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2009-03-18 08:06

揺れる小沢民主党代表:辞任しかあるまい

杉浦正章  政治評論家
 進むも地獄、退くも地獄の民主党内で「代表・小沢一郎は政治資金規正法違反という形式犯では辞任しないのでは」という観測が生じている。17日の記者会見で「検察当局はそう遠くないうちに結論を下すので、わたし自身の今後のことは、その結論が出たときに判断したい」と発言したからだ。発言のウラには、逮捕された第1秘書の拘置期限の24日までに政治資金規正法違反の罪で起訴されるかどうかが不明だし、起訴された場合でも、その内容を見極めて判断したいという気持ちがにじみ出ている。しかし筆者は、東京地検はメンツにかけても起訴に持ち込むし、起訴された以上代表辞任は避けられないとみる。小沢はかねてから「秘書は起訴されない」と公言しており、その秘書が起訴されれば、辞任するのが憲政の常道だ。それでなければ、民主党は一蓮托生で小沢とともに沈没することが確実だからだ。

 いったん3月10日の記者会見で小沢は 「政権交代のため衆院選で勝利しなければならない。今後の行動はそれを基準に判断したい」とのべ、民主党の選挙勝利のための辞任を強く示唆した。それが変わったのだろうか。いや揺れているのだ。この期に及んでも、ごますり側近らからは「形式犯で辞めることはない」といったささやきがしょっちゅうあるのだろう。本人もつい「そうか」と留任したくなる。しかし冷静に戻ると、辞任は避けられないと思う。権力者というものは、重要な決断では揺れに揺れて、最終判断は当初の判断に戻るものだ。

 辞任しない場合、民主党がどうなるかを考えてみよう。まず民主党が得意の“パフォーマンス政治”にとって頼みの綱であった民放テレビなどマスコミから24時間袋だたきにあう。新聞も社説で「辞任せよ」と書く社が多いだろう。ごうごうたる辞任論の中で、民主党内は辞任論と留任論に割れて、人事抗争へと発展する。それをまたマスコミがはやし立てる。「次の総理にふさわしい政治家」の世論調査における小沢の支持率は限りなくゼロに近づく。民主党は悲鳴を上げながら螺旋状に墜落してゆくのである。政権獲得どころか、一転して総選挙大敗北が目に見えている。だから自民党にとっては、小沢の居座りが一番有り難いことになる。だいいち起訴が政治資金規正法違反にとどまるかどうかも疑問だ。最低で同法違反、場合によっては東北の利権がらみであっせん利得罪もささやかれているのだ。

 逆に辞任して、有力とされる副代表・岡田克也が代表に就任した場合にどうなるか。マスコミの論調、特に朝日新聞の論調は「再生民主党支持」へと変化する。「土建政治にどっぷり漬かったかのような小沢」(朝日新聞10日付け社説)から「クリーン・イメージに期待」といった感じになるだろう。これにテレビもつられる。そもそも秘書逮捕は小沢個人の問題であり、直接的に民主党とは関係ないからである。したがって政党支持率は「西松疑惑」が発生する前の時点を維持できるかも知れない。いったん休止状態にあるマスコミの“政府・与党たたき”も復活するかも知れない。岡田は統率力や選挙技術が小沢ほどあるとは思えないが、総選挙までの人気回復、維持には十分役割を果たせるだろう。急場における総選挙向けのリーダーである。これだけ分かっていながら、小沢の“自発的辞任”がないだろうか。まず小沢は辞任なしにこの難関を突破することは困難だろう。有終の美を飾るには引け際が大事だ
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