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2008-11-25 09:00

(連載)改革開放30年の成功モデルからの脱却?(1)

増田 雅之  防衛省防衛研究所教官
 本年12月に中国は改革開放30周年を迎える。改革開放30年という「富国」を目指す歩みの結果、中国はすでに米国、日本に次ぐ世界第3位の経済大国となり、その国際的影響力はかつてない程高まっている。今回の金融危機への対応においても、中国は「責任ある大国」としての役割の発揮を求められている。10月末に北京で開催されたアジア欧州首脳会合(ASEM)で、フランスのサルコジ大統領やドイツのメルケル首相は、中国がもっとも高い経済成長を誇る大国であることを強調し、金融危機へのより積極的な対応を中国に求めた。また11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)において胡錦濤国家主席と会談した麻生首相は、外貨準備高世界1位の中国も金融危機に対応して国際通貨基金(IMF)に融資するように呼び掛けたのである。

 中国も国際社会との協調姿勢を示している。10月8日には、米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)等の米欧6中央銀行が、金融危機と株安の連鎖を止めるため、協調して政策金利を引き下げるとの声明を発表したが、中国人民銀行も8日、金利の引き下げを発表した。また、胡錦濤主席はAPEC首脳会議において、金融危機を「世界経済が直面するもっとも厳しい挑戦」と表現し、財政政策と通貨政策による危機対応と国際協調の必要性を強調した(『人民日報』11月24日)。事実11月5日の国務院常務会議において、温家宝総理は「金融危機は日々深刻化しており、積極財政と適度に緩和された通貨政策の実施が必要だ」と指摘し、今年10~12月期に1,000億元の財政出動を実施するなどの大規模な景気刺激策を中国政府は8日に発表した。発表によれば、2010年末までの総投資額は概算で4兆元にのぼり、英国紙『インディペンデント』は中国政府による財政出動は「世界中で歓迎されるであろう」と高く評価した。

 金融危機への中国の対応は、たんに世界経済安定への中国の「貢献」というだけではない。金融危機が与える「もっとも厳しい挑戦」は、中国経済それ自体への挑戦であり、ハードランディングの可能性さえも中国の専門家の間では議論され始めている。10月20日の国家統計局の発表によれば、7~9月期の経済成長率は9.0%となった。成長率が10%を下回ったのは11四半期ぶりで、国家統計局の李暁超・国民経済総合統計局長も「今の経済情勢のなかで突出した矛盾と問題は、主に国際金融市場の動揺や世界経済の明らかな失速だ」と語り、金融危機の影響の大きさを強調した。4~6月の成長率の発表会見で、李局長が、中国経済の減速はあくまで過熱抑制やインフレ防止を狙った政府の経済引き締め策によるものと強調していたこととは対照的で、金融危機の深刻化は中国の政策当局にとっても想定以上のものだったと言えよう。(つづく)
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