国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2008-12-22 10:03

日本紛争予防センターで聞いた話

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 NPO日本紛争予防センター(http://www.jccp.gr.jp/)の主催する講演会で最近のアフガニスタン・パキスタン情勢について話を聞く機会があった。先に11月10日付けの本欄に「問題はアフガニスタンだ」を投稿したが、若干の修正を加えた方が良いか、と思われる知見を耳にしたので、紹介をかねて記しておくことにする。

 先の投稿の要旨は、「米国は、はずみで(というには余りに重大だが)イラクを侵略してみたものの、とても一筋縄ではゆかない。本来憎いのはビン・ラディンであり、アル・カイダなのだから、さっさとイラクはけりを付けて、アフガニスタンに向かいたい。ところがタリバンは、一旦は簡単にやっつけてはみたものの、アル・カイダと手を組んだ上に、パキスタン領内に穴熊を決め込まれると、これはどうしようもない。ここはタリバンと仲直りをして、アル・カイダを裸にして攻撃する他はあるまい」というものだった。

 ところが、田舎育ちのパシュトゥン(アフガニスタンの人口の半数近くを占める支配的部族)の素朴な人々は、腐敗した政府を義憤に燃えて打倒しただけのことで、米国に介入されるともろくも崩れ去ったあの頃のタリバンとは違い、アル・カイダやパキスタン諜報部(これについては確証はないようだが)にみっちり鍛え上げられて、現在は様変わりだという。のみならず、今や米国相手に勝ち戦の真っ最中だと認識している。負けかかっている方が話し合いを提案しても、これは聞かれる筋合いではない、という観測があるようだ。

 反面、義賊ロビン・フッドだったはずのタリバンが、身代金目当ての誘拐に手を染めるわ、麻薬取引で資金を得るわ、みたいになると、「一寸待ってくれ」みたいな話があると同時に、必ずしも一枚岩・上意下達の組織ではなくなっている面もある。そうであってみれば、切り崩しに応じる余地は十分にある、という見方もあるようだ。アラブ人の組織であるアル・カイダとの違和感、さらにはアラブからの輸入品である自爆テロに対する抵抗感も、与って力あるのではないかという。

 オバマ政権がこれを利用しない筈はない。ヒラリー国務長官であってみればなおさらそうだと思う。米国に気に入られたくて、サマワに給水部隊を派遣したり、給油活動にいそしむ以外に、日本に出来ることは山ほどある。タリバンに穏健なマドラサ建設の援助をするとか、間接的にパキスタン経由でそれを行うとか。失敗が許されないお役人・外務省からは逆立ちしても出てこない発想であってみれば、NGOにやらせてみる好機だと思うのだが。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム