国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-06-08 13:13

グローバリゼーション時代にバブル対策はあるのか

入山映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 1年後に10円返してもらう約束で、利息を天引きして9円のオカネを貸した。その借り手が、今度は利息2円で10円を又貸しして8円を渡す。以下7円、6円と、まあきりがないからこのあたりで止めたとして、ゲンナマは10円しかなかったのに債務(信用)の総額は40円になる。誰かがどこかでこけると、大騒ぎになる。手元のフェルメールを10億円で売ったとして、それを聞きつけた人が割安だから将来値上がりすると踏んで、その買い手を説得して11億で買ったとする。以下繰り返して20億円まで行ったとしよう。さすがに誰も買わなくなったら、最後の買い手は壁にかけて楽しんでいる他はないが、値上がりを当て込んで、借金で買ったとすれば、そんな優雅な話ではなくなる。

 ご存知サブプライムが前の話で、バブルがはじけて最後にババ(トランプ遊びだから差別用語にならないことを祈る)を引いた話が後の方だ。前の方の話は、ネズミ講と違って、倍々ゲームのように乱暴な話ではなく、一回毎のサヤ(スプレッド)は小さい分だけ増えまくるのだが、おかしくなった時に年金基金がからんでいたりすると、政治問題化する可能性はあるし、金融機関が本格的におかしくなって、税金投入みたいな話になるのは経験済みだ。その点では、後の方の話も、個人投資家が泣きを見て幕という話で済まない場合には、似たようなことになる。

 どちらの場合にも、借金付けになっているどこかの国の財政と同じで、インフレが来て実質の借金が目減りしてくれるのを祈る、みたいな乱暴な話をよく聞くが、年率10%のインフレでも半額になるのには8年がかりだから、そのタイムラグを持ちこたえられるかどうか、持ちこたえられるのは誰か、ということになる。まあ、個人投資家でないことだけは確かだろう。残念ながらどちらの方も、法的に禁止することはできない。一国の中だけで閉じられた取引ならば、目に余る行動を制限したり、制度的に対応する(税金投入を含め)ことはある程度可能だが、グローバリゼーションの世の中で取引が国境を越えてしまうと、ほとんど実効性のある対策は皆無だというのが現状だ。

 だから穀物や石油が法外な値上がりをしても、なす術がないことになる。国際金融取引を巡っては、トービン税のようなアイディアもあるが、一カ国でも網の目から漏れると役に立たないのだから、京都議定書を見ても明らかなように、現実味があるとは些か考えにくい。どうせいつか、どこかで止まる、あるいははじけるのは確実なのだが、軟着陸シナリオというのが言うは易しく、というのも周知のとおりなのは、中国経済と同じことだ。いつかは襲ってくる直下型地震と同じで、取り敢えずは水と食べ物を備蓄しておくしかないのかもしれない。さて、知恵者はいないものか。

興味ある方はhttp;//airiyama.exblog.jp
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム