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2009-02-17 08:00

中川財務相は即刻辞任すべきだ

杉浦正章  政治評論家
 100年に一度の経済危機に際して、この政権に国の命運を託して良いのか、という事態になり得る。日本の顔に泥を塗った「もうろう財務相」・中川昭一を、首相・麻生太郎がかばい続ければそうなる。その判断力すら、もう政権にはなくなったのだろうか。GDPの落ち込みがマイナス12.7%と二桁となり、米国、EUのマイナス4~6%を大幅に下回るという未曾有の事態になっても、政界はまだ「呑んだか、呑まなかったか」という“弛緩極まりない”論議を続けるのだろうか。いまからでも遅くはない。首相は、野党の問責決議で国会が行き詰まる前に、財務相が自ら辞任しない限り、罷免すべきである。

 そもそも中川の飲酒癖のひどさはほとんど病気というのが、永田町の常識であった。その症状が現れないかと、かねてから観察し続けてきたが、最初に公に現れたのが、26カ所読み間違えた財政演説だ。続いて3~4日前にろれつの回らない記者会見をしていた。そして今回の事件であるから、これは確信犯といってもよい。元首相・森喜朗が16日、TBSの番組で明らかにしたところによると、麻生内閣の組閣の際に森喜朗は米国に滞在していたが、中川人事について電話で麻生に飲酒問題を指摘したようだ。それにもかかわらず麻生は「お友達」のよしみで入閣させてしまった。森は「選考に異議がある」とまで述べている。

 麻生の対応は「体調管理して、職務に専念せよ」であるから、まるで激励のようである。中川自身も甘く受け取っている。国会で追及を受けて、「ワインに口をつけた。『ゴックン』はしていない」と冗談めいた答弁をして、にやりと笑ったのである。これが笑う場面だろうか。感覚を疑う。民間会社の場合、会社の命運を左右するような他社との会議に専務や常務が出席して、その後の記者会見で醜態をさらせば、即刻罷免である。かねてから飲酒癖があり、醜態をさらす恐れがある、と自分自身で分かっていながら、酒を口にするとは、「病気」以外の何物でもない。罷免しなければ「これで良し」という判断となり、こんごの重要会議にも飲酒で出席することになる。4月にロンドンで開催される緊急首脳会合(第2回金融サミット)に、麻生内閣は世界的に有名になった「もうろう大臣」を出席させるつもりだろうか。

 問題は、中川の飲酒エピソードに関する「証言」が次々に出てくると言うことである。既に選挙区の幹部がテレビで「大臣室の脇にソファーベッドが置いてあって、中川さんが酔っぱらって寝ていた」という証言が出ている。こうしたエピソードは増幅を重ね、内閣支持率を限りなくゼロに近づけるだろう。予算案審議中に担当閣僚を更迭すれば、政権基盤を揺るがす恐れがあるが、更迭しない方が被害が大きいとみるべきだろう。

 野党は千載一遇のチャンスとみて、既に「死に体」じみている麻生政権にとどめを刺そうとするだろう。野党は参院に中川の問責決議案を提出して可決させるだろう。これに連動して、09年度予算関連法案の衆院審議と、08年度第2次補正予算関連法案の参院審議にも応じまい。弱り目にたたり目の事件も、麻生の甘い人事の結果である。ここは罷免と言うより、中川は自ら問題の大きさを悟り、内閣全体を考えて、辞任する場面だ。きょうにも辞任しなければ、床にはガソリンがまかれた状態であり、マッチ一本ですべてが終わりかねない。
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