしいと思います。それは、グローバル・ガバナンスへの貢献です。日本で開かれるサミットです。日本が環境問題に貢献できる技術を持っている、と主張することも重要でしょう。アジアで開かれるサミットであれば、四川大地震への同情と励まし、復興に向けた協力体制を示すことも重要です。

 しかし、すべてに共通する、グローバル・ガバナンスという問題意識、グローバル・ガバナンスを構築しようという政治アピールを政治指導者が共有し、いわばそのアイデアや貢献を競い合うことは、サミットの意義を確認する最も重要なメッセージです。そのためには、例えば、欧米日を震撼させた金融市場不安に関して、これまでの新興市場における金融危機と一緒に、IMF改革や国際金融システムの改革案作成に向けて、重要な関係者を集めた委員会を設立し、報告書の作成を要請してはどうでしょうか。その場合、国際収支不均衡と調整、為替レート、資本移動、金融ビジネスの規制・監督、貧困国の援助や開発支援など、グローバル・ガバナンスに結びつけて、できるだけ具体的で、実行可能な改革を、様々な視点、様々な分野から集めます。

 あるいは、安全保障問題についても、各国の指導者はそれぞれに深刻な問題を抱えています。日本の首相でも、軽々に議論できないでしょう。しかし、日本はアジアの軍拡競争を心配しなければなりません。北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題を訴えるべきです。しかも、それをグローバル・ガバナンスとして、他の指導者たちと共有することです。イラクについて、イランについて、北朝鮮について、パレスチナ難民、ダルフール、コソボ、グルジア、アフガニスタンについて、そのほかにも、世界の治安が悪化している地域、軍事衝突が懸念される地域を取り上げて、解決のための話し合いと支援を呼び掛けてください。国によっては、「テロとの戦い」を主張するかも知れません。しかしまず、このサミットの議長国として、日本国民は核兵器廃絶に強い使命を感じている、と主張してください。それは、核管理・廃絶に対する保有諸国の責任を問い、国際安全保障のあり方、例えば安保理改革を問うものです。

 アフリカでも、日本でも、貧困はその社会や政治を問うものです。貧困から抜け出す助けを必要とする人々がいるなら、指導者として何を発言し、彼らに何ができるのか、率直に語ってほしいです。援助の約束だけでなく、グローバル・ガバナンスの問題として貧しい人々の意見を聞き、民間の力を生かすことです。ODAを共有・監視する国際機関や、NGOとの協力、子供の衛生・栄養状態や学校の改善に、住民たちを直接助ける仕組みを提唱してください。G8をG13へ拡大し、IMF・世銀、WTO、そして国際移民についても、グローバル・ガバナンスを改善するために、情報を共有し、政策や制度を鍛えてほしいです。
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