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物価停滞をなぜ嫌う日銀の錯誤   
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-20 21:10 [修正][削除]
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3571/3571
 新聞を読んでいて、しばしば目につくのが、黒田日銀総裁が苦悩の色を浮かべている写真です。浮かぬ顔というか、かつては自信満々だったのに、悄然とした顔つきに変わっているのです。金融政策で物価をどうにかできるはずだというのは思い込みで、間違いだと気づいたからでしょう。多くの国民は今の物価状況を歓迎しています。間違いだったとしても総裁は悩まなくてもいいのです。悩むとすれば、異次元金融緩和、国債の大量購入にストップをかけられない、だから政権は財政再建に本気で取り組まない、金融の正常化で米欧に遅れをとっている。将来、どういうことになるのか。これが総裁の苦悩の理由なのでしょう。

 日銀は物価が上がらない原因をあれこれ探るのに必死です。総裁は6月の記者会見で、「Eコマース(ネット通販)の普及により、消費者はネット上で全世界のモノやサービスを比較して購入できるようなった。アマゾン効果とも呼ばれ、価格上昇が抑制されている」と、強調しました。原油の下落を強調していた時期ありましたね。最近はネット通販です。消費者物価上昇率は3月の0・9%から、4月の0・7%に低下しました。日銀は「実店舗を持たずに、商品を安く販売できるネット通販は、今後も伸長するので、物価目標の2%の達成は難しい」との見方です。ネット通販で安く手に入ることは国民は歓迎するのに、日銀は困るというのはどこか変ですね。総務省の調べでは、ネット通販の多い家電などの耐久消費財に、値下がりが目立つといいます。5月調査では、電気掃除機は24%下落、電子レンジは20%下落、空気清浄機は10%下落で、家電は輸入品が多く、年初来の円高(輸入価格が下落する)の影響もあるといいます。ネットで価格を調べないで家電を購入する人は3割しかおらず、末端価格を押し下げているのです。いいことではないですか。

 ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、グローバル化やネット通販など「中央銀行の手が及ばない構造要因が物価下落の一因」と言っています。米国のパウエル連銀議長(中央銀行)は「過度の金融緩和で無理やりにインフレを作り出すのは問題」といい、黒田総裁のスタンスとは差があります。家庭に退蔵されている中古品がネット通販に出品されることも多くなっています。ゴルフクラブでは中古品の全国チェーンを展開している業者もおります。日本郵政社長の長門氏は「Eコマース(ネット通販)は新品ばかりでなく、中古品市場まで急拡大し、物価を押し下げている」といいます。こうした動きを異次元金融緩和で押しとどめようとしても、無理です。ネット通販のプラス効果を尊重すべきです。今春、日銀副総裁に就任した若田部氏は「金融政策でできないことはない。デフレに戻る可能性があるのなら、躊躇なく追加緩和をすべきだ」と強調しています。内部にこうした論者を抱えている黒田総裁も頭が痛いところでしょう。日銀の政策委員会に、金融政策以外の産業論、財政論も分かる委員を加えておくべきなのです。

 経団連の新会長になった中西・日立製作所会長は「ソサイエティ5・0」というスローガンを掲げています。コンピューターによる情報社会はさらに一歩進み、「デジタル技術で膨大なデータを集め、色々な結論を導きだす。その知恵を使って社会問題を解決する時代」というのです。産業・情報社会の構造変化は消費者に多くの恩恵をもたらすはずです。ネット通販による物価の下落効果(アマゾン効果)もその一つでしょう。日銀が「それは物価2%目標にとって都合が悪い」と思うのはどんなものでしょうか。物価目標の達成に効果がないのに、いつまでも大量に国債を買い続け、その結果、財政再建は進まない。最近、あちこちから聞こえてくる「金融政策の方向を転換すれば、金利が上昇して景気は下降し、株は下落するから、急ぐべきでない」は、今さら何をいうのかですね。いつまでも巨大な金融緩和を続けた結果、この道から出るに出られなくなってきたというのが正しい認識です。

在韓米軍撤退問題について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-20 10:40 [修正][削除]
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3570/3571
 香港の主要紙の一つである「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」(SCMP)は、6月20日付けで「在韓米軍が撤退すれば中国本土が最大の被害者になりかねない。」と指摘するコラムを掲載しています。米国のトランプ大統領が在韓米軍撤退の可能性に言及したことを中国本土は歓迎していますが、在韓米軍撤退は北東アジアの核戦争を招き、中国本土にとっては、かえって打撃になる可能性があるというものであります。

 このコラムの執筆者たるマイケル・ヘン元教授は、「北東アジアの覇権を狙う中国本土は、在韓米軍の撤退を望んでいるが、これは在韓米軍が中国本土に与えていた二つの大きな恩恵を見過ごしている。米軍の駐屯によって、日本は平和憲法を順守して再武装を諦める結果となり、中国本土から台湾に逃げて以降核兵器開発を望んでいた蒋介石も、開発を諦めざるを得なかった。しかし、在韓米軍の撤退によって北東アジアの安全保障が不安定になれば、日本は核兵器開発に乗り出す可能性があり、中国本土の脅威に直面している台湾も自らの生き残りのために核兵器を開発する可能性がある。」と分析しています。

 また、「仮に北朝鮮が非核化のまねごとだけをして、実際の非核化の約束を守らなかった場合、中国本土は目と鼻の先に核兵器の脅威があるという状況になる。浮き沈みの多い中朝関係を考えると、北朝鮮の核も中国本土にとっては脅威になり得る。」との見方も示されています。

 これに対して、私は、(1)日本の核武装化があるとすれば、それは米国、米軍の傘下で実施されるものであり、日本にとっての防衛面での自立とはならないが、米国は事実上、日本を東アジアの安全保障の橋頭堡にする。(2)台湾の核武装化については、台湾の国民党が米国寄りなのか、中国本土寄りなのかがここのところはっきりせず、米国はこの点を確認しつつ、核武装化を容認するか否か決めることとなろう。台湾が、こうした米国の意向にそぐわない形で核武装化しようとすると、一旦は、米台関係は悪化、中国本土も台湾の核武装化には即時容認するとは思えず、台湾の立ち位置は悪化する。(3)北朝鮮が中国本土の脅威となることは十分にあり得る。北朝鮮、否、金ファミリー帝国が最も信頼する国はロシアであり、中国本土とはディール・バイ・ディール、ケース・バイ・ケースの外交関係にあるからである。と見ています。いずれにしても、「在韓米軍の撤退」がどうなるのか、注視したいと思います。

EUと中国の奇妙な呉越同舟   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-18 11:23 [修正][削除]
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3569/3571
 アメリカのトランプ政権が保守主義へと大きく舵を切り替えたことを受けて、自由貿易体制の維持を望むEUと中国は対米で結束を強めております。しかしながら、よく考えても見ますと、EUと中国との共闘関係は、奇妙な呉越同舟ではないかと思うのです。特に1980年代以降、EU(当時はEC)が市場統合のプロジェクトに乗り出した理由は、偏に“規模の経済”の追求でした。地図を見れば分かるように、ヨーロッパには中小の諸国が寄せ集まっており、自国の国内市場に閉じこもっていたのでは、各社とも、到底、グローバル市場では闘えない状況にありました。そこで、アメリカをも凌ぐ巨大な単一市場を造ることで、企業規模の拡大をも実現し、グローバルなレベルで激しさを増す競争に生き残ろうとしたのです。言い換えますと、欧州市場誕生の背景には、規模の優位性に対する明確な認識があり、競争力に乏しい自国の中小企業を犠牲にしてでも、米国企業と渡り合える規模を有する‘欧州企業’を育てようとしたのです。

 こうした欧州市場誕生の経緯に照らしてみますと、自由貿易推進を絆とした中国との共闘は、自らの首を自らの手で締める結果を招きかねません。何故ならば、規模が勝敗の決定要因であるならば、市場規模、並びに、企業規模において、13億の市場とアリババやテンセント、百度、並びに、独占的政府系企業を擁する中国を前にして、‘欧州企業’には勝ち目がないからです。とりわけ、資金力にものを言わせた中国企業による欧州企業の買収が活発化し、かつ、中国企業の規模が巨大化するにつれ、この勝敗予測は現実のものとなりつつあります。中国との共闘に躍起になっているEUは、敵に塩を送っているかのように見えるのです。

 自由貿易、否、市場統合のメカニズムが、比較優位理論かはさて置き、現実には‘規模’に優位性を与えているとしますと、EUと中国との共闘関係の実態とは、関税の壁を高くしたアメリカに対する共同の市場開放要求ということになります。両者ともに、アメリカ市場は有力な輸出先であるからです。また、真に自由貿易の更なる推進を目指すならば、EUと中国こそ、真っ先に例外なき自由貿易協定の締結に動くはずです。しかしながら、今のところ、両者にはこの動きは見えず、沈黙を守ったままなのです。おそらく、双方ともに消極的な理由は、お互いに例外分野なく関税を撤廃し、さらには非関税障壁をも廃止すれば、致命的な影響を受ける産業分野、即ち、保護したい分野があることを自覚しているからなのでしょう。

 自由貿易には弱肉強食の論理が強く働くため、必ずや光と影があります。EUも中国も、アメリカの保護主義を闇雲に批判するよりも、影の部分にも配慮した新たな国際貿易体制を考案する方が、余程、人類の発展に資するのではないでしょうか。

(連載2)制裁の困難さ ← (連載1)制裁の困難さ  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-17 12:20 [修正][削除]
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3568/3571
 (2)迂回されると捕捉されない:古川氏の本にもよく出て来ますが、直接の輸出入ではなく、第三国経由になると極めて捕捉しにくいです。本来、安保理決議は加盟国すべてに義務として課せられるので、すべての国がパーフェクトに履行していれば、理論上は世界中何処でも捕捉され、そして輸出入や金融取引が止まるという事になるはずです。しかし、世界には国連安保理制裁をパーフェクトにやる能力のある国、やる意思のある国はむしろ少数ですので、穴は世界中にあります。そして、複数の国を迂回されると、国連のネットワークを以てしてももう捕捉出来ないと思います。更に日本の独自制裁になると、第三国経由の迂回は殆ど追えません。なので、北朝鮮のミサイル等に「え?」と思うような日本製品が使われていたりするのです。

 (3)汎用品は判断が難しい:ピンと来ないかもしれませんが、世の中には日常生活用品としても使え、かつ、武器の部品にもなるものというのがたくさんあります。秋葉原の電気街に行けば、そんなものは幾らでも見つかるでしょう。総論として「核兵器関連物資」、「ミサイル関連物資」といってもそれが何なのかはかなり争いがあります。かつて、テロ条約の交渉で本件で大揉めしました。「大量破壊兵器の製造、運搬等に相当程度貢献する」みたいな事を要件にしようと提案したのですが、ある国の代表から「そんなもの、どうやって証明するのだ。」と徹底的にやられました。「大量破壊兵器を製造、運搬等する意図」を要件にしたとしても、その証明も結構大変です。非常に極端なケースを言うと、ネジを持っている人間に「このネジはピストル製造に使えるものじゃないか。しかも、おまえはその意図を持っているだろう。」と言って尋問するようなものです。

 (4)そもそもやる気のない国、やる能力のない国がかなりある:日本では国連安保理制裁はきちんと国内法制に落とし込みます(古川氏は不十分だと言っています。)。安保理制裁をパラグラフ毎に精査して、表現振りに合わせて、例えば外為法告示等を行います。そして、税関、海保、自衛隊、金融機関等、色々な部局がそれで動きます。しかし、複雑な安保理制裁をそこまで国内で周知徹底出来る国はとても少ないです。 ヒューマンリソースに限界のある国になると、そもそも現場で安保理制裁の存在を知らない事は例外的な事ではありません。特にアフリカの国には穴が多いですね。しかも、北朝鮮と仲の良い国が結構あります。更には既に北朝鮮とビジネス関係が構築されていて、制裁逃れによるビジネス継続をしようとする国がかなり居るのです。こういう国は確信犯なので、更に性質が悪いです。

 長々と書きましたが、別に「きちんとやれない言い訳」をしたかったわけではありません。こういう困難がある中、政府には少しでも穴を塞ぐ不断の努力をしてほしいと思います。(おわり)

(連載1)制裁の困難さ  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-16 17:47  
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3567/3571
 最近、北朝鮮に対する国連安保理制裁の実施の難しさに関する古川勝久著『北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録』(新潮社、2017年)を読みました。国連対北朝鮮制裁専門家パネル委員の古川氏が裏側をかなりリアルに書いています。「こんな事、書いていいのかな」と思うくらい、とても面白いです。かつて、対タリバーン制裁やテロ関連条約での核・ミサイル関連物資の規制を担当していた事があるので、この本で紹介される困難がとてもよく分かります。

 制裁は歴史と共に精緻化されてきています。昔は結構大括りでやっていまして、たしか記憶が正しければ、アンゴラの武力抵抗組織UNITAに対して国連安保理制裁が科された時は、アンゴラ全土に外為法上の制裁をしたはずです(違っていたらすいません)。その後、国内でそれはやり過ぎだという事になって、制裁対象だけに制裁を科すようにしたのですが、私はこれで頭をぶつけました。対タリバーン制裁の際、某省から「アフガニスタンにおいて、タリバーンとタリバーンでない人を見分けるにはどうしたらいいか。」という問を投げかけられまして、「そんなもん、無理に決まってんだろ。」と途方に暮れました。

 したがって、日本での対タリバーン制裁の具体的な実施は、安保理決議が採択されてからかなりの時間が経っています。決議1267が1999年10月、決議1333が2000年12月に採択なのですが、実際の外為法による制裁実施は2001年9月、つまり9.11直後です。それはともかくとして、上記の本では国連の対北朝鮮制裁パネルのメンバーとしての苦労が多く書かれています。そこで挙げられている問題点は大まかに以下のように要約されるのではないかと思います。 

 (1)名前が変わると捕捉されない:上記のような時代の前後から制裁のやり方が更に変わって来ていて、スマート制裁が主流になっています。武器の輸出等については国全体を対象とするのですが、金融制裁については、特定の会社や個人をピンポイントで狙い撃ちするのが主になっています。制裁で「切り過ぎ」を出さないようにするための手法です。ただ、これがなかなか困難なのです。一番厄介なのが名前が変わってしまう事です。古川氏の本でもこういう事例がたくさん出て来ます。会社の名前を変えてしまったり、間にペーパーカンパニーを一枚噛ませられたりすると、制裁対象で無くなってしまいます。また、個人レベルでも、パスポートを偽造する事で別人に成りすまされたら、もう捕捉できません。ちなみに意外に難しいのはアラビア語。ムハンマドという名前を英語でどう表記するかはかなりの可能性があります。アラビア語は、私の理解では「子音の言語」なので、母音の使い方が人によってかなり異なります(Muhammad、Mohammad等)。そして、金融制裁では一文字違うとそもそもコンピューターでヒットしないのです。私がインチキをして、「Rintaro」を「Lintaro」に置き換えるとヒットしないというのと同じです。なお、かつて特定船舶入港禁止法で「万景峰92号」が対象となっていた時代、「あの船が『万景峰93号』として日本にやってきたらどうなるのか?」というテーマをかなり深く研究した事があります。今は北朝鮮船籍の船舶すべてが対象となっているので、もうそういう問題は生じません。(つづく)

(連載2)過激派から解放された元・子ども兵を待ちうける拷問 ← (連載1)過激派から解放された元・子ども兵を待ちうける拷問  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-13 10:39 [修正][削除]
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3566/3571
 ソマリア政府は2015年に子ども条約を批准している。少なくとも、ソマリア当局による元子ども兵の取り扱いに、国際法上の問題が多いことは間違いない。その背景には、内戦が続いたソマリアで、政府が軍やNISAを統率しきれていないことがある。先述のように、ソマリア政府は海外からの要求を受けて、子ども兵の解放を段階的に進めてきた。しかし、2017年1月の国連の報告書によると、2016年までにソマリアで確認された子ども兵6163人のうち、アル・シャバーブのものが4213人で最も多かったが、ソマリア軍のものも920人にのぼった。つまり、ソマリア軍自身が子ども兵をリクルートしているのだ。そのうえ、これまでに解放された数(250人)は、その総数からみて必ずしも多くない。これらは、政府の方針が治安機関に徹底されないことを示す。政府が統率しきれない軍やNISAの内部には、汚職や腐敗がはびこっている。2017年12月、アメリカはソマリアへの軍事援助の停止を発表。その最大の理由は「アメリカ軍が求める説明責任を果たしていない」ことだった。これに先立つ同年6月、アメリカ軍はソマリア政府関係者とともに援助の実態調査を行っていた。そこでソマリア軍が兵員の数を水増しして装備支援を要請したり、アメリカから提供された食糧が行方不明になったりしている状況が明らかになった。これだけでもソマリア軍のガバナンスに疑問符がつくには十分だった。

 しかし、ソマリア政府のその後の対応は、治安機関を監督しきれていないことをさらに浮き彫りにした。事態の発覚を受けて、ハッサン・アリ・カイレ首相が自らアメリカに援助の削減を申し入れたのだ。カイレ首相は「治安機関の再建を目指す」「透明性を向上させる」と強調したが、それだけなら援助を受け取りながらでもできるはずだ。政府が自ら軍事援助の削減を申し出たことは、「兵糧攻め」にして軍やNISAに改革を求めるものといえる。それは裏を返せば、政府が治安機関を掌握しきれておらず、元子ども兵の虐待や拷問が止められない状況を物語る。

 この状況は、テロ対策の優先によって加速する。ソマリアへは、アフリカ諸国の2万人以上の部隊で構成されるアフリカ連合平和維持部隊が2007年から派遣され、主に南部の治安維持にあたってきた。しかし、この部隊は2020年までに撤退することになっている。一方、先進国とりわけアメリカは「ソマリアの再建」より「アル・シャバーブの掃討」に力を入れている。アメリカ軍は2011年からドローンによる空爆を続けており、2017年7月にはアル・シャバーブの指導者アリ・ムハンマド・フセインを殺害するなどの戦果をあげてきた。トランプ政権のもと、アメリカ軍は空爆にさらに力をいれる一方、人権や法の支配をソマリア政府に求めない傾向を強めている。しかし、幹部が死亡しても、アル・シャバーブの活動が止むことはない。連邦政府に限界があるなか、アル・シャバーブはその支配地域に根をはっている。彼らが住民から税金を集めるなか、海外からの援助の一部がアル・シャバーブに流れる構図さえできあがっている。さらに、アメリカ軍の攻撃によるメンバーの減少を、アル・シャバーブは子ども兵の徴用でカバーしている。国連はアル・シャバーブの戦闘員の半分以上をいまや子どもが占めていると報告している(彼らもアメリカ軍によるドローン攻撃の対象に含まれる)。

 つまり、空爆が軍事的成果をあげても、ソマリアが「破たん国家」である状況に大きな変化はない。「国家の再建」が遅々として進まないなか、子ども兵の徴用が減らないばかりか、治安機関の元子ども兵に対する拷問や虐待は野放しにされてきたといえる。元子ども兵の社会復帰がおざなりにされる状況は、人道的に問題があるだけでない。アル・シャバーブの徴用から解放された元子ども兵が刑期を終えて出所した時、行き場のない彼らには「加害者」としての烙印しか残らないことになりかねない。社会的な孤立が、元子ども兵を再び戦場に向かわせる原動力となることは、アフリカの他の国でも確認されている。大人に利用された子どもを放置することは、安全保障の面からみても問題といえる。言い換えると、元子ども兵が非人道的に扱われる状況は、ソマリアの内戦をより混迷の淵に導く一因になりかねないのである。(おわり)

(連載1)過激派から解放された元・子ども兵を待ちうける拷問  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-12 11:33  
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3565/3571
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、ソマリアではイスラーム過激派の子ども兵が政府系の勢力に捕まった場合、拷問されたり、弁護士がいないまま軍事法廷に立たされたり、成人なみの刑罰を科されたりしている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、これが国際人道法に反すると批判する。元子ども兵に対する過酷な取り扱いの主な原因は、汚職や権力の私物化にある。ソマリアでは軍や情報機関による勝手な行動を政府が制御し切れていないのだ。そのうえ、海外からの支援は「国家の再建」より「テロ対策」に向かいやすく、これが元子ども兵の社会復帰があと回しにされる要因になっている。

 ソマリアでは1991年以来、内戦が続いてきた。各地に武装勢力が林立した結果、北部のソマリランドは分離独立を主張し、南部をイスラーム過激派アル・シャバーブが実効支配するなど、もはや国家としての体裁さえともなわない「破たん国家」と呼ばれる。難民流出や過激派の活動は周辺国の危機感を強め、その働きかけによって2008年にはソマリアの各勢力を糾合した連邦政府が樹立された。これによってソマリアの和平と復興が期待されたが、連邦政府は首都モガディシュと同国中部しか実質的に支配できていない。そのため、国内が分断された状況に大きな変化はない。そのソマリアでは2015年から、連邦政府が250人以上の子ども兵を解放し、国連児童基金(UNICEF)などに引き渡してきた。これは国際的な要求の高まりを受けてのもので、そのなかには過激派に徴用され、当局に拘束されていた元子ども兵も含まれる。拘束中あるいは解放された元子ども兵にインタビュー調査を行ったヒューマン・ライツ・ウォッチは、ソマリア当局による元子ども兵の過酷な扱いを明らかにしている。インタビュー調査に応じた少年の一人ハムザは、2015年末、15歳のときにイスラーム過激派アル・シャバーブに誘拐され、兵士として戦闘に従事させられた。しかし、2016年3月、プントランドでの戦闘で64人の仲間のほとんどが死に、ハムザは運よく生き延びたものの、プントランド自治政府軍に捕まった。ところが、捕虜になることで過激派から解放されたハムザを待っていたのは、拷問と不公正な裁判だった。ハムザによると、プントランドの刑務所で4人がかりの暴行で自白を強要された後、弁護士がいないまま軍事法廷に立たされ、懲役10年の刑を科されたという。

 北東部を実効支配するプントランド自治政府軍は、アル・シャバーブ対策などでソマリア連邦政府に協力している。ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書は、プントランド自治政府だけでなく、ソマリア連邦政府の機関が元子ども兵を非人道的に扱う様子も浮き彫りにしている。ハムザのように戦闘中に捕まり、拘留された子ども兵の処遇(例えば「子ども」として扱うか、UNICEFに引き渡すか)は、多くの場合ソマリア国家安全保障情報局(NISA)によって決められる。ヒューマン・ライツ・ウォッチのインタビューに応じた16歳の少年の場合、戦闘中に捕まった後、外部との連絡を絶たれたうえ、NISAの監獄で暴行を加えられ、自白を強要されたという。

 元子ども兵を「被害者」と捉えるか、「加害者」と捉えるかはデリケートな問題だ。多くの場合、実際には両方の側面があるが、ソマリア当局はアル・シャバーブの元子ども兵を「加害者」として扱いがちといえる。ただし、たとえ「加害者」でも、捕虜の人道的な処遇を定めたジュネーブ条約で、拷問や弁護人なしの裁判は認められていない。一方、ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめとする国際人権団体は、元子ども兵の「被害者」としての側面を強調し、ソマリア当局の対応が国際法に違反していると主張する。1989年の「児童の権利に関する条約(子ども条約)」によると、「子どもの逮捕、拘束、投獄は最後の手段で、できるだけ短期間にすること」と定められており、各国政府には「司法手続き以外の手段」を適用するよう求められる。これに従うと、元子ども兵に対しては刑罰より矯正と社会復帰を優先させるべき、となる。(つづく)

アメリカのWTO脱退は何を意味するのか   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-11 10:37 [修正][削除]
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3564/3571
 自由貿易主義に背を向けてきたアメリカのトランプ大統領は、遂に、WTOからの脱退を示唆したと報じられております。この発言は、即、否定されたとはいえ、仮に同方針が実現すれば、戦後の国際通商システムの大転換となるのですが、その根本的な原因は、自由貿易主義理論に対する過信であったのかもしれません。

 近現代における自由貿易体制には、二つの波があったとされています。その一つは、世界に先駆けて産業革命を成し遂げ、抜きんでた生産力で「世界の工場」と化したイギリスを中心とした自由貿易体制であり、1860年頃にピークを迎えています。この体制は、やがて新興国であったアメリカの挑戦を受けると揺らぎ始めます。世界大のブロック経済化を経て、第二次世界大戦における連合国側の勝利を機にブレトン・ウッズ協定、並びに、GATTが成立すると、アメリカを中心とした自由貿易体制が誕生するのです。何れの自由貿易体制も、牽引役となるイギリス、及び、アメリカといった経済大国が存在しておりました。

 ところが、こうした自由貿易主義の旗振り役の国が永遠にトップの地位に留まることができるのか、というと、イギリスの衰退に象徴されるように、そうではないようです。関税や非関税障壁の撤廃を意味する自由貿易主義には、当然に国際的な自由競争が伴いますので、仮にトップの座を維持できるとすれば、それは、国際競争力における優位性を維持している場合に限られます。しかも、こうした自由貿易の中心国の通貨は、ブレトン・ウッズ体制における固定相場制に典型的に見られたように、貿易決済、海外投資、及び、外貨準備等に用いられる国際基軸通貨としての高い安定性を強く求められます。結果として、自国通貨高=米ドル高となり、自国製品の輸出には不利となるのです(自国通貨高により、「世界の市場」として輸入品は増加する一方で、他の対米輸出諸国は潤う…)。言い換えますと、自由貿易主義体制には、‘盛者必衰の理’の如く、‘中心国必衰’のメカニズムが組み込まれているのです。そして、この傾向は、グローバル化の加速によって、自由貿易が想定してきた財のみならず、サービス、資本、労働力、知的財産、情報等が自由に移動する時代を迎えると、新興国の台頭も手伝って、中心国の衰退に拍車をかけるのです。

 かくして、アメリカもまた衰退に見舞われるのですが、自由貿易体制が、中心国の犠牲と寛容の下で維持され、今般、アメリカがWTOからの脱退を模索しているとしますと、それは、自由貿易体制の中心国としての重荷を降ろす意向を示したことを意味します。と同時に、国際通商体制もまた変容を迫られるのであり、全ての諸国に対して劣位産業、あるいは、国際競争力に劣る分野に対して淘汰という犠牲を強いる現行の体制が望ましいのか、という根本的な問題に直面することとなりましょう。リカードに始まる比較優位説では、非情な淘汰を当然のプロセスとして正当化し、競争上の重要な勝敗の決定要因となる‘規模’の格差問題も看過されていますが、アメリカのWTO離脱問題は、古典的な理論に固執することなく、現実を見据えた新たな国際通商体制を再構築すべき時期の到来を告げているのかもしれません。

WTO脱退   
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-10 12:02 [修正][削除]
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3563/3571
 現時点では「やらない」と言っていますが、仮にアメリカが世界貿易機関(WTO)を脱退したら何が起きるかという事を考えてみました。色々な事が起きるのですが、日本との関係で起きる事は「アメリカがGATT/WTOのルールに縛られず好き勝手に関税を上げ下げしてくる(今でもやっていますが)。」、「日本もルール上は対アメリカでそれをやって構わない(絶対にやらないでしょうが)。」、「そして、日本に輸出されてくるアメリカ製品への関税が『自動的に』上がる。」というようなものです。今日はこの最後のテーマについて取り上げます。

 外国製品に対する関税は、実行関税率表というものに書いてあります。世の中にあるありとあらゆるものが、この中に分類されている事になっていて、それが輸入される時の税率がすべて定められています。どの部の税率を見ていただいてもいいですが、「基本(General)」、「暫定(Temporary)」、「WTO協定(WTO)」・・・という税率の決まり方をしている事に気付くでしょう。これを噛み砕くと、「WTO加盟国に対しては、『WTO協定』となっているコラムの税率が適用される。WTO非加盟国には『基本』が適用される。」という事です。そして、「WTO協定」の税率は関税交渉を経たものですから、「基本」の税率と同じかそれより低いです。そして、今、WTO加盟交渉中の非加盟国と言えば、ブータン、東ティモール、バハマ、アゼルバイジャン、アンドラ、ウズベキスタン、セルビア、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラク、イラン、シリア、レバノン、アルジェリア、エチオピア、コモロ、サントメ・プリンシペ、スーダン、赤道ギニア、ソマリア、リビアと、加盟が難しい諸事情のある国が多いです。これらの国からの輸入には「基本」が適用されており、WTO脱退というのはこの位置まで下がろうという事です。

 この「基本」と「WTO協定」の差に相当するものは、日本だけでなく、多くの国が有していると思います(後発開発途上国では難しいかもしれませんが)。というのも、ここに差が無いという事は、輸出入に際してWTO加盟国と非加盟国に差を付けないという事になりますが、普通は差を付けます。つまり、簡単に言うと、WTO脱退とは「ルールに縛られずムチャクチャやっていい権利を持つようになるが、その対価として、WTO加盟国への輸出に課せられる関税が上がる。」という事です。仮にトランプ政権が脱退した結果として、アメリカ製品に対する関税が上がるとすると、トランプ大統領は「脅してでもいいから何とかしろ。」と言うでしょう。では、それが日本との関係でどう波及するかと言うと、日本としても関税のストラクチャーは崩せないので、やはりアメリカ製品には「基本」税率の適用になります。それを覆す方法はただ一つ、日米間で自由貿易協定を作るしかありません。関税率表を見ていただくと、右の方にずっと経済連携協定で定められる税率が書いてあると思います。それの最後の所に「アメリカ合衆国」が入ってくるイメージです。(なお、アメリカがWTO加盟国でないとすると、どんなにムチャクチャな自由貿易協定を作ろうとも何の問題もないという事になります。通常は自由貿易協定にはGATT24条の規律が掛かり、関税その他の制限的通商規則の実質的な撤廃等、色々な要件があります。しかし、それすら掛からないとなると、理論上はどんなにムチャクチャなものでもそれを止める術はありません。)

 ただ、そういうふうに簡単には行かないでしょう。むしろ、WTO脱退、世界中でアメリカ製品に対する関税が自動的に上がる、それに対する対抗措置をアメリカが取る、という事でエスカレーションの火蓋を切って落とすだけではないかなと思います。1930年のスムート・ホーリー法と大差ないです。その他にも、アメリカがWTOを脱退すると理論的には色々な影響が出ます。農業補助金、ボーイング補助金について制限なし、アンチ・ダンピング措置打ちたい放題・・・、多くのムチャクチャな事がやれるようにはなります。ただ、その対価としてWTOのネットワークが作る自由貿易の堅固な枠組みからは外されていく、という事なのですが、アメリカは大き過ぎるので、結果として関税の報復戦争をより深刻にさせるだけでしょう。それも含めて、彼の言う「ディール」なのかもしれませんが、歴史は時に予想せざる方向に動く事があります。要注意です。

アフリカ大陸の魅力と日本のビジネス   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-09 10:24 [修正][削除]
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3562/3571
 インフラ開発の必要性が高く、消費財が庶民に行き渡っていない地域は、「潜在的な経済発展の可能性がある地域である。」と言えます。「潜在的な」と言う言葉を付した理由は、「インフレ開発を行う国家財政力や消費を行う個人所得の水準が低ければ、潜在的な需要はあっても、それは顕在化しない。よって、その場合、経済成長は顕在化しない。」からであります。

 しかし、何れにしても、そうした経済発展の潜在性を感じさせる地域の一つが、「アフリカ大陸」であり、そうした意味で世界のビジネスマンたちのアフリカ大陸に対する関心は高いものと思います。例えば、国際銀行である世界銀行のコメントにもそうしたものが見られます。即ち、世界銀行のコメントを要約すると、「2016年に20数年ぶりの低水準を記録したサブサハラ・アフリカの経済成長率は、2017年には回復基調を取り戻しつつある。」と半期に一度アフリカ経済の動向を分析する報告書「アフリカの鼓動」の中で指摘しつつ、「2017年の成長率は2.6%に達する。但し、こうした成長率も人口増加率をわずかに上回るに留まると見られ、雇用創出や貧困削減への対応が追いつかないため、回復力は依然として弱い。ナイジェリア、南アフリカ、アンゴラといった域内の経済大国は、2016年の大幅な減速から立ち直りつつあるが、一次産品価格の低迷に対する調整不足や不確実な政策が足かせとなり、回復のペースは遅い。更に、中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)に加盟するいくつかの石油輸出国は財政難に直面している。一方、コートジボワール、エチオピア、ケニア、マリ、ルワンダ、セネガル、タンザニアの7カ国は内需に支えられて景気回復を続け、2015~2017年は年率5.4%を超える伸びになる。

 これらの国は、域内人口の約27%、域内GDP全体の13%を占めている。また、回復が続くグローバル経済が、アフリカ地域の回復を後押ししている。同地域全体の成長率は、域内経済大国の回復を反映し、2018年に3.2%、2019年には3.5%まで伸びる。金属輸出国には緩やかな伸びが期待されるが、石油輸出国では景気低迷が続くと見られる。採掘資源への依存度が低い国のGDPは、インフラ投資、堅調なサービス・セクター、農業生産高の回復に支えられ、力強い伸びが続くだろう。この傾向は、エチオピア、セネガル、タンザニアにおいて特に著しい。そして、世界情勢を加味すると、予想以上に急速な世界的な金融の引き締め、一次産品価格の伸び悩み、保護主義的な動きの台頭はいずれも、上記の見通しを押し下げる外的リスクとなる。一方、国内では、現在の回復基調を脅かすリスクとして、改革の遅れ、安全保障上の脅威拡大、選挙を控えたいくつかの国の政情不安などが挙げられる。こうした中、国際社会は、各国が財政調整に向かう中、サブサハラ・アフリカ諸国がより力強い回復を遂げられるよう、適切な投資環境を保護する必要がある。アフリカには、労働生産性拡大と、安定したマクロ経済環境の整備に向けた改革が求められている。生産性の高い、良質な仕事の創出は、同地域の貧困削減に貢献するだろう。」との主旨の報告をしています。

 私もこうした見解に基本的には異論なく、ビジネスマンとしては、やはりアフリカ大陸は無視できない、特に歴史的にアフリカ大陸に強い欧州に加えて、中国本土の影響力拡大が見られる現状、日本としても、アフリカ大陸に関心を持たざるを得ないと考えます。しかしながら、ただ単に、アフリカ大陸をビジネスの場と捉え、利益優先で考えるのではなく、アフリカ大陸の庶民の幸せを深めるために如何なるビジネスを展開していくことが良いのかを考えつつ、日本企業の利益を考えていくべきであり、例えば、病院運営ノウハウを含めたビジネスとそれに合わせたアフリカ大陸の資源を活かした新種製薬の開発といった日本が得意とするハードとソフトの合わせ技によるアフリカ大陸発展に向けた貢献プロジェクトを展開していくべきではないかと私は考えています。日本らしい世界発展に向けた貢献方法を、「真の大国」として、日本は考えるべきであると私は考えています。

(連載2)非核化費用を日本はどう捻出するか ← (連載1)非核化費用を日本はどう捻出するか  ツリー表示
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-06 10:51 [修正][削除]
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3561/3571
 日本のGDP(国民総生産)は5兆ドル、国家予算は100兆円です。韓国のGDPは1.4兆ドル、国家予算は日本の半分です。核廃棄のやり方によって、つまり核兵器、核物質の完全廃棄、施設の破壊、人材の転用をどの程度まで進めるのかで金額は左右されます。200兆円という試算が正しいと仮定すると、両国が国家予算1年分をつぎ込んでもまだ足りない。そんなことができるはずはない。これらはすべて仮定の話ですから、関係者は真面目にはまだ考えていない。多くの関係者は、米朝合意の実現を疑っていますから、本気で試算しておく意味はない。意味があるとすれば、IAEA(国際原子力機関)による査察をどの程度の規模から始め、それにいくらかかるかでしょう。

 私が疑問に思うのは、北朝鮮対策で資金がかかるだろうから、日本の財政基盤をしっかりさせておかなければならないのに、安倍政権は本気でなさそうなことです。財政健全化目標の達成時期を当初の20年度から25年度まで先送りすることを決めました。しかも、財政運営の基盤になる経済成長率を3%台(名目)と高めに設定しています。成長率を底上げして税収が増えるように見せかけているのです。また、日銀のゼロ金利政策、財政ファイナンス(国債購入)を転換しなければならなくなる時期がきます。その時がくれば、すべての計算が狂ってきます。

 さらに、自民党の安全保障調査会は、将来の防衛予算の参考値として、「GDP比2%(現在は1%)」に引き上げることを提言しました。恐らく、安倍首相の示唆によるものでしょう。現在の5兆円を倍にする計算です。どこからそのおカネがでてくるのでしょうか。今回の米朝合意が達成できれば、安全保障環境は好転し、防衛予算の抑制効果がでてくるはずです。自民党の関係部会は「そうなったところで、今後、対中国政策を強化する必要があるので、防衛予算を増やしていく」と、みているのでしょう。

 拉致問題を解決するために、安倍首相は日朝首脳会談を希望しています。金委員長が日本の足元を読んで、経済支援を要求してくるでしょう。それも半端な金額ではない。とにかく安倍首相の政治的生命線である朝鮮半島関連にこれからいくらカネがかかるか分かりません。そのためにも、財政再建をきちんと進めていくべきなのです。(おわり)

(連載1)非核化費用を日本はどう捻出するか  ツリー表示
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-05 10:23  
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3560/3571
 米朝首脳会談でトランプ大統領と金委員長が、朝鮮半島の非核化を確認するとの共同声明を発表しました。非核化が本当に実現するのか評価が割れています。実現できなければ、膨大な非核化費用を日韓が引き受ける必要はなくなります。一方、安倍政権が本気で非核化を実現したいと思っているのなら、財源確保のために、増税の覚悟までしておくことが必要です。財政状況は先進国で最悪ですから、安易に国債増発に頼るわけにはいきません。

 消費税の引き上げは使途を社会保障関連に限っていますので、北朝鮮関連に使うのは筋が違います。考えられうるとすれば、金融資産課税の強化でしょうか。源泉分離課税をやめ、総合課税に移行することです。株高で家計の金融資産は昨年度1829兆円に達しました。家計の株所有は前年度比で11%も増えました。主に富裕層が潤っているので、狙うとすれば、ここでしょう。北朝鮮対策を強調し、高い支持率を維持してきたのですから、安倍政権は本気になって、財源を探しておくべきでしょう。

 非核化にいくらの費用がかかるのか。北朝鮮が保有する核兵器、核物質、関連施設か査察で調べてみないと、計算できません。だから、政府関係者、核の専門家もほとんど何もしゃべっていません。米国のシンクタンクの一説によると、200兆円とか。金額はともかく、膨大な規模になることは間違いなさそうです。日韓が主に負担するとなれば、比率をめぐり両国が対立するタネがまた増えます。記者会見でトランプ大統領は、「韓国と日本が大規模な支援をするだろう。われわれが支援する必要はない。米国は多くの場所で多額の支払をしている。隣国の韓国と日本が北朝鮮を支援する」と、いってのけました。「えっ」と、驚愕した人は多いでしょう。次に「事前にそんな約束ができているのか」ですね。「トランプだから事前の打ち合わせなんかしていない」と、考えるしかないでしょう。

 日韓が非核化の最大の受益国と、見ているのでしょうか。米本土に届く大陸間弾道核ミサイルが開発されたとのことから、米国が北の非核化に本気で取り組みだした。これが今回の米朝会談のきっかけとすれば、最大受益国は米国であるはずです。その米国が費用を日韓に押し付けるのは筋が通りません。もっと驚いたのは安倍首相の発言です。「核の脅威がなくなることによって、平和の恩恵を被る日本が費用を負担するのは当然だ」と、気前のいい発言です。いったい、いくらかかるか、10兆か100兆円の単位か、考えた上での発言でしょうか。(つづく)

貿易戦争の評価は時期尚早では   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-04 11:20 [修正][削除]
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3559/3571
 米中貿易戦争は収束の兆しを見せず、6月22日には、EUもアメリカに対して報復関税を発動することとなりました。貿易戦争の‘戦線’はむしろ拡大傾向を見せており、戦後の国際経済体制の基幹とされてきた自由貿易主義体制は岐路に立たされております。相互に高率の関税を課す貿易戦争に対して、マスメディアも経済学者の大半も否定的な見解を示しており、恰も今後の国際経済は暗黒の時代を迎えるかのような印象を与えています。全世界における貿易の縮小は、各国のGDPを連鎖的に減らし、自由貿易主義、否、グローバリズムが担ってきた資源の効率的配分や、世界大の経営の最適ポートフォリオから遠ざかると共に、経済の深刻な停滞をもたらすとも予測しているのです。しかしながら、この予測は、マイナス面ばかりを切り取って強調した悲観論のようにも思えます。何故ならば、関税率引き上げに伴う短期、並びに、長期的な代替効果を無視しているからです。

 輸入品に対する関税率が引き上げられますと、通常、これまで輸入品を使用してきた国内生産者の大半は、品質面等において輸入品に匹敵する製品が国内で生産されていない限り、関税で割高となった輸入品から国産品に切り替えます(もっとも、国内産ではなく、他の国からの輸入に切り替える場合もあり、この場合には、新たに輸出国となった国が恩恵を受ける…)。この際、国内生産者と消費者はコスト高と価格上昇という負の影響を受けますので、上述した悲観論にも一理があります。しかしながら、その一方で、輸入品からの切り替えによって国産品の生産量は増加しますので、同事業分野での国内の雇用は拡大し、国民所得の上昇による新たな消費も生まれます。こうした代替効果は、関税率引き上げの影響を受ける製品分野が広ければ広い程高く、価格上昇による消費の減退を差し引いたとしても、波及効果によりGDPを押し上げる効果が期待されるのです。

 昨今のアメリカ経済を見れば、貿易不均衡の是正のために‘バイ・アメリカン運動’を展開しようとしても、あらゆる消費財が輸入品で占められているため、もはや‘無理’との指摘もあります。それほどまでにアメリカ経済は輸入品、特に、中国からの輸入品に依存してきたわけですが、この高依存性ゆえにこそ、関税率引き上げによる国内製品への代替は、アメリカ経済に対して、マイナス影響を上回るプラスの効果をもたらすかもしれません。実際に、自国産業の保護を基本方針としたトランプ政権誕生以降、雇用統計等を見ましてもアメリカ経済は改善傾向にあります。加えて、同国は石油や天然ガス等を産出する資源大国でもあり、また、近年のAIやロボット技術の急速な発展は、コスト面における輸入品の有利性を削ぐ傾向にもあります。今や、安価な労働力を武器にした低価格の輸入品に頼る必要性が低下しており、むしろ、輸送コストを考慮すれば、国内生産の方が低コストを実現できる時代の入り口に立っているのです。

 しかも、長期的に見れば、国内生産者間における低コスト、かつ、効率的な生産を目指した製造技術の開発競争が起こり、イノベーションのチャンスが増す可能性もあります。マスメディアでは、多様性がぶつかることで思わぬアイディアが生まれるグローバリズムこそイノベーションの舞台と見なしていますが、イノベーションに時間や場所といった特定の条件があるとは思えません。多様性の掛け声とは裏腹に画一化に帰結してしまう今日のグローバリズムの下では、むしろ、‘規模の経済の勝利’が運命づけられた既定路線を歩むか、あるいは、陳腐なアイディアしか生まれないかもしれないのです。目先の貿易戦争にばかり注目しますと、‘この世の終わり’のような論評が多いのですが、短期的、並びに、長期的な代替効果を考慮しますと、この評価は時期尚早のように思えます。一党独裁体制を堅持する軍事大国の中国が自由貿易主義の勝者となる道を歩んでいる今日、自由貿易主義、並びに、行き過ぎたグローバリズムに対しては、理論面からの反論があってもよいのではないかと思うのです。

(連載2)中途半端なカンボジア選挙支援で中国とのレースに埋没する日本 ← (連載1)中途半端なカンボジア選挙支援で中国とのレースに埋没する日本  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-03 10:42 [修正][削除]
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3558/3571
 カンボジアの場合でも、5月に日本政府はカンボジア政府に「公正な選挙の実施」を求めているが、あくまで一般論の域を出ていない。これはいわば「何も言っていないわけではない」というポーズにとどまるといえる。G7などで安倍首相はしきりに「日本が欧米諸国と普遍的価値観を共有している」と強調するが、政治的な立場はともかく、実際の行動の面で欧米諸国とのギャップは大きい。特にカンボジアの場合、日本政府が及び腰になりやすい一因には、中国の存在がある。「一帯一路」構想のもと、中国は東南アジア一帯にも勢力を広げている。このなかでカンボジアは、隣国ヴェトナムの影響力から逃れるため、とりわけ対中シフトが目立つ国の一つ。2018年1月には李克強総理がカンボジアを訪問し、新たに19の経済取引に調印した。カンボジアは2020年までに中国からの観光客を年間200万人に増やし、貿易額を60億ドルにまで増やすことを目指している。

 中国が開発途上国で勢力を広げる一因に、相手国の内政に、日本以上に口を出さないことがある。強権的な政府にとって、「やかましい」欧米諸国より、「静かな」中国の方が好ましいと映る。ロヒンギャ問題で国際的に非難されるミャンマー政府を擁護し続けてきたことに象徴されるように、内政不干渉の原則を最大限に強調する中国の方針は、結果的に相手国の強権的な政府との癒着を可能にする。中国の勢力拡大に神経をとがらせる日本政府からみると、中国が7月の選挙に向けて何も発言しない以上、ここで欧米諸国とともに人権侵害や非民主的な対応を理由にカンボジア政府を批判することは得策ではない。言い換えると、カンボジアでの失地回復を目指す日本政府は、同じく内政不干渉を強調する中国の動向をにらみながら、フン・セン政権の「出来レース」ともいえる選挙運営を大目にみているといえる。

 繰り返しになるが、何でも口を出せばよいというものではない。しかし、何も口を出さないのもやはり問題である。日本政府はカンボジア政府による不公正な選挙運営を事実上黙認している。情報化が進んだ現代、その動向はカンボジア国内でも知られている。つまり、フン・セン政権に甘い対応をとることは、野党支持者からみれば、日本は自分たちを抑圧する者と結んでいると映る。現実政治的な観点からみて、仮にフン・セン政権が半永久的に続くなら、それでも問題ないかもしれない。しかし、実際にはそんなことはほぼあり得ない。いずれ政権が交代した時になって、「これまで日本はカンボジアの民主化に貢献してきた」と言っても、誰がそれを信用するだろうか。ミャンマーの軍事政権を支援し続けた結果、民主化運動のリーダーだったスー・チー氏が政権を握って以来、日本がミャンマーで微妙な立場に立たされていることは、その象徴である。

 日本の政府・自民党は、「日本が長期政権だから外国もそうであるはず、あるいはそれが望ましい」と考えているかもしれない。しかし、日本の特殊事情で海外をみることには弊害も大きい。少なくとも、選挙支援を続けてフン・セン政権を支援したところで、カンボジアにおける中国の優位は簡単には揺るがない。だとすれば、今からでもカンボジア政府に対して、より強いメッセージを送るべきだ。さもなければ、日本政府は「人権や民主主義を重視する西側先進国としての立場」をさらに損なうだけでなく、中国とのレースでも埋没することになるだろう。(おわり)

(連載1)中途半端なカンボジア選挙支援で中国とのレースに埋没する日本  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-07-02 10:50  
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3557/3571
 開発途上国における選挙や民主化のための日本の支援は、時に独裁的な政府を支援するものにもなる。カンボジアでは与党が強権化し、最大野党カンボジア救国党の参加を認めない形で選挙を強行しようとしているが、日本政府はこれに明確な批判をしないまま、選挙の実施を支援している。現職政権に何一つ注文をつけない日本の支援は、人権や民主主義の観点からみて問題があるだけでなく、やはり現職政権に何一つ注文をつけない中国との差別化をも難しくしている。

 6月17日、カンボジア救国党を支援する在外カンボジア人が、東京の銀座とニューヨークの国連本部前で、日本政府に7月の下院選挙への支援をやめるよう求めてデモを実施。このうち、銀座のデモには1000人が参加したとみられる。カンボジアでは1998年からフン・セン首相が権力を握っており、2013年から第四期を務めている。長期政権のもと、カンボジアでは表現の自由や報道の自由が制限されており、国境なき記者団の最新の「報道の自由度ランキング」では179カ国中142位にとどまる。そのうえ、2017年11月には最高裁判所が、最大野党である救国党がアメリカの手を借りて権力を握ろうとしていると断定し、解党を命じた。その結果、同党の118人の議員は5年間の政治活動が禁じられている。これと並行して、野党以外の反体制的な言動に対する取り締まりも強化。2018年2月には不敬罪が強化され、5月には「王族がフン・セン政権と結託して救国党が選挙に出れないようにした」とフェイスブック上に書き込んだ教員が逮捕されている。この背景のもと、野党の間には下院選挙をボイコットする運動も広がっている。これに対して、6月15日にカンボジア政府は、ボイコットした野党に対しては法的措置をとると発表。ボイコットされれば与党の勝利の正当性が損なわれるため、これを避けるための脅しといえる。

 フン・セン政権の露骨な強権化に対して、アメリカやEUは7月の選挙に向けた支援を中止。これに対して、日本政府は2月、カンボジア選挙管理委員会に750万ドル相当の援助を提供。さらに4月には、訪日したフン・マネ中将との会談で安倍首相はカンボジア下院選挙への変わらぬ支援を約束した。日本政府が開発途上国の人権侵害や非民主的な政府に及び腰の対応になりがちなのは、今に始まったことではない。典型的な事例でいえば、1988年にクーデタが発生し、国名をビルマからミャンマーに変更した軍事政権に対して、欧米諸国が援助を停止したのに対して、日本はわずかながらも援助を続けた。また、1989年の天安門事件後の中国の場合、日本は欧米諸国による経済制裁に一番最後に一応加わったものの、一番最初にこれを解除した。

 日本政府には、内政不干渉の原則を重視する傾向が強い。その結果、相手国の人権問題などに口を出すことには慎重になりがちだ。日本政府はこれを「関係を遮断するのではなく、関係を維持しながら相手が良い方向に向かうように働きかける」と正当化する。もちろん、とにかく口を出せばよいというものではない。しかし、日本政府による内政不干渉は相手国の既存の秩序を容認するものとなり、結果的にそのもとでの問題を黙認することにもなる。また、「関係性を通じて相手に働きかける」と言いながらも、それはあくまで一般論に止まりがちで、ミャンマーの軍事政権が民主化したきっかけは軍事政権自身の情勢判断によるものだった。そこに日本政府が強調する「働きかけ」の影をみることはできない。(つづく)

戦後の財産・請求権   
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-29 10:29 [修正][削除]
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3556/3571
 最近、よく「日朝平壌宣言に基づいて国交正常化をする」という言葉を聞きます。あれは概ね正しいのですが、国際法的観点から言うと「全く手つかずの部分があって、何が出てくるか分からないゾーン」があります。それは財産、請求権の部分です。国交正常化というのは、ザックリ言うと「正常化以前のあらゆる事は一度すべてチャラにする」という考え方に基づいてなされます。その「チャラにする」というのが、国際法で言うと「財産・請求権放棄」という事になります。例えば、日韓財産請求権協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条3)では以下のように規定されています。「(略)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。」署名日は1965年6月22日です。在日韓国人の方の権利や、戦後通常のやり取りの中で生じた利害関係は丁寧に除いた上で、日韓双方がすべての財産、請求権を放棄しています。大体、国交正常化のフォーマットというのはこういうものです。

 しかし、日朝平壌宣言では終戦時(1945年8月15日)以前の財産、請求権の放棄を謳っているに過ぎません。「(抜粋)双方は、国交正常化を実現するうえで1945年8月15日以前に発生した理由に基づく両国および両国国民のすべての財産および請求権を互いに放棄する基本原則に基づき、国交正常化会談においてこれについて具体的に協議することにした。」日朝平壌宣言の時点で終戦後の財産、請求権にまで踏み込めなかった理由としては「1945年8月15日以降、どういう財産、請求権が日朝間に生じたかが分からない。」、「拉致問題が放棄すべき請求権に入れられかねない。」という事があります。日本側が持っている債権としては、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の損害請求、貸付米の償還がかなり具体的ですが、それ以外にも具体的な財産、利益、権利として化体していないものはあるでしょう。

 そして、私は北朝鮮側は絶対に「日朝関係に関する日本の自由民主党、日本社会党、朝鮮労働党の共同宣言(1990年9月28日)」を持ち出してくると思います。長いですが、結構衝撃的かつ重要なので出来るだけ引用します。「(抜粋)訪問期間中、衆議院議員金丸信を団長とする自由民主党代表団、中央執行副委員長田辺誠を団長とする日本社会党代表団、党中央委員会書記金勇淳を団長とする朝鮮労働党代表団間の数次にわたる三党共同会談が行われた。(略)1.三党は、過去に日本が36年間朝鮮人民に与えた大きな不幸と災難、戦後45年間朝鮮人民が受けた損失について、朝鮮民主主義人民共和国に対し、公式的に謝罪を行い十分に償うべきであると認める。自由民主党海部俊樹総裁は、金日成主席に伝えたその親書で、かつて朝鮮に対して日本が与えた不幸な過去が存在したことにふれ、「そのような不幸な過去につきましては、竹下元総理が、昨年3月国会におきまして深い反省と遺憾の意を表明しておりますが、私も内閣総理大臣として、それと全く同じ考えである」ということを明らかにして、日朝両国間の関係を改善する希望を表明した。自由民主党代表団団長である金丸信衆議院議員も朝鮮人民に対する日本の過去の植民地支配に対して深く反省する謝罪の意を表明した。三党は、日本政府が国交関係を樹立すると同時に、かつて朝鮮民主主義人民共和国の人民に被らせた損害に対して十分に償うべきであると認める。(略)1990年9月28日平壌にて 自由民主党を代表して 金丸信 日本社会党を代表して 田辺誠 朝鮮労働党を代表して 金勇淳(引用終わり)」

 何はともあれ、終戦時から現在までの財産、請求権の話は日朝平壌宣言には書いていません。現時点では交渉の指針として何の取っ掛かりもない状況です。そして、ここは日朝国交正常化の中では最も熾烈なやり取りが繰り広げられるでしょう。「戦後についても詫びるかどうか」という極めて思想と理念が絡む話です。しかも、与党としては「公式謝罪すべき」と一度文書に署名しているという事もあります。したがって、「日朝平壌宣言に基づいて国交正常化をする」というのは概ね正しいのですが、何が出てくるか分からないので触れていない部分があるという事には留意が必要です。

‘平壌裁判’は開かれないのか?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-28 10:57 [修正][削除]
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3555/3571
 米朝首脳会談において公表された共同声明には、朝鮮戦争の終結を意識した文言を見出すことができます。かねてより、北朝鮮は、アメリカとの直接交渉によって平和条約締結を実現し、米朝関係を正常化する戦略を追求してきました。今般、アメリカも、この方針を受け入れたように見えますが、朝鮮戦争の発端に思い至りますと、この解決方法は、国際社会における法秩序、並びに、人類のモラルの崩壊をもたらしかねません。何故ならば、朝鮮戦争とは、国連安保理でも認定された北朝鮮による侵略戦争であったからです。第二次世界大戦にあって、ドイツと日本の両国は、連合軍が設けた国際軍事法廷、即ち、ニュルンベルク裁判と東京裁判によって戦争責任者が厳しく断罪され、裁かれました。当時にあっても、事後法の遡及となるため、刑法の原則に反するとする批判はあったものの、これらの裁判は、国際法秩序形成への一里塚として正当化されたのです。法秩序を尊重するこの基本原則は、朝鮮戦争に際しても貫かれており、国際法において定められた南北境界線である38度線を越えて韓国領に侵入した北朝鮮に対して、国連安保理は明確なる侵略認定を下しています。そして、ソ連邦の欠席による安保理決議成立とはいえ、侵略国家と戦うための軍事組織として‘国連軍’が結成されたのです。

 この経緯を考慮しますと、朝鮮戦争とは、アメリカ・韓国陣営と中国・北朝鮮陣営の間で発生した通常の‘戦争’ではありません。侵略国家対国際社会(国連)の構図で捉えるべき戦争であり、正確に言えば、北朝鮮の侵略戦争を排除するための、軍事制裁としての武力行使であったのです(この意味において、朝鮮戦争とは侵略戦争+軍事制裁の二重戦争である…)。実際に、この当時、米韓同盟は未だ存在せず、アメリカ軍が軍事行動に参加する正当な根拠は、上記の国連安保理決議にありました。つまり、アメリカは、‘世界の警察官’として、法秩序の下で平和を守るという自らの義務を引き受けたのです。軍事介入した中国に至っては、侵略国家の側に加担したのですから、いわば、‘共犯者’の立場にあります。

 ところが、今般の朝鮮戦争終結をめぐる各国の動きを見ますと、朝鮮戦争が、国連が認定した侵略戦争であった事実が忘却されているかのようです。おそらく、その背景には、同戦争において侵略側、即ち、国際軍事法廷の被告席に座るべき北朝鮮、中国、そしてロシアの意向が働いていることは容易に想像できます。これらの諸国は、朝鮮戦争を‘南北戦争’、あるいは、‘米朝戦争’にすり替えることで、自らの侵略行為を誤魔化そうとしているのでしょう。最終的に米朝二国間、あるいは、中国、韓国、あるいはロシア等の諸国による平和条約締結に持ち込めば、戦争責任者の追及や処罰のプロセスをカットできる上、経済支援まで引き出せるからです。これまでのところ、アメリカのトランプ政権も、この路線に引き込まれてしまっているかのようです。しかしながら、国際社会の法秩序の観点からしますと、この‘解決策’は、人類を堕落させる怖れがあります。侵略行為が公然と追認され、捕虜虐待といった通常の戦争法における違法行為さえ不問に付されるからです。こうした北朝鮮、並びに、犯罪国家陣営に対するあまりにも寛容な対応には、多数の死刑者を出すなど、厳罰に処されたドイツや日本国には承服できないでしょうし、何よりも、善悪の判断放棄を伴う国際法秩序の崩壊がもたらされます。米朝首脳会談共同声明でも、両国の関係を‘緊張状態’並びに‘敵対関係’と表現し、その克服を記していますが、朝鮮戦争が侵略戦争であった事実に鑑みますと、この表現は、歴史における事実を歪めています。警察官と犯罪者の関係は、対等な者同士の平凡な対立関係に巧妙に置き換えられているのです。

 法的論理一貫性を以って朝鮮戦争を終結させるには、まずもって、侵略の責任を明らかにする必要があるのではないでしょうか。中国やロシアが国際法を踏み躙る行動を繰り返す中、“平壌裁判”なき戦争の終結は、全世界の無法地帯化に拍車をかけかねません。米朝首脳会談が近い将来‘第二のミュンヘンの宥和’とならないためにも、通すべき筋を通し、なし崩し的な対北朝鮮融和策には人類史的な視点に立って歯止めをかけるべきではないかと思うのです。

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投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-26 10:28 [修正][削除]
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 これに対して、欧米諸国では死に至る前の段階から、虐待には厳しい刑罰が待っています。例えば米国ネバダ州では、特に性的虐待を含む深刻な虐待の場合、子どもが死亡していなくとも最高で終身刑となります。米国では虐待する親だけでなく、子どもを保護する役職の者の責任が問われることもあり、先述の死刑・終身刑の判決が下ったカリフォルニア州ロスアンゼルス上級裁判所の事例では、虐待を知りながら子どもを母親のもとに残したソーシャルワーカーの刑事責任も追及されました。イギリスでは、食事を与えない、必要な医療を受けさせないなど、子どもに「自分は無価値だ」と思わせるような扱いをする親に対して、検察官は最高10年の懲役を求刑できます。これらはいずれも、状況がエスカレートする前の段階から厳しい措置をとることで、児童虐待に歯止めをかけようとするものです。この点で、深刻な事態になって初めて対応する日本の法律と対照的といえるでしょう。

 最悪の事態に至るまで厳罰がない日本の法律は、「子どもの養育や躾は親に決定権がある」、「家庭内のことは家庭内でおさめるべき」という考え方を強く反映しています。親の権利、つまり親権を重視し、家庭のことに第三者が口を出すことを拒絶する「家庭の不可侵」を強調する立場は、いわば伝統的な家族観に基づくものです。親権も家庭も、もちろん大事でしょう。ただし、日本の場合、これらの考え方が強すぎる傾向があるようにみえます。深刻な事態にならない限り、児童虐待に公的機関の介入が難しく、親だというだけで厳しい法的処罰が科されないことは、これを象徴します。それは結果的に、問題がある家庭であっても部外者の介入が拒絶されやすく、家庭のなかの個人、とりわけ最も弱い立場の子どもの声を外に届きにくくしています。言い換えると、親権や家庭の不可侵を強調する考え方が、子どもという個人の権利を守る法律を阻んでいるのです。

