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(連載2)経済の出口 ← (連載1)経済の出口  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-22 17:15 [修正][削除]
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3611/3611
 その最悪のシナリオの時、日本政府、そして国会は選択を迫られます。「大増税+超財政緊縮」か、「国債の日銀直接引き受け」のどちらかです。いずれも国会の議決が必要です。後者は国債の信頼性を著しく下げ、ひいては日本経済の信頼性を下げるため、最終的にはハイパーインフレになるでしょう。上記で引用したコントで言うと、正にパツンパツンに伸びたゴムが顔にパチーンと当たる感じです。

 色々な方が「それでも日本経済は大丈夫」と言う説明をされます。「対外純資産が多い」、「政府は資産を持っているので純債務の規模はそこまででもない」、「日本銀行がすべて国債を買い切れば財政再建は終わる」。これらが大体の説明ですが、どれもこれも説得力が殆どありません。それらが正しいのなら、「1京円(今の10倍)国債を立て、日本銀行にすべて買わせて、それでインフラ投資に全部突っ込んでも大丈夫」という理屈になります。もっと言うと、それらの説明が可能なら世界征服だってやれちゃいます。なので、今、財政再建を本当に真面目にやらなくてはならないのです。「国債が増えても、経済成長率の方が高ければ国債の対GDP比は抑え込める」、この法則は基礎的財政収支(プライマリーバランス)が均衡している時だけにしか通用しません。今は基礎的財政収支が大赤字です。是非、この法則が適用できるところまで財政を改善し、かつ、同時に安定的な成長が出来るように潜在成長率を上げましょうという事にしかなりません。今、政府がやっているように、「成長率はかなり高いんだけど、金利はかなり低い」という粉飾予想により目くらましをする事は意味の無い事です。

 最近、安倍総理は「3年以内に出口」という発言をしました。あえて、予言しておきます。自分の政権の間には「出口」は探さないでしょう。そして、次の政権は間違いなく悶え苦しみます。次の政権が「出口」を求めなくても、マーケットから「はい、ここが出口ですよ」と指さされ、出口の前に日本経済が立たされる事も大いにあり得ます。場合によっては上記の最悪のシナリオだって来かねません。その時、批判を受けた安倍(前)総理は「自分の時代は良かっただろ。今、悪くなったのは自分の責任じゃない。」と言うはずです。最近の発言は、何となくそういうシナリオを描こうとしているように聞こえます。そうさせてはいけないのです。

 今、日本経済がマーケットにまだ、信頼されているのは「財政再建の余地がある」と思われているからです(それが無くなったら、つるべ落とし状態になります。)。その信頼が残っている間に、「今の政策は短期的には意味があった。ただ、そもそもが日本経済そのものの耐久性チャレンジ競争みたいなもので、長く続けた時点でアウト。財政再建を強く推し進め、マーケットの信頼を維持すべき。もう残されている時間は殆ど無い。」という認識を安倍総理に持ってもらう必要があります。しかし、残念ながら、与野党含めてこういう議論をしないですね。一部野党は「バラまき合戦」に加わっています。「見ざる、言わざる、聞かざる」の3匹のサルが日本のあちこちを闊歩しています。(おわり)

(連載1)経済の出口  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-21 19:53  
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3610/3611
 そろそろ、「大幅な金融緩和」を始めてから6年になります。これは、どう見ても無理筋の政策なのですが、これを真正面から批判する人は少ないです。理由は簡単でして、「短期的にはそれなりに成果が出ている(ように見える)から」です。あれだけ円安誘導をすると輸出ドライブが掛かりますので、それらの産業を中心に景気が持ち直したのが大きいでしょう。ただ、気を付けなくてはならないのは、経済において「ただのランチのようなものはない」という事です。例えば、ドル建ての日本の国内総生産(GDP)の規模は劇的に下がっています。また、大幅な金融緩和によって、今後、何らかのショックで金利が上がった時にも打てる金融政策が殆ど無いでしょうし、財政再建が進んでいない事から金利が上昇した時の利払い負担への脆弱性が高まっていますし、そもそも、日本国債の信頼性が少しずつ掘り崩されています。また、低金利に我々は慣れてしまったので気付きにくいですが、ゼロ金利とは国民の預金や金融機関に課税をして、国債の償還費に充てているのとほぼ同義です。

 今の政策は「日本経済の耐久性に極限までチャレンジ」みたいなものでして、先人の築き上げた日本経済の財産を食い潰しながら、何とか短期的に体裁を整えているようにしか見えません。ただ、もうそのチャレンジも限界に到達しつつあります。パツンパツンに張り詰めたゴムのような状態だな、とあるコントを思い出しました。私は「大幅な金融緩和」を全面的に否定するつもりはありません。短期的に一息つくため、そういう政策を打つ可能性はあったでしょう。ただ、その間に生産性を上げ、潜在成長率を上げる事に全力を注ぐ必要がありました。結局、大幅な金融緩和のユーフォリアの中、それらの政策が進まず、今になって「生産性革命」とか言っています。さすがに「最初から『生産性革命』のための時間稼ぎをするという経済政策パッケージではなかったのか?」と言いたくなります。

 あまり大きくは報じられないのですが、今年に入って新発の10年国債の売買不成立が7回も起きています。これまでに無かった事態です。私の眼には、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを歴任したオリヴィエ・ブランシャールが数年前に鳴らした警告ととても被ります(小黒一正・法政大学教授の論稿「オリヴィエ・ブランシャール教授の日本財政への警鐘」(アゴラ、2016年05月21日。)と合わせて是非読んでいただきたい内容です。)。これまでは日本国債は金利が低くても買ってくれる国内の投資家が居ましたが、国債が国内で捌けなくなっていく時、スプレッドの要求が厳しい外国の投資家に買ってもらわなくてはならないという事態がひたひたと来ているような気がしてなりません。三菱東京UFJ銀行は2年前に国債入札の特別参加者資格を返上しています(なお、これは同行が国債入札をしないというわけではなく、特定の義務を負わないという事です。)。

 それ以外にも、色々なショックで金利が跳ねる可能性はあります(その可能性が無いという事こそ正に「安全神話」です。)。その時が正念場になるでしょう。とても脆弱性が高いです。今、毎年借換債を含めて150~170兆円くらいの国債発行になりますが、これらの金利が2%になってしまうだけで、3~3.5兆円くらいの負担増です。数年、2%状態が続けばすぐに消費税7-8%分くらいの負担増になります。ブランシャール氏が言うように「政府から日銀に『ゼロ金利を維持してくれ』と電話が掛かってくる」事だって大いに考えられます。(つづく)

真のグローバル・ルールとは   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-19 11:25 [修正][削除]
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3609/3611
 国境の完全なる撤廃を志向する自由貿易主義やグローバリズムの問題点は、多様性に富む現実にあっては、内外格差や規模のみを理由に淘汰される‘負け組’を犠牲にしながらその利益が国境を越えて偏在するところにあります。偏在と言うよりも、少数への集中と表現した方が、より現実を映し出しているかもしれません。こうした問題に対する対処としては、国家による国境の内外調整機能を認めつつ、より調和的な発展を目指す‘最適貿易主義’、あるいは、‘貿易調和主義’といった考え方もあり得るのですが、それでは、国際社会には、最早、共通ルール=グローバル・ルールというものは不要となるのでしょうか。

 今日の世界貿易機関(WTO)の枠組みでは、加盟各国による自由化措置の義務的実施こそがルールですので、政府に内外調整権限の放棄を迫る一方で、企業に対しては、境界線のない自由な活動空間を提供しています。言い換えますと、‘自由を失う国家’と‘自由を獲得する企業’との組み合わせであり、秩序全体としての‘規律ある自由’は実現していないのです。そこで、この状況を改善しようとすれば、国家、並びに、個人の権利保護を根拠としたグローバル・ルールを制定してゆく必要があるように思えます。国家を対象としたグローバル・ルールとは、各国の政府が護るべき共通の行動規範や自国保護のために取り得る権利の設定を意味します。現行のルールは自由化一辺倒ですが、相手国の経済に対して深刻なマイナス影響を与えるような自由化については、一定の歯止めがかかります。主として通商条約の内容が対象となりますが、手法としては、具体的な行為を個別に列挙して禁じたり、主権的な権利として認める方法もあれば、一定の範囲を定めて保護的手段を容認するレンジ設定方式もあります。二国間であれ、多国間であれ、通商条約の締結に際しては、何れの国の政府も、大量失業や一部産業の壊滅など、他国の国民に甚大な被害が及ぶ条件を付すことはできなくなるのです。

 一方、個人を対象としたグローバル・ルールとは、主として個人の生命や身体といった基本的権利を保護するために、主として企業を対象として設けられるものです(国際法によってグローバル・ルールが設定された場合、EU法のように直接効果を持たせるのは難しいので、各国は、国内法で同基準に合わせることに…)。現状では、‘ソーシャル・ダンピング’や‘環境ダンピング’と称されるように、より規制が緩い国に製造拠点の集中が起きるケースが後を絶ちません。中国が“世界の工場”と化した一因として、その規制の甘さも指摘されており、地球環境の悪化をもたらすと共に、人々の生活や健康を害する原因ともなってきました。国家間の規制レベル格差は、自由化=開放政策に伴う悪しき要素移動の要因でもあるのです。労働基準や環境基準のみならず、知的財産権のさらなる保護や製品や食品等の安全性もグローバル・ルール化の対象となりましょう。また、今日、グローバル市場を背景に登場してきた米中の巨大企業による‘支配的地位’を考慮すれば、競争法の分野にあっても、新たなグローバル・ルール造りが必要とされているとも言えます。

 巧みな通商交渉に重点を置く‘最適貿易主義’、あるいは、‘貿易調和主義’にあっても、グローバル・ルールが否定されるわけではなく、むしろ、国際法秩序の基礎的な基盤があってこそ、各国とも安心して‘最適貿易主義’、あるいは、‘貿易調和主義’にもとづく国際通商体制に参加し得るようになるのかもしれません。この方向へと歩み出すには180度の発想の転換を要しますが、ここで一旦立ち止まり、固定概念を排して全人類に恵みと豊かさをもたらす道について改めて考えてみるのも、決して無駄なことではないように思えるのです。

五輪向けサマータイムは結局廃案か   
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-18 11:56 [修正][削除]
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3608/3611
 2020年夏の東京五輪向けに、安倍首相が自民党に指示したサマータイムの導入検討は、無理が多く、撤回されると考えたほうがいいでしょう。この夏の猛暑に驚いた森大会組織委員会会長と安倍首相がだれかの思い付きに乗せられたのでしょう。「面白そうだ」というスローガンに飛びつき、関係部署に指示を出したがる安倍政権の軽率さによるのでしょうか。自民党総裁選が7日に告示され、20日の投開票ですから、安倍首相は出したばかりの指示を引っ込めるには、タイミングが悪い時期です。北海道が地震で全道停電、死者と行方不明35人という時にサマータイム案の撤回発表でもありますまい。10日に延期された所見発表、候補者記者会見あたりで、撤回を匂わすか、「検討継続」とかいって、結局、断念という流れになるのでしょうか。

 日本を代表するコンピュター・エレクトロニクス企業の元役員で、工学博士号を持つ知人が一刀両断です。「検討にも値しないくらい下らない案だ」と主張します。コンピュータには時間が組み込まれています。人間の生活時間を2時間、早めるだけでいいという単純な話ではありません。コンピュータの専門家の意見が必須なのに、五輪組織委が彼らの意見を事前によく聞いたとは思えません。私の知人の意見はこうです。「サマータイムは世界で廃止の方向です。これから日本がやることは時代の逆行です」、「20年ほど前に、通産省(当時)が検討し、デメリットが大きいとの結論だ」。実際に、欧州連合(EU)では廃止論が高まり、「経済効果は疑問、健康に悪影響」と分析しています。さらに重要なのは、「世界のサマータイムは繰り上げ1時間でシステムができ上っている。森提案では繰り上げ2時間。世界のサマータイム基準を利用できない。日本だけで新システムを開発しなければならない」。マラソンのスタートを午前5時に繰り上げるために、繰り上げ2時間という変則的な案です。日本人も5時に起こしてテレビを見させ、あるいはチケットを売り切るには、生活時間も繰り上げる。競技時間だけ涼しい早朝に設定しても、チケットを買う観客がこなければ、売れ残る。いっそのこと、サマータイムを導入すれば、全て解決すると、思ったのでしょうか。

 いかにも思い付きと思わせるのは、さらに「五輪が終わると、その2年後にサマータイムを元に戻す。ナンセンスきわまりない」と、知人は指摘します。コンピュータが世界中でネットワークで接続され、1日24時間に2時間をプラスマイナスし、1日22時間の日と26時間の日を設定し、金利、給与なども計算します。航空機や鉄道のダイヤの変更も必要です。日本だけいじっても、サマータイムは導入できないのです。「日本の夏は暑いから、マラソンは午前5時のスタートにしよう。だから頼む」では通らないのです。しかも、19年から試行するといいます。そのためには、秋の臨時国会に法案を提出し、成立後、準備に残されている期間は半年しかない。マイクロソフト社は、「夏時間へのシステム変更は1年以上、準備に時間をかけるように」と、いっています。グローバル化の時代です。森、安倍両氏は、世界に日本がつながっていることは念頭にないのでしょうか。こんな意識で、他の重要問題にも対処しているのではないかと疑いたくなります。

 五輪の開催時期、競技の放映時間については、米国のテレビ業界が決定権を握っています。かれらの最も儲かる日程、時間帯に競技を設定する。日本が急に「サマータイムの導入で、競技時間を2時間、繰り上げる」と通告すれば、国際オリンピック委員会もテレビ業界も「分かった」といってくれるのでしょうか。問題の発端は、五輪の開催時期を猛暑の7、8月に設定したことです。米国における放映時間の都合で決めたのでしょう。日本が応募するなら、10月あたりに時期をずらすことを条件にしておくべきでした。少なくともそういう事前交渉をしておくべきでした。五輪開催を熱望するあまり、国も都も拙速でしたね。そのつけが回ってきているということでしょう。

中国本土企業の発展の背後にある中国本土のダブルスタンダード戦略について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-17 00:54 [修正][削除]
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3607/3611
 昨年、韓国の三星電子とLGディスプレーを抜き、液晶パネル業界の事実上の世界トップ企業となったのは、中国本土の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)であります。BOEは、私の見るところ、明らかに中国本土政府系の軍需企業であり、1950年代から「774工場」とうコード名で真空管などを生産し、中国本土の人民解放軍に納入していたことで知られていたものであり、その後、1985年に北京市所属の国有企業として再編され、日本と合弁でブラウン管部品などを生産しましたが、実は産官連携の、中国本土得意のダブルスタンダードによって作られた企業と私は認識しています。そして、中国本土政府の背後の支援を基にBOEは韓国企業買収、これを契機として、液晶パネル事業に参入しました。収益拡大と情報産業と言う軍事産業関連拡大の両方に影響力を持てるとの認識から、中国本土政府のBOEに対する支援が強まりました。そこへ、2003年には、キャッシュフローが危機に直面したハイニックス半導体が液晶パネル部門のハイディスの売却を目指した際、BOEは3億8,000万米ドルでこれを買収しました。これを契機に、2005年には北京に第5世代の液晶パネル生産ラインを完成させ、合弁で徐々に技術を学んでいくというより、むしろ、買収することによって重要技術確保し、発展の基盤を作ったのであります。これも中国本土政府の発展戦略の得意技であり、だからこそ、最近は欧米で、「中国本土企業による企業買収に対する規制が強まっている。」とも言え、また、私は、「昨今の米国の対中経済制裁の背景」にはこうした、「中国本土政府のダブルスタンダードに基づく、いいとこ取りの発展に対する警戒」があるものと見ています。

 ところでBOEの液晶パネル事業への挑戦は無謀な面が少なくなかったのですが、これは、中国本土政府の支援が支えとなっていたと見られます。例えば、ハイディスの韓国人技術者1人にBOEの従業員を約15人付け、液晶ディスプレーの基本から教えるほど、技術人材は絶対的に不足していたことから、当初、製品の歩留まり率は60%程度にしか過ぎず、当初は、年間数千億ウォンの赤字が積み上がりましたが、こうした赤字を支えたのもやはり中国本土政府の支援であり、経営危機を持ちこたえたのでありました。社会主義・共産主義国家のなせる技で、日本の民間企業であれば、企業再生を図るか、倒産の憂き目にあっていたかもしれない状況でありました。

 しかし、中国本土政府の支援があり、BOEはこうした状況でも生産ラインの拡張を続け、先端産業の誘致を目指す中国本土政府と連携しました。その後2008年から2013年までに21兆ウォンを超える資金を借り入れ、四川省成都市、安フェイ省合肥市などに生産ライン6本を建設、2010年後半には量産に入りました。もともと、規模の経済性が働く、半導体業界にあって、BOEの量産開始が効果を上げ、競合企業を下回る単価で中国本土内需市場を席巻し、2012年には黒字転換、2014年には世界5位の液晶パネルメーカーとなり、今日に至っています。そして、最近では、BOEが当初困難にあった技術者確保も飛躍的に改善、人材確保面では、BOEは年間6,000~7,000人を新規採用出来るようになり、このうち60%が修士以上、しかも中国本土を代表する北京大、清華大など名門出身も数多くいるようになっていると報告されています。

 中国本土政府の共産主義社会主義と資本主義のいいとこ取りのダブルスタンダードを背景とした発展は、世界一の人口を背景とした規模の経済性を利用しつつ、中国本土の発展を大いに支え、最近では、その中国本土が、「覇権主義的動き」を強め、私は危惧しています。中国本土には、「大国としての義のある行動」を取ってもらいたいものであります。

(連載2)朝鮮戦争を法的に処理するには ← (連載1)朝鮮戦争を法的に処理するには  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-14 10:20 [修正][削除]
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3606/3611
 しかしながら、今日、責任当事国である北朝鮮では、金日成の孫の時代に至っております。そこで、最高責任者の代替わりに対してどのように対応するのか、という法理上の困難な問題が提起されるのです。この問題については、朝鮮戦争以来、北朝鮮では世襲独裁体制が維持されておりますので、戦争犯罪の責任も後継者に継承されていると解することも可能です。

 停戦協定が結ばれたとはいえ、未だに戦争状態にありますので、同解釈に立脚すれば、全責任を祖父から引き継いでいる金正恩委員長を被告人とする特別国際軍事裁判=平壌裁判もあり得ることとなりましょう。この場合、同法廷の設置者は国連となり、加盟各国から判事が選任される形態となります。

 そして、もう一つ、法的な解決方法があるとすれば、金委員長が自らの国家の罪を全面的に認め、侵略戦争を終わらせることです。北朝鮮の侵略に戦争原因があり、かつ、国連安保理で侵略認定を既に受けていますので、双方の合意ではなく、侵略側の一方的な侵略行為の放棄宣言で事足りるはずです。この場合、犯人の‘投降’や‘自首’と同様の行為となりますので、もしかしますと、罰は減免されるかもしれません。

 もっとも、北朝鮮側が、自らが戦犯国家となる法的処理を望むはずもありません。否、戦争犯罪の罪から逃れるべく、国際法上の法的処理手続きを飛ばした単なる‘戦争終結’を強く要求しているのでしょう。何れにしても、朝鮮戦争に法的処理について考えてみることは無駄ではないように思えます。それは、侵略戦争であった事実に頬被りをしたい北朝鮮に対する強い牽制の効果が期待できますし、あるいは、国際法秩序の未来に照らしてみれば、最も適切、かつ、人類に希望を繋ぐ解決方法であるかもしれないのですから。(おわり)

(連載1)朝鮮戦争を法的に処理するには  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-13 02:32  
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3605/3611
 最近の米朝関係を見ますと、かつてあれほど騒がれた「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)は、一体、何処に行ってしまったのかと戸惑うばかりですが、北朝鮮が、核・ミサイルの開発能力を維持しようとしている背景には、朝鮮戦争終結の要求があることは想像に難くありません。

北朝鮮側は、アメリカが朝鮮戦争の終結を実行に移さない限り、核もICBM等のミサイル開発も放棄するつもりはないことを、敢えて中途半端な行動をとることで、アメリカに対して仄めかしていると考えられるのです。ミサイル基地の解体ショーも、アメリカがポーズであることを見破ることを計算に入れてのことなのでしょう。しかしながら、かくも北朝鮮に対して大幅な譲歩を見せながら、トランプ政権は、北朝鮮からの朝鮮戦争終結要求に応じるつもりはないようです。

 ここで、しばし考えてもみるべきことは、朝鮮戦争の法的な処理方法です。‘朝鮮戦争の終結’と言う時、北朝鮮側は、戦争終結宣言から平和条約への2ステップを想定しているようですが、1950年に始まる朝鮮戦争が、北朝鮮の対韓国侵略戦争に端を発していることは重要な事実です。朝鮮戦争とは、国家対国家の一般的な戦争とは性質が違います。

現在、朝鮮戦争は停戦中に過ぎず、法的には、‘世界の警察官国連対侵略国家北朝鮮’の構図が継続しているのです。朝鮮戦争の二重性(侵略戦争+制裁戦争)からしますと、最初の侵略戦争の処理もまた、法的には正当、かつ、必要な手続きとなります。この点に鑑みて現状を見ますと、今日に至るまで、南北を画する38度線は保たれており、戦争以前の原状も回復されています。言い換えますと、法的処理に際しては、強制力による原状回復を必要としておらず、残された問題は、かつて、第二次世界大戦後に戦争責任者が処罰されたように、戦争責任者の処遇となるのです(賠償や請求権問題は平和条約で解決…)。最も望ましい形は、北朝鮮による戦争犯罪が国際法廷において裁かれ、その指導者たる責任者が処罰されるというものです(もちろん、一般の戦争法違反行為についても軍事裁判を要しますが…)。(つづく)

(連載2)リラ急落で中国に急接近するトルコ ← (連載1)リラ急落で中国に急接近するトルコ  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-12 00:00 [修正][削除]
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3604/3611
 人民元の普及は、習近平体制が推し進める「一帯一路」構想の柱の一つでもある。もともとトルコは「一帯一路」構想に(少なくとも表面的には)協力的で、2017年5月に中国で開催された「一帯一路」国際会議にエルドアン大統領はプーチン大統領らとともに出席していた。リラ急落を機に金融面でもトルコ経済に影響力を伸ばすことは、中国にとって「一帯一路」構想を加速させるものとなる。また、既に中国はトルコ経済に深く食い込み始めている。中国屈指の情報通信企業ファーウェイはトルコ・テレコムと共同で5G回線の普及を進めており、宅配サービスのアリババも事業を開始している。リラ急落はこれら中国企業にとって、トルコ企業買収を加速しやすくする。そしてなにより、「アメリカの横暴」に直面するトルコやイラン、さらにロシアを糾合した運動を展開することは、アメリカと張り合う大国としての立場の確立にもつながる。こうしてみた時、香港に拠点をもつアジア・タイムズ(2018年8月10日電子版)が「中国がトルコを買い叩く」というコラムを掲載したことは不思議でない。

 ただし、トルコの要請に中国が一方通行で傾くかは疑問だ。実際、エルドアン大統領のラブコールに中国政府はこれまでのところ公式の反応を示していない。もともと中国とトルコの間には、浅からぬ因縁がある。両国は新疆ウイグル自治区をめぐって対立してきた。中国西部の新疆ではウイグル人の分離独立運動があり、中国政府はこれを「厳打」と呼ばれる苛烈な弾圧で取り締まってきた。これに対して、ウイグル人が民族的にトルコ人に近いことから、エルドアン大統領は「大量虐殺」とさえ呼び、しばしば中国を批判してきた。この経緯を抜きに、困った時だけ臆面もなく協力を求めるエルドアン大統領に、面子を重んじる中国が「手を差し伸べない」ことで罰を与えようとしても不思議ではない。

 それだけでなく、自分のペースでなく「反米連合の旗頭」に祭り上げられるのは、中国にしても痛し痒しである。中国にとって、長期的には「一帯一路」構想の重要性は揺るがないが、少なくとも短期的にはトランプ政権との貿易戦争の収束も重要な課題だ。国際通貨基金(IMF)の統計によると、2017年段階の中国からみたアメリカとの貿易額(5886億ドル)は、トルコ、ロシア、イランの三ヵ国との間の貿易額の合計(1433億ドル)をはるかに上回る。

 つまり、現状においてアメリカとの関係改善の必要に迫られる中国にとって、トルコの都合に引き回されるのはリスクでもある。そのため、英キングス・カレッジ・ロンドンのソン・シン博士が指摘するように、トルコ支援が中国にとってチャンスであるとしても、それはトルコ経済の根本的な建て直しより、「アメリカの一方的な行動は認めない」という政治的ジェスチャーに傾きやすいとみられる。こうしてみたとき、少なくとも短期的には、エルドアン大統領のラブコールに中国はせいぜい表面的な対応にとどめるとみてよい。しかし、トランプ政権との貿易戦争が長期化し、アメリカとの関係改善にかかるコストが大きすぎると中国政府が判断した場合、「一帯一路」構想を優先させても不思議でない。それはトルコと中国が恩讐を越えて、これまで以上に接近する可能性を大きくする。だとすれば、制裁を受ける反米国家の結束が強まるかは、中間選挙に向けて各国との対決を演出してきたトランプ政権が、中間選挙の後に貿易戦争をなし崩し的にスローダウンさせるかにかかってくる。トランプ政権の敵が増えるかは、トランプ政権次第なのである。(おわり)

(連載1)リラ急落で中国に急接近するトルコ  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-11 07:03  
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3603/3611
 アメリカが相手構わずふっかける貿易戦争は、中国にチャンスを与えるものかもしれない。8月10日にトルコ・リラが急落して以来、トルコ政府はロシアやイランだけでなく、中国との経済協力を模索している。アメリカが反米的な国を経済的に追い詰めるほど、それらは結束しやすくなり、中国の動向はそのカギを握ることになる。8月10日からのトルコ・リラ急落には、アメリカのゼロ金利政策の解除でドルが新興国から引き上げ始めたことや、独裁化の傾向を強めるトルコのエルドアン大統領が、7月に財政・金融の責任者に娘婿を据え、海外投資への規制を強化したことなど、いくつかの伏線がある。しかし、直接的なきっかけは、10日にアメリカ政府がトルコの製鉄・アルミニウム製品に対する関税を2倍に引き上げたことにあった。

 トルコはNATO加盟国で冷戦時代からアメリカと同盟関係にあるが、近年の両国はいくつかの問題をめぐって対立してきた。エルドアン政権によるメディア規制などの人権侵害、シリア内戦でアメリカがクルド人を支援していること(クルド人はトルコ国内でも分離独立を要求しており、トルコ政府は彼らを「テロリスト」と呼んでいる)、2016年7月にトルコで発生したクーデタの首謀者とみられるフェトフッラー・ギュレン師がアメリカに亡命していることなどである。これらに加えて、最近では両国政府は、トルコ当局によってテロ容疑で自宅軟禁にされているアメリカ人牧師の解放をめぐって対立している。関税引き上げは、この背景のもとで行われた。つまり、この関税引き上げは、アメリカの貿易戦争の一環であると同時に、NATO加盟国でありながら反米的なトルコに対する制裁でもある。そのため、リラ急落後、エルドアン大統領は「アメリカが後ろから刺そうとしている」、「同盟関係が危機にある」とアメリカを批判。これと並行して、エルドアン大統領はアメリカとの取り引きを減らすことに言及している。

 もともと、アメリカとの対立が徐々に深まっていたエルドアン大統領は、2016年12月段階で既にアメリカに代わって中国、ロシア、イランとの取り引きを増やす考えを明らかにしていたが、リラ急落の翌11日に再びこの考えを示した。中国はトルコと同様、関税引き上げの措置を受け、トランプ政権との貿易戦争に直面している。ロシアは2014年のクリミア危機以降、イランは5月のトランプ政権によるイラン核合意破棄以降、アメリカから経済制裁を受けている。エルドアン政権の方針は、これらとの取り引きを増やすことでトルコ経済を立て直すとともに、アメリカと対抗しようとするものといえる。これに関して、英紙テレグラフ(2018年8月13日電子版)は、トランプ政権が『制裁を受ける国の汚れた枢軸』を生むリスクを抱えていると指摘している。

では、中国はエルドアン大統領のラブコールをどうみているか。8月10日、中国の英語放送CGTNはエルドアン大統領の方針を詳細に伝えた。中国にとって、リラ急落に見舞われるトルコのラブコールに応えるメリットは小さくない。特にリラ急落は、金融面で中国が影響力を伸ばす転機となる。リラ急落直前の9日、中国銀行トルコ支社は初めて人民元で起債(パンダ債)していたが、リラが不安定になるほど、同様の動きは広がるとみられる。(つづく)

世界貿易について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-09 11:46 [修正][削除]
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3602/3611
先般のBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国本土、南アフリカの新興国5カ国)の会議では、「米国の自国第一主義的な動きを背景とする保護主義的な動きは世界経済の成長に弊害を与える。また、特にこれからも経済成長の伸びしろが大きい新興国にとっては、大きなダメージを与える。従って、BRICSとしては、米国の保護主義的政策に対しては、反対の意思を示す。」との主旨の姿勢を示し、「G-7の米国以外の国」や、「G-20の米国以外の国」と同様に、改めて、「BRICSとしても米国の保護主義的政策に対して反対である。」という意思を示しています。即ち、BRICSの新興5か国の首脳会議では、特に、「アメリカと中国本土の貿易摩擦」に対する懸念が示された上で、「BRICSとしては自由貿易の推進を話し合った。」としています。

そして、この会議に出席した、中国本土の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領らも、「世界の多国間の約束がどうなるのか、関税がどのように上乗せされるのか、非常に懸念している。仮に貿易戦争と呼べることが起きているならば、BRICSの国々の間で起きているわけではない。ただ、国際関係の主要な問題であり、議論は避けて通ることができない。」との意見で一致、「米中で関税を上乗せしあう報復の応酬が繰り広げられればアフリカの途上国などにも大きな影響が及ぶ。保護主義に反対し、世界貿易機関のルールに基づいた多国間の自由貿易の推進を訴えたい。」としています。

私は、こうした主張は、「地球的視点から見たグローバル化」の推進という上からは、大賛成であり、そうした意味でも、「米欧間で話し合いが始まっている、関税を上げるのではなく、互いに関税を引き下げて、公平にしていくこと。」には大きな期待を寄せています。しかし、こうした一方で、私は、中国本土が、所謂、「ダブルスタンダード」で、「自由貿易のいいとこ取り」をし、「米国をはじめとする先進国の知的財産権の侵害をしつつ、中国本土の軍事力強化を図っている。」という事をしていると思われ、ここに、「義」はないと考えており、米国が、こうした視点から、中国本土との通商摩擦を展開していることに、ある意味では、理解をしています。

そして、中国本土の習近平国家主席が、「中国本土は自由貿易主義を守る。国際連携を図り、米国の保護主義的政策に立ち向かうべきである。」とコメントしていることについては、「中国本土が国際世論を味方につけて、自らのメリットを守る行為に出ている。」と私は感じており、こうした中国本土に、国際社会は同調してはならない、即ち、「中国本土は、自由貿易主義をまだ完全にはとっていない。」という事を国際社会は、改めて認識しつつ、米中通商摩擦を先ずは静観しつつ、じっくりと対応していくべきであると考えています。

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投稿者:佐藤 有一 (静岡県・男性・軍事評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-06 11:24 [修正][削除]
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3601/3611
 日本ではこれまで国民投票が行われたことはありません。地方自治体において住民投票が行われたことはありますが、投票結果に強制力が伴うものではありませんでした。国民投票の準備期間中の運動についての規制もほとんどありません。マスメディアでのPRや個別訪問も自由に行うことができます。国民投票法は憲法改正のための手続きを定めた法律ですが、ここで禁止されているのは公務員と教育者の地位を利用した運動だけです。事前の世論調査の結果が国民投票に影響を与えることも考えられますし、国会議員や官僚の不祥事があれば憲法改正とは関係ない事件であっても投票結果を左右するでしょう。候補者を選ぶ国政選挙とは異なり改正の賛否を選ぶのですから、投票を促す運動も国政選挙とは異なる様相を呈することでしょう。日本国民にとって経験のない国民投票は様々な予期しない混乱をもたらす恐れがあります。はじめての国民投票は「お試し国民投票」と揶揄される所以です。

 このように国民投票は不確定要素があまりにも多く、国民の憲法改正に対する本当の意思が投票結果に正しく反映されるか疑問とする意見もあります。英国におけるEU離脱の国民投票ではEUを離脱することに決定しましたが、その後にEU離脱に伴う様々な問題が明らかになってくると、国民投票をしたことに対する疑問が英国国民の中に発生して混乱をきたしています。国民投票は最終的な国民の意思決定であり、その結果は大変な重要性を持っています。国民投票で思いもかけない結果が選択されてしまっても、それを覆すためには再度の国民投票によるしかありません。しかもそれが望むような結果になるとは限らないのです。国会における憲法改正の審査や本会議における議決のハードルが高いとしても、憲法改正に賛成する国会議員の比率を勘案すれば国会内における改正手順の見通しはたてられます。しかし国民投票の結果だけは予測ができません。国会で充分に議論された憲法改正原案が国民投票によって否決された場合、国の政治社会の混乱による損失は計り知れないものがあると思います。これを「憲法改正のリスク」と称して、憲法改正をせずに憲法の解釈によって同じ目的を達しようとする考え方もあるようです。しかし憲法の解釈を変更するたびに憲法違反の論争が起こるのは、国会における本質的な議論とは言えません。

 防衛関連の憲法改正であれば日本の安全保障のために、現在あるいは将来発生しうる軍事的な脅威に対処する方策を、国内のみならず国際協調主義に基づいて国際社会で実現するための憲法改正でなければなりません。防衛関連の憲法改正の出発点は「日本の安全保障」とすべきです。それを無視した「平和主義」を出発点とすることは、現実に存在する日本周辺の軍事的脅威を見過ごす恐れがあります。憲法の基本原則である「平和主義」は大切な原則ですが、防衛関連の憲法改正に適用して出発点とするのはあまりにも危険であることを認識する必要があります。国の安全保障に関しては、一部の政党を除いて政党間の違いは少ないはずです。安全保障を確保するための憲法改正なのですから、党派の違いを乗り越えて実質的な審議をしてほしいものです。

 最近の国会の議論は政党間の党利党略にかたよりすぎて、肝心な法案が審議されないまま放置される状態が見受けられます。同じ言葉の繰り返しになりますが、憲法改正が政党の利害得失や政局を有利に進めるためだけの政治行動であってはなりません。ましてや国民の人気取りを目的とした言葉の印象操作をしてはいけません。世論調査でも明らかなように、国民は日本の安全保障を確保するために憲法改正が必要であることを認識しています。したがって、憲法改正に無関心な政党あるいは国会で憲法改正の議論や憲法審査会での審査を妨害するような政党は、次第に国民の支持を失っていくことは確実と思います。(おわり)

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投稿者:佐藤 有一 (静岡県・男性・軍事評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-05 11:26  
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3600/3611
 しかしながら、憲法9条によって日本が戦争に巻き込まれなかったことをもってして、それを平和憲法と称して守ることのみを主張する立場には賛同できません。それは日本を取り巻く国際環境が変化しているためです。特に1989年の冷戦終結以降の変化は急激であり、それまでは考慮しなくて済んでいた新たな安全保障上の脅威が出現しているからです。憲法9条は憲法改正の主要論点となっています。日本の安全保障に直接かかわることですから、私達は国会における憲法改正の動きを注視するだけでなく、知恵を絞って改正の必要性、改正条文の内容、条文の解釈の適否などを議論していく必要があると思います。

 第4に評価すべき条項は「国際協調主義」を明記した憲法前文と憲法98条2項です。憲法前文には「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と記述されています。憲法98条2項には「締結した国際条約は確実に尊守すること」と示されています。これは日本が国際社会の構成員として積極的に協調的な役割を果たしていくことを宣言したものです。憲法の基本原則「平和主義」をこの国際協調主義に当てはめていくと、平和主義を積極的に国際社会に広めていく役割を日本が担うことに繋がっていくはずです。これは「積極的平和主義」に他なりません。

 自民党の憲法改正草案には「緊急事態条項」があります。大規模な自然災害および外部からの武力攻撃とそれに伴う内乱などの社会秩序の混乱が発生した時に、政府に権限を集中させ、国民の権利を制限できるようにするという内容です。政府に法律と同じ効果を持つ政令を制定できる権限を与えるとしています。これについては、緊急事態になれば政府が必要に応じて政令を独自に制定できるようになるのですから、政府による独裁を招きかねないという危惧が存在します。戦前の国家総動員法が連想されるからです。国家総動員法は戦争遂行のために必要な全てのものを政府の統制下に置こうとしたもので、当然現在の憲法にはそのような条項はありません。新しい「緊急事態条項」を憲法に加えなくても、自然災害と武力攻撃に対処するための法律は現在の法体系の中に存在しています。災害対策基本法や自衛隊法などには、対処のために必要になった土地や家屋の収用、道路上に放置された車両の移動など国民の権利をある程度制限できる条文もあります。現行法であればこそ自然災害や武力攻撃を想定した訓練や演習を行うことも可能です。その結果、法律の不備が見つかれば修正したり新しい法律を加えていけばよいのです。このような実際の緊急事態に則した準備こそが、緊急事態に対する国としての備えになると思います。したがって緊急事態に対処するためには、国民の誤解を招くような「緊急事態条項」を憲法に加えるのでなくて、現行法で対処すべきです。

 日本国憲法は他国の憲法と比較して改正のハードルが高い憲法として知られています。衆参両院において議員の所定人数(衆議院100人、参議院50人)以上の賛成で改正原案が衆議院と参議院それぞれに提出され憲法審査会で審査されることになります。識者らの意見を聞く公聴会も開かれます。憲法審査会で審査して過半数の賛成があれば本会議に送られて、さらに議員の2/3以上の賛成で憲法改正が発議され、60~180日の準備期間を経て国民投票にかけられます。ここで投票数の過半数の賛成があれば成立となります。しかしながら、このような憲法改正の手順の中でいくつかの懸念されることがあります。憲法審査会における審査で、改正原案の内容に基づいた正常な議論がなされるか明確でないことです。現在の憲法審査会の活動はどう見ても活発とはいえません。改正反対派の委員が改正を阻止しようとして審査に応じないことは容易に想像できます。とはいえ、審査委員は国会の各政党の議員数に比例して配分されますので、結局多数を占める政党の望む方向で審査され可決されるでしょう。ところが、この審査の様子は当然公開されますので、政治的な駆け引きを混じえた強引な審査が国民に悪い印象を与えるかもしれません。それとは逆に改正に反対する政党による無意味な審査引き延ばしも国民投票に影響を及ぼすことでしょう。このようなことでは正常な憲法審査が行われたとは言えません。(つづく)

(連載1)憲法改正における防衛関連条項  ツリー表示
投稿者:佐藤 有一 (静岡県・男性・軍事評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-04 10:40  
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3599/3611
 憲法は国民の権利や国家の統治に関する基本的なルール・規定です。憲法は国民の生きる権利を保障し、国家の権力を制限しています。国にとって憲法は最高法規であり、これに違反する法律・政令・条例を作ることはできません。日本国憲法は1947年に施行されました。施行されてから70年以上が経過していますが、今まで一度も改正されませんでした。日本は民主主義国ですから、これは結果として国民が憲法改正をしないという選択をしてきたということでもあります。憲法が施行された時期は、太平洋戦争の敗戦直後でGHQにより占領統治されている状況でした。それ以降、日本の独立、自衛隊の発足、日本の国連加盟、日米安保条約の締結など様々な出来事がありました。国民の間にも憲法に関しての様々な議論がありましたが、この憲法は日本の社会にそれなりに定着しているのは確かです。憲法の原案は、GHQ最高司令官マッカーサーの指示によりGHQ内部で英語で作成されました。日本政府はこれを日本語に翻訳して、いくつかの修正を加えたうえで国会で議決をして公布しました。このような経緯で作成・公布・施行されたために、この憲法に対して成立過程の問題点を指摘する意見があります。すなわち「日本人によって作られた憲法ではない」「文章が翻訳調で日本語の文法としておかしな箇所がある」「表現が観念的であやふやな表現があり、異なる解釈をもたらす原因となっている」などです。「日本人が自主的に作った憲法ではない」のは確かですが、憲法の内容が国民に受け入れられているのであれば、それにこだわる必要は無いと思います。日本語の文章としての問題点に対しては、憲法改正の政治的な議論とは切り離して、正しい日本語の文章に修正していくべきです。とはいえ、その文章の修正を憲法改正によって実現することはきわめて困難でしょうから、次善の策として、政府は日本語の表現として正しいとする憲法の全文章をその解釈を含めて公表しておくことを提案します。

 太平洋戦争の敗戦直後の混乱期に、たとえGHQにより短期間に作成されたとしても、この憲法には評価すべき条項もあります。その第1は「天皇制の維持」です。天皇は国の象徴であると憲法1条に記述されています。憲法が作成された当時の状況としては、日本を統治していた組織の中には天皇制を廃止する動きもあったようで、これに対して天皇制が維持されたことはマッカーサーの判断によるところが大きかったのです。今日の日本の社会が安定しているのは、天皇制が維持されているためと言っても過言ではありません。仮に天皇制が廃止されてしまったとすれば、今日の日本の姿を想像するのは多くの日本人にとって難しいと思います。

 第2に評価すべきは憲法の基本3原則を明示したことです。憲法の基本3原則とは「国民主権」「基本的人権」「平和主義」です。この基本3原則に関連する憲法の条項は、憲法改正によって変更することは許されないとする護憲主義もあるようですが、「平和主義」にそれを当てはめることは間違っていると思います。なぜならば「平和主義」は日本の安全保障そのものだからです。「平和主義」を守っていくためには、日本の周辺に存在する軍事的脅威に適切に対応していくことが必要になります。そのためには「平和主義」に関連した憲法の条項の改正もありうることを、政府は国民に事前に説明しておくべきです。

 第3に評価するのは憲法9条で示されている「戦争の放棄」「他国を侵略するための戦力の放棄」です。いわゆる平和憲法の根拠となる条項ですが、最近の安保法制の成立過程での国会審議における混乱の基となった条項でもあります。憲法9条のおかげで、国際連合によって編成され米国が主導した朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争に日本が参加しなくてすんだのです。当時の日本政府は、日本には戦争を放棄した憲法9条があるから参加できないとしました。もしこれらの戦争に参加していれば、その当時の日本の国力、国内政治の不安定な状況、国際的な平和行動に対する準備の無さなどから考えて、対外的にも国内的にも大混乱をきたしていたと思われます。今日の日本には様々な問題があるにしても、それなりの安定した政治、経済、社会が存在していますが、これらの戦争に参加していたとすれば、それとは異なる混乱した日本になっていたかもしれないのです。(つづく)

(連載2)台湾の国家承認 ← (連載1)台湾の国家承認  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-04 10:36 [修正][削除]
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3598/3611
 むしろ、更にラテンアメリカやカリブの中で遠からず北京承認に切り換える動きが出てくるでしょう。その代わり、国際社会は台湾を経済的にどんどん取り込む動きをすべきです。台湾にとっても、国家承認というメンツを追うよりも、そちらの方が遥かに有益です。そういう観点から、私は昔、条約課補佐時代に「日本と『台湾、澎湖諸島、金門及び馬祖から成る独立の関税地域』との間で自由貿易協定を締結できないか。」という事を結構真剣に研究した事があります。今、台湾はWTOに加盟していますが、それは「中華民国」でも、「台湾」でもなく、「台湾、澎湖諸島、金門及び馬祖から成る独立の関税地域」という名称で加盟しています。WTOに加盟できるのは、国のみではなく、「独立の関税地域」でも加盟できるからです(例えば、香港もそれに該当します。)。

 マルチ(多数国間)でのお付き合いが、「独立の関税地域」である台湾とやれるのなら、バイ(二国間)でも同じ理屈でやれるんじゃないかな、と思って、論理的にかなり追求したのです。実際、シンガポールやニュージーランドは台湾とFTAを締結しているわけですし、法的に絶対超えられないという事でもないだろうと思ったわけです。ただ、日本と台湾で二国間で向き合って自由貿易協定を締結するのは、(政治的なテーマ以前に)法的論理構成としてもなかなかハードルが高かった事はよく覚えています。

 バイが難しいのであれば、TPPに誘い入れる事を検討してはどうかと思います。TPPは実は「独立の関税地域」が入って来る事を想定している協定です。第一章の「冒頭の規定及び一般的定義」の中で、「『締約国』とは、この協定が効力を有する国又は独立の関税地域をいう。」という規定があります。通商を長くやっている人間であれば、これを見れば「ああ、台湾が将来入って来る事も排除はしてないんだな。」という事がすぐに分かります。

