国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-02-27 08:46

常任世話人だより(5):「第46回外交円卓懇談会」について

若林 秀樹  グローバル・フォーラム常任世話人
 2月17日に開催された第46回外交円卓懇談会のもようについて、感想を述べさせていただきます。外交円卓懇談会は、海外で活躍する各方面の専門家(日本人を含む)が来日された際に、グローバル・フォーラム、日本国際フォーラム、東アジア共同体評議会の3団体のメンバー、会員、議員がお話を伺い、その後率直な意見交換を行う懇談の場ですが、今回は「イスラエルから見た世界情勢の動向」と題して、エフライム・ハレヴィ・ヘブライ大学戦略政策研究センター所長(前モサド長官)からお話を伺い、そのあと懇談しました。

 「モサド」とは、有名なイスラエルの対外情報機関ですが、ハレヴィ氏はその「モサド」に28年間勤務し、最後には長官にまで登りつめたひとです。すでに第一線から引退されているにもかかわらず、その眼光は鋭く、ある出席者があとで「あの眼は、映画で見た『ゴッド・ファザー』の眼のようだった」と言っていたのが、印象に残っています。終始ニコリともせずに、相手を威圧するような鋭い眼光で語りつづけていたのが、印象的でした。なにを質問しても、迷うことなく断定的に即答する言葉の端々に、イスラエル国家を守り抜いてきた、という強い意志と自信があふれていました。

 ハレヴィ氏の話の中でとくに興味を引いたのは、イスラエルが1948年の独立当初の四面楚歌の孤立状態から次第に友好国を増やしていった大戦略の話でした。まず、敵(シリア、イラク、エジプト)の敵(トルコ、イラン、エチオピア)を味方にし、遠交近攻策でアラブの辺境にいるモロッコと結び、最後にはそのモロッコの仲介でエジプトとも平和条約を締結した、という大戦略です。しかしなんと言っても圧巻は、1956年の第2次中東戦争で敵対したアメリカを、その後最大の友邦に取り込んでしまったことでしょう。アメリカはイスラエルの建国当初からその同盟国であったように思っているひとが結構いますが、それは事実ではないのです。そのことをこの戦略家の言葉から再確認しました。

 なお、当日のより詳細な「メモ」につきましては、日本国際フォーラムのホームページ(http://www.jfir.or.jp/j/diplomatic_roundtable/46_090217.htm )に掲載されていますので、ご関心のある方はそちらをご覧ください。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム