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2009-01-22 08:11

政治家の発言から政局の動きを読み解く

杉浦 正章  政治評論家
 政治家の発言から、最近の政局の動きを読み解いてみたい。

★「待てば海路の日和ありが、本降りとなって出て行く雨宿りとなった」(前鳥取県知事・片山善博の解散問題をめぐる発言)
 実に言い得て妙。首相・麻生太郎が解散を先延ばししたのは、「待てば海路の日和あり」と判断したからにほかならない。ところが支持率急落で自民党をめぐる政治状況は悪化の一途。遅くとも任期満了の9月までには、「本降り」の中で雨宿りを出なくてはならない。解散・総選挙の投票日は、都議会議員選挙の投票日を7月12日としたことで、予算審議でのハプニングがない限り、都議選を挟んで5月か遅くとも10月となる。5月の場合は予算関連法案が4月中に成立したのを見届けたうえでの解散となる。麻生にしてみれば、何としてでも攻めの選挙をしたいところだろうから、5月選挙を選びたいところだろう。しかし支持率が極度に低迷した場合は、更に先延ばしとなるが、任期満了選挙の場合には、首相が代わっている可能性も否定できない。総裁選挙前倒しで、麻生を新総裁に変えたうえでの解散を狙う動きが本格化する可能性もあるからだ。しかし一方で、元首相・森喜朗が朝日新聞とのインタビューで「イチかバチか。麻生さんも自民党最後の総裁になるかもしれないが、それはそれでいいじゃない。野に下り、今度は攻めに入れば」と、麻生との”抱き合い心中論”を述べている。まだいずれの流れかは即断できない。

★「これまでの国会答弁からぶれないようにしてほしい」(自民党政調会長・保利耕輔に対する麻生の消費税問題での指示)
 しかし麻生の当初の方針は換骨奪胎され、またも「ぶれた」。税制関連法案付則に書く当初案は「11年度より実施できるよう、必要な法制上の措置を講じる」だったが、これに中川らがクレームをつけた。中川は「実施を明言しては、容認できない」と批判、造反も辞さない姿勢を見せた。これに対して保利ら執行部が作った案は「11年度実施」としていたのを「11年度以降」と幅を持たると同時に、11年度を「引き上げ時期」ではなく「法的準備を終える期限」と読めるようにした。この結果「景気好転を条件に11年度にも引き上げられるよう関連法を準備する」と「引き上げの施行日は別の法律で定める」の「2段階」となる方向だ。「ぶれぶれ首相」の汚名返上をしたい気持ちは分かるが、譲歩しなければ「首相職返上」につながりかねないとあって、やはりぶれた。当初から、財務相・与謝野馨の路線に引っ張られすぎたのが間違いの元だ。しかし、ぶれたおかげで反麻生の動きはとりあえず沈静化の方向。

★「割れるなら割れていい。好きにしたらいい。なだめて、あやして、なんてことはしたくない」(中川秀直に対する森の発言)
 清和政策研究会(町村派)は、もう事実上分裂状態に陥っている。麻生支持の森や町村信孝と、反麻生の中川との亀裂は拡大の一途だ。小泉構造改革に固執する中川との路線上の対立もある。中川は消費税問題でも税制法案付則への記載反対で中堅・若手議員の中核的役割を果たしており、森はそれが気に入らない。中川のすること、なすこと全てに反対だ。「代表世話人を辞めてもらいたい」とまで言っている。政局が緊迫する段階で派内の多数派工作をされるより、いまのうちに中川を切って、出来るだけ孤立化させようという腹に違いない。
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