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2008-12-15 10:24

(連載)炭素循環について(1)

木下 博生  全国中小企業情報促進センター参与
 新聞報道によれば、先週、ポーランドで開かれていた気候変動枠組条約締約国会議「COP14」は、さしたる具体的な進展もなく、終了したと伝えられている。大気中の炭酸ガス濃度が上昇して、地球温暖化をもたらしているというのが、地球環境保護論者の主張である。大気中に占める炭酸ガスの濃度は、1960年頃の0.032%程度から、2000年頃には0.037%程度に増えたと言われる(ハワイのマウナロア火山における観測)。IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告によれば、増加の原因として第一に挙げられているのは、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の燃焼であり、次に森林の減少やバイオマスの衰退が指摘されている。従って、地球温暖化問題の論議は、化石燃料の燃焼にともなう炭酸ガス排出量の増加に焦点を絞って進められることが多い。

 ところが、地球上で排出される炭酸ガスの量に占める化石燃料からの炭酸ガスの量は意外と小さいのである。地球エンサイクロぺディア(ピッドワーニイ氏)によれば、毎年、大気に排出される炭酸ガスの量は、炭素の量に換算して、人間を含む生物の呼吸により500億トン、土壌から600億トン、化石燃料の燃焼により65億トン、森林の焼却、伐採により10~20億トンとされている。海洋は、大気との間で、毎年900億トンの炭酸ガスを交換しているから、大気に出される炭酸ガスの総量は、全体で2,000億トンを超える。その中に占める化石燃料からの炭酸ガスの量は、3%強にしか過ぎないのである。

 他方、大気中の炭酸ガスは、毎年、光合成により植物に1,100億トン吸収されているし、海洋との交換で900億トン以上のものが吸収されていると言われる。このように全地球的にみた炭酸ガスの排出と吸収のサイクルを、「炭素循環」と呼んでいるのである。(つづく)
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