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2009-01-17 22:32

(連載)日アセアンCEPと日越EPAの意義(1)

関山 健  東京財団研究員
 昨年12月1日に日アセアン包括的経済連携協定(AJCEP)が発効した。日本とASEAN諸国との間では、日越EPA(JVEPA)交渉もすでに9月に大筋合意しており、間もなく締結に至る見込みである。この日アセアンCEP発効と日越EPA合意の意義について、考えてみたい。その前に、日越EPA発効までの見通しだが、9月に大筋合意したあと、できるだけ早いタイミングで署名の見込みである。発効のタイミングは政治情勢次第だが、次期通常国会に提出できれば、本年5~6月頃には国会承認を得て、8~10月頃には発効されると予想される。

 日越EPA締結の意義は何かとなれば、大筋合意の内容を見るかぎりでは、関税面でのメリットは必ずしも「大きい」とは言い難い。特に取引ロットの大きくない中小企業にとっては、原産地規則証明書取得のための手間ひまや発行手数料(従来のEPAの例で言えば、2000円/件+500円/品)も加味すれば、大筋合意された関税削減の内容では、大きな効果は期待できず、過度な期待は持たないほうがいいかもしれない。

 ただ、日本とはEPAやFTAを締結していないものの、ベトナムとは締結(見込み)している有望市場国(中国、韓国、インドなど)との関係では、ベトナムに関税優遇のハブとしての位置付けを期待することができるかもしれない。ベトナムは、「第2の中国」として日系企業の新たな製造拠点として注目されているだけに、これまで日本がEPAを締結してきた他のアセアン諸国以上に、こうした関税優遇のハブとしての位置づけへの期待は大きい。とはいえ、大筋合意の内容を見ると、主要鉱工業品については、日越EPAによって関税が即時撤廃されるものはほとんどなく、関税削減ペースも遅い。残念ながら、すぐに日本企業の利用度が高い、と言えるだけの内容になっているとは、まだ言い難い。(つづく)
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