 例えば、世界35ヵ国以上では、家庭で躾として子どもをぶつことも法的に禁止されています。ヨーロッパの多くの国はこれに当てはまり、米国の各州にはこれを明確に禁じる法律はないものの、公衆の面前でそういったことがあった場合、「身体的損傷」を理由に逮捕されることさえあります。これは、子どもといえども一人の人間で、親といえどもその権利を侵害することは許されない、という思想に基づきます。そのため、子どもの躾は身体的な苦痛などを与えない方法で行われるべきという考え方が広がっており、そちらの方が教育上むしろ効果的という報告は多数あります。教育学者ではないので、その効果については論じられませんが、ここで強調すべきは、親が子どもに手をあげることすら違法であることが、欧米諸国における児童虐待への厳しい法的措置と表裏一体であることです。逆に言えば、「親権」や「家庭の不可侵」を強調するあまり、親が子どもに手をあげることが大目に見られやすく、一部には学校の部活などでの体罰をも支持する親があることは、日本で児童虐待に対する厳しい刑罰を躊躇させる文化的背景になっているといえます。

 日本では育児放棄や暴力など児童虐待は年々増加傾向にあり、厚生労働省によると2016年に児童相談所が対応した件数は12万2,578件にのぼります。また、親の虐待によって、2015年4月からの1年間だけで全国で52人が幼い命を落としました。この状況を抜け出すためには、子どもを理不尽な親から守るのに十分でない法律を改める必要があります。しかし、教育や躾という名のもとに子どもに手をあげることを容認してきた社会の考え方そのものに変化がなければ、体罰がなくならないのと同じく、法による児童虐待の規制が「絵に描いた餅」で終わることも容易に想像されるのです。(おわり)

(連載1)欧米諸国と日本の児童虐待に関する刑罰の比較  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-25 13:06  
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 2018年3月に東京都目黒区で虐待によって死亡した船戸結愛ちゃんの事件で、両親が保護責任者遺棄致死容疑で逮捕されました。こういった痛ましい事件が発生するたび、児童相談所や警察の対応の不備や、自身が虐待された経験などから虐待してしまう親への支援の必要が指摘されますが、増え続ける児童虐待に対応するためには、虐待を行った親への刑罰も再考する必要があります。

 現在の日本の法律は、他の先進国と比較して、理不尽な親から子どもを守るうえで十分ではありません。虐待する親に甘い法律は、「親の躾」や「家庭の不可侵」を重視する思考に支えられているといえます。結愛ちゃんの事件のように、日本では虐待死に対する処罰は基本的に保護責任者遺棄致死罪で問われることになります。子どもや介護の必要な高齢者などの保護者が、その責任や義務を放棄し、「結果的に」死に至らしめた場合、「意図的な殺人」とは区別されます。そのため、保護責任者遺棄致死罪による懲役は3年以上20年以下で殺人罪より短い刑期になります。そのうえ、ほとんどの場合、裁判所の判決は20年より短くなりがちです。2012年、1歳の娘を虐待死させた両親に検察が懲役10年の刑を求めたのに対して、大阪地裁は「社会に与えた影響も大きく、今まで以上に厳しい罰を科すことが相当」と強調しましたが、それでも下された判決は懲役15年でした。裁判所が判決を下す際、被告の生い立ちや生活環境などの事情を勘案して、判決内容が検察の求刑や法律の上限より「割り引かれる」のは、他の種類の事件の判決でも同様です。ただし、死亡をともなう児童虐待が大きな関心を集めるなか、「故意によらない死亡」の罪を問う保護責任者遺棄致死罪ではなく、「殺意に基づく」殺人罪が適用されるケースも生まれてきました。やはり2012年に大阪地裁は、二人の子どもを餓死させた母親に「放置すれば死ぬことは分かっていた」と殺意を認定。懲役30年の刑を科しました。

 これらの日本の裁判所の量刑が重いか軽いかを考える材料として、他の先進国の法律をみてみます。米国では州ごとにやや異なりますが、例えばネバダ州では14歳以下の子どもを虐待して死に至らしめた場合、2年以上20年以下の懲役刑となります。進歩的で知られるカリフォルニア州ではさらに厳しく、懲役は25年。ヨーロッパに目を転じると、例えばイギリスでは最高14年です。日本の保護責任者遺棄致死罪と比べて、少なくとも法律の内容としては、これらの量刑には大きな差がないといえます。ただし、欧米諸国では虐待を行った親の「殺意」を認定し、殺人罪を適用することも多くあります。例えば、直近では6月8日、カリフォルニア州のロスアンゼルス上級裁判所は、恋人の8歳の息子に暴行を加えたりして死亡させた男に死刑を、男の子の母親に終身刑を言い渡しました。また、死刑が廃止されているイギリスでも2016年、2歳の子どもを虐待死させた夫婦に終身刑が科されました。

 先述のように、日本でも殺人罪が適用されることはあります。しかし、児童虐待の容疑者に殺人罪の最高刑が科されてこなかった点で、これらのケースと異なります。つまり、児童虐待を禁じる条文ではほとんど差がなくとも、日本の司法は「殺意」の認定に消極的であるため、虐待死させた親への刑罰が総じて緩くなりがちといえます。これに加えて、日本の場合、深刻な事態に至る前の段階での刑罰が軽い傾向があります。児童虐待防止法では、虐待の恐れがある場合、子どもに親が付きまとうことを都道府県知事が禁止でき、違反者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。しかし、それ以外の罰則は同法では定められておらず、身体的な暴行などは一般の暴行罪などが適用されます。また、育児放棄などの児童虐待そのものへの刑罰もありません。(つづく)

南北融和と終戦宣言について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-06-25 11:25 [修正][削除]
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3552/3571
 朝鮮半島問題に対しては、今年に入ってから一転、「南北融和」に向かって動いています。昨年末までは、「金正恩斬首作戦実行」などという声もあり、緊張していましたし、その傾向は、本年1月までは続いていたものと思いますが、平昌五輪が終了する頃には、「南北融和」のムードが韓国国内に拡散、これを追いかけるように、欧州を軸に、国際社会にも、「南北融和支持」のムードが醸成される中、今や、米国も軍事的に朝鮮半島に介入できる余地はないと見られています。但し、米国政府は今も、「軍事的に朝鮮半島問題に介入する。」というオプションを捨てていないと見られ、その可能性は一応頭に置いておく必要がありそうです。

 こうした中、一つの注目は、南北融和に向かい、体制維持の保証を受けたいとする北朝鮮のみならず、かつてのノ元大統領を崇敬すると言われる韓国の文大統領も、「南北融和」に積極的であり、南北首脳会談では、「南北融和」を更に決定的とする上からも、韓国政府は、朝鮮戦争に関して、「終戦宣言」を推進していると言われています。そして、韓国国内でも、こうした文大統領の言動を容認する声が強まっています。同一民族の関係融和を否定はしにくいでありましょう。

 しかし、こうした中、韓国の主要紙の一つである朝鮮日報に、この終戦宣言に関して、「どのような意味なのかよく分からない。」とした上で、「言葉だけで読み取ると朝鮮半島で戦争の状況が終わったという公式発表であると聞こえるが、そういうものではなくて政治的宣言であると韓国政府は説明している。事実、戦争は国際法上、ほぼ全てが言葉ではなく平和協定、または条約で終わるものである。そのまま終わりにすることも出来るという専門家もいるが、これも議会の同意や国際社会保証などの法的追加措置がなければならないことから、事実上の平和協定だと言える。この為、言葉だけでする終戦宣言は前例がないという。2007年の南北首脳会談の時も、ノ大統領=当時=が今と全く同じ終戦宣言を全く同じ方式で推進した。当時の外交部も世界各国の事例を必死に探してみたが、前例がないと言った。終戦宣言は通常、平和協定の一部に盛り込まれる。比較的最近で言えば、1995年のボスニア内戦の末に結ばれたデイトン合意も冒頭に、悲劇的な確執を終息させ、平和と安定を図る云々と宣言している。しかし、その後の本文11条、具体的な行動内容などを盛り込んだ付属合意書12件がある。そのような具体的な合意なしに、言葉だけでする宣言には意味がないからである。」とコメントしています。

 私も全く同感であり、北朝鮮の出自である文大統領が、「終戦宣言」のアナウンスメント効果の意味を知り、国際世論を一気に南北融和に向け、朝鮮半島問題に関して、米国に簡単には軍事介入させないように、「ロシアと北朝鮮と連携している。」とも見られます。韓国の立ち位置はどうなるのか、こうした中、米韓関係はどうなるのかを大いに注目したいと思います。

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