国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-06-11 21:47

いわゆる居酒屋タクシー問題の根源にあるもの

愛知和男  衆議院議員
 夜遅くまで残業した官僚が、帰宅時に利用した馴染みのタクシーから、ビールなどをはじめとするサービスを受けていたことが、社会問題になっている。確かに好ましいことではないことはもちろんであるが、このような問題が発生した根本的な原因についてあまり議論されていないので、事実を明らかにしたい。根本的原因は官僚の残業にある。終電に間に合わない時刻まで残業することが、いわば常識になっているのはなぜかといえば、国会に原因があるのである。国会の委員会での議員の質問に対する答弁の準備に膨大な時間がかかっているのである。

 委員会での質問は、主として野党の議員が行うのが慣例となっているが、野党からの質問に対して答弁に詰まったりして、国会運営上影響が出てくることを恐れる官僚は、万全の準備をしようとする。まずもって質問内容が判明するのは、委員会が開かれる前日で、しかも質問者がなかなか質問内容を教えてくれないケースも多い。ようやくわかった質問に対する答弁を、役所のなかでまず作成するのであるが、担当部局が複数にまたがる場合も少なからずある。関係部局間の調整を経て答弁案がまとまると、これを関係する他の役所に回して了解をとらなければならない。すんなりいけばいいが、異論が出てくるとその調整に時間がかかる。このような理由で、役人の残業が深夜に及ぶのである。

 解決策は明白である。委員会の場で、質問にすぐ答えられなければ、後日改めて回答するということが許されるようにすれば、済むのである。野党がこれを許さないのが根本的な問題なのだ。委員会で質問する者には、質問内容とそれに対する役所の回答を議事録に残したい、と言う思いがある。議員活動の実績として記録に残したい、ということである。これは理解できないわけではない。後日改めて回答するということでは議事録に残らないので、質問者はあくまでも委員会の場での回答を要求するのである。

 これに対しては、アメリカやイギリスなどで採用されていると聞いている方式、すなわち書面での回答を議事録に残すというやりかたを採用すれば、この問題は解決する。こういった方策を採用することにより、官僚の残業時間を大幅に短縮することが可能になると思われる。居酒屋タクシーはけしからん、と怒っているだけでなく、これを機に、国会審議のあり方を見直すところまで切り込む必要があるのではないか。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム