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2009-02-10 08:03

政治家の発言から政局を分析する

杉浦正章  政治評論家
 激動政局を反映して、政治家の発言が極めて面白くなってきた。発言から政局を分析する。

★「あなたの人柄は好きだが、首相にならない方が良かった」(民主党最高顧問・渡部恒三の2月9日の衆院予算委員会での発言)
 渡部が普段から言っているのは、「永田町では人がよいという言葉はバカと言っているのと同じ」。渡部は「バカ」と言いたいところを、さすがに自重したのだ。郵政発言をめぐる首相・麻生太郎の発言は、朝日新聞が「くるくる首相」、読売が「ころころ答弁」と表現しているように、もう「失言スパイラル」で止まらない。内閣と自民党支持率をどんどん押し下げる図式を作っている。その図式とは、郵政見直しで、郵政改革を支持しない層とは逆に支持する層が一定数あったとすると、今度は否定してその層も失ったということだ。二重の支持層喪失につながっている。これは就任早々の、後期高齢者医療制度の抜本見直しとその否定発言以来続いている、麻生発言の支持率押し下げのパターンだ。まさに「もうどうにも止まらない」。渡部は「あなたの答弁は男らしくない。訳が分からない」と一喝したが、まさに男らしくないというか、異常というか。

★「黒い霧解散のときは圧勝した。世論調査で選挙をきちんと予測できるわけではない」(2月9日の衆院予算委での麻生答弁)
 1966年 の黒い霧解散の時、小生は首相官邸クラブ詰めだったが、1979年当選の麻生は、実感として分かっていない。黒い霧事件は小さな不祥事の寄せ集めで、マスコミが作った「ムード」だった。支持率低下に悩みながらも、佐藤栄作は解散に打って出た。総選挙では自民党は善戦し、「大山鳴動して、鼠一匹も出ず」の結果となった。各新聞社の世論調査も外れた。しかしそれ以後半世紀、選挙に関する世論調査の分析方法も改善に改善を重ね、精度が格段に高くなっている。10日報道された各社世論調査も、朝日が「衆院選比例区の投票先は、自民の22%に対し、民主は42%」と倍近い。読売も「民主40%、自民26%」。共同通信も「望ましい政権の枠組みは、民主党中心55.3%に対し、自民党中心25.9%」。いずれの調査でも民主党は、自民党に倍近い差をつけている。いままでにない現象である。この調査から予測する限り自民党の惨敗は避けられないのだ。

★「各省庁の局長クラス以上に辞表を提出してもらい、政策を遂行するかどうかを確かめたい。発想を切り替えるなら、また任命する」(民主党幹事長の鳩山由紀夫の大阪での2月9日の講演)
 お坊ちゃまかと思っていた鳩山が、霞が関官僚に対してすごんだ。自民党による“官僚政権”から民主党の“国民政権”にするための方策として、官僚に踏み絵を強いるというものだ。確かに、官僚批判の先頭に立ってきた民主党政権になった場合、果たして官僚が動くかどうかが焦点だ。鳩山は衆院代表質問でも、「民主党が中心の国民政権が誕生すれば、政治と行政の仕組みを根本から変える。第一に官僚主導の政権から国民主導の政権へと脱皮する。そこでは政策の基本は政治家がつくり、官僚は行政の執行にあたり本当の意味で国民の奉仕者となる」と述べている。代表・小沢一郎は官僚押さえ込みのため、民主党議員100人を各省庁に配属させる予定だ。鳩山踏み絵発言は、選挙の前から早くも官僚をけん制したものだ。官僚を抑えられるかどうかだが、答えは簡単だ。民主党政権が長期化するか、短命で終わるか、にかかっている。短命と予測されれば、面従腹背。長期化となれば面従腹従となる。ただし自民党に殉じて辞任する官僚などまずいない。
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