国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-07-24 08:10

政局の行く末決める自公トップ(福田・太田)会談

杉浦正章  政治評論家
 臨時国会招集時期を9月末に持ってゆこうとしている勢力がどうして生じたのか、首をかしげていたが、ようやく分かった。衆院解散の思惑と密接に連動しているのだ。1月で期限の切れるインド洋補給支援特措法の延長法案は選挙に不利だが、これに深入りせず、1月解散に持ち込もうという意図があるのだ。臨時国会について、当初自民党内は8月22日の招集でほぼ固まっていた、しかしここにきて9月末招集論が生じ始めた。発生源は公明党であり、これに同調し始めたのが自民党選挙対策委員長・古賀誠である。古賀は23日の講演で「暮れの税制議論や予算編成は与党の命運をかけた議論になる。年明けしか解散・総選挙のタイミングは考えられない」と解散時期を年初に絞りきった。

 また臨時国会の召集時期を巡って、古賀は「インド洋給油法には与党内で温度差があり、国論も2分している。延長法案を成立させるために逆算して開会を決めるのは、慎重であるべきだ」と、補給支援特措法延長法案処理に消極的な姿勢を打ち出した。古賀には任期満了選挙は野党に追い込まれるとの危惧(きぐ)があり、何としてでも1月解散に持ち込むしかない、という信念が固まってきている。また参院自民党内でも原油高騰、年金記録漏れ、後期高齢者医療制度などの問題で民主党の攻勢にさらされるとして、“国会恐怖症”的な発言が繰り返されている。これは、公明党の姿勢とも一致している。公明党には補給支援特措法延長法案を前臨時国会と同様に3分の2ルールで成立させることに選挙対策上の強い危機感がある。党内にも「これ以上国民に背を向けたら、選挙を戦えない」という声が生じている。来年の都議会選挙と事実上のダブル選挙になって、衆院選に集中できなくなることも懸念材料だ。

これに対し、8月末臨時国会召集を主張してきた幹事長・伊吹文明は、首相・福田康夫と会い、「9月招集では時間が足りなくなり、対外的にも、国民に対しても、責任が果たせない」として反対の立場を伝えた。確かに党利党略優先の臨時国会召集時期問題が発生した形だ。原油の高騰から来る物価高、継続審議の後期高齢者医療制度廃止法案など国民生活に密接な問題や外交安保に直接かかわる法案の論議が、突き詰めれば“国会恐怖症”のためになおざりにされることとなる。また招集を1カ月遅らせることで、与党に決定的に不利な政治状況に変化が生ずると思うのは、いささか浅はかであり、対応が姑息(こそく)である。国会が仕事の国会議員が国会審議を恐れてどうするのだ。まさに公明党や選対委員長らしい“権謀術数“に傾斜した主張だが、これが通るかどうかはすべては福田の決断にかかっている。福田が公明党代表・太田昭宏と会談の結果どういう結論を出すかで、政局展望が出来る情勢になるのだ。その意味で福田・太田の自公トップ会談は政局の行く末を決める会談となり得る。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム