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2009-05-14 10:11
オバマ政権100日の評価と課題
峰崎 直樹
参議院議員(民主党)
最近、気になるのは、アメリカのオバマ政権の最初の100日間が過ぎたことであろう。この間の金融危機へのすばやい対応については、高い評価は出ており、ガイトナー財務長官のもたつきが目に付いたものの、先ずは順調な出足といえよう。そうしたなかで、核軍縮について積極的な姿勢を強く打ち出した事に注目したい。これまで、そういえばあまり核兵器の廃絶については、国際社会で論議になってこなかったのだが、オバマ大統領が提起した事を受け、グルジアのシュワルナゼ前大統領も高く評価しているし、今後唯一の被爆国である日本としては、声高に核廃絶に向けてアッピールしていくべきだ。できれば、オバマ大統領が来日した際、広島・長崎を訪れて、二度とこのような惨禍を繰り返さないよう、世界に向けて発信してもらうべきだろう。
もうひとつ、オバマ大統領が提起した事のなかで注目したいのは、タックス・ヘブンの国に対して「違法な海外での税回避を取り締まり、抜け穴をふさぐ」と強調したことである。10年間で2100億ドル(約21兆円)の税収増につなげ、これを財源として10年で750億ドル分の研究開発減税を目指す計画だという。また、米国人の富裕層の税逃れを助けている海外金融機関に対しても、顧客情報の開示義務を厳しくするという。まことに重要なメッセージであり、日本政府としても、高額所得者の脱税の温床となっているこうしたタックス・ヘブンの国々に対し、毅然とした態度が求められるのだ。良い事は謙虚に学ばねばなるまい。
そのアメリカだが、19の金融機関に対する不良債権の査定がようやく終わり、今後資本の増強を必要としている金融機関は10行で、必要とされる資本増強額は7.4兆円にも達すると査定した。果たしてこれだけで済むものなのかどうかである。先に発表されたIMFのマクロ予測では27~50兆円の資本不足になるとされていただけに、どちらを信用して良いのか、判断に苦しむ。さらには、依然としてアメリカの自動車産業のGMとクライスラーに対する対応もあり、巨額の財政支出を余儀なくされようとしている。一体、ドルの信認は保たれるのか。中国はSDRを基軸通貨として使うよう求めたといわれ、これは今後の国際金融のあり方に一石を投じた。景気が少し光明を見せていると言われ始めているのだが、100年に一度の経済危機がそんなに早く終わるとも思えないのだが・・・。
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