 台湾が「国家承認」という外交上の基礎中の基礎の部分で苦しくなってきているわけですから、ここは経済面での誘い入れを積極的にやってみてはどうかと思うのです(今でもある程度の検討がなされているのは知っていますが、更にアクセルを踏んで。)。上記の通り、最低限のツールは揃えられています。(おわり)

(連載1)台湾の国家承認  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・元衆議院議員・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-09-03 12:18  
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3597/3611
 今年に入ってから、ブルキナファソ、ドミニカ共和国、エルサルヴァドルが、台湾(中華民国)承認から北京(中華人民共和国)承認に切り換えました。台湾承認国は、もう17ヶ国にまで減っています。「国家承認」とは、どの政府を中国の正当政府と認めるかという事でして、台湾と北京を同時に承認する事は、双方とも受け入れていません。台湾か北京かを選択する事が求められます。

 台湾承認国で多いのは南太平洋の島嶼国、カリブの島嶼国で、それに若干のラテンアメリカの国くらいです。例えば、アフリカでは、20年前くらい台湾承認国は結構多かったのです。記憶しているだけで、セネガル、ブルキナファソ、リベリア、ガンビア、ギニアビサオ、ニジェール、チャド、サントメプリンシペ・・・15くらいあったはずです。しかし、今となってはスワジランドだけになりました。

 私がセネガル在住時、セネガルは台湾承認でした。当時の相場は、台湾を承認すると手付金で大きな国なら100億円、小さな国なら50億円でした(なお、セネガルは「極めて大きな国」に入ります。)。裏金っぽい所がありまして、大体、大統領の私腹を肥やすのに役立っていました。その後、ほぼ3、4日に1回のペースで台湾の援助案件が新聞に出ていました。援助をエンドレスに継続する事が、承認を繋ぎ止める唯一の手法だったわけです。ひどいケースでは、アフリカの某国大統領が台湾に「大統領選挙の費用出して」と依頼し、さすがに台湾が断ったら、スパッと台湾承認から北京承認に切り換えられたという悲しい物語があります(なお、その大統領はその後クーデターで放逐されましたが)。今回、エルサルヴァドルもどうやら港湾開発で巨額の資金を要請したものの、台湾側が断った事がきっかけの一つになっているようです。

 20世紀の内は、札束で頬を叩く競争で台湾が勝っていたのですが、もう北京は札束合戦に負けなくなったという事なのです。馬英九政権の時代は、北京による承認引っぺがしオペレーションは沈静化していましたが、蔡英文政権になってから、これみよがしに北京の引っぺがしオペレーションが強化されています。もう、台湾はこの承認獲得合戦は止めた方が良いと思います。まずもって、新規で台湾承認になる国はもう出て来ないと見ていいでしょう。(つづく)

中国には真の大国の風格をもつよう期待する   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-31 12:02 [修正][削除]
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3596/3611
 ものの本によると、「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。そして、これをしてはならないとの倫理観に基づく規制がなされている国が世界の一般的状況であります。それでは、国家間でのパワーハラスメントは許されるのでありましょうか?私は如何なる理由があろうと許されないと理解しています。

 こうした中、「一つの中国」と言う、自らが作った原則に基づき、昨年、中国本土は、パラオに対して、「台湾と断交するように!」という要求を行いましたが、これをパラオが拒否したことから、中国本土はパラオでのホテル建設などを中止した上で、パラオへの団体観光を禁止し、この結果、パラオを代表する産業である観光業が不振に陥っているとロイター通信は伝えています。

 自らの言うことを聞く国に対しては、その経済力を背景に経済面でのアプローチを強める一方、自らの言うことを聞かぬ国に対しては、その経済力を背景に、パラオに対するような政治、外交的なダメージを与える中国本土に、「義」はあるのでしょうか?世界は、いくら、経済的な必要性を中国本土に対して感じても、こうした倫理観にも悖る言動をする中国本土を許してはならないのではないか?と考えます。

 「中国本土がいないと世界経済の成長は鈍化する。」と言う強迫観念にも似た感情を世界各国が持ち、中国本土のダブルスタンダードに基づく横暴をそのまま許してはならないのではないかと思います。もちろん、中国本土の良さを認めつつ、是々非々で対応する事が前提であり、また、「現実との折り合い」もつけながら対応する必要はありましょうが、世界は一旦、「中国本土との付き合い方」について、「見直しをしてみる時期に来ている。」と私は考えており、そうした意味でも、例えば、「米国の中国本土に対する関税を背景とした圧力による、中国本土の改心」を期待するところ大であります。何れにしても、今後の動向を注視したいと思います。

トランプ政権は中国の覇権主義を粉砕せよ   
投稿者:加藤 成一 (兵庫県・男性・元弁護士・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-30 11:21 [修正][削除]
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3595/3611
 米中貿易戦争が激化している。その本質は、単に米国の対中巨額貿易赤字(3756憶ドル=約41兆円)削減の問題以上に、知的財産権などハイテク分野での覇権を狙う中国に対する米国の深刻な危機感である。中国は、ハイテク産業の振興を図る政府戦略「中国製造2025」で、米国の技術覇権に挑戦する姿勢を見せているからである。トランプ政権は、中国による米国の知的財産権の侵害、米国企業からの技術移転の強要などを問題視し、第一弾として、本年6月に米国通商法301条に基づき、500憶ドル(約5兆5000億円)相当の情報通信機器、化学製品、ハイテク電子部品、鉄鋼製品などの中国製品に25%の制裁関税を課した。さらに、トランプ政権は、第二弾として、8月23日に160憶ドル(約1兆8000憶円)相当の中国製品に25%の追加関税を課した。のみならず、中国による不公正な取引慣行を理由に、第三弾として、9月以降に2000憶ドル(約22兆円)相当の中国製品に制裁関税を課すことを検討している。

 中国もこうした米国による制裁関税に対抗するため、米国製品に対して25%の報復関税を課している。しかし、米中貿易戦争では、到底中国に勝ち目はない。なぜなら、中国の米国からの輸入額は1299憶ドル(約14兆円)であるが、米国に対する輸出額は5055憶ドル(約55兆円)であり、輸出が輸入の4倍にも達するからである。のみならず、中国の貿易依存度(GDPに対する貿易額の比率)は32.93%であり、日本の27.45%、米国の20.06%よりも高く、しかも、中国経済は対米輸出に大きく依存しているから、米国抜きでは中国の経済発展はない。したがって、米中貿易戦争が長期化すれば、中国にとってダメージは大きい。特に、米国によりハイテク製品に25%の高額関税が課されれば、中国のハイテク産業は相当な打撃を受け、ハイテク分野における中国の覇権の確立は著しく困難となろう。

 中国は、知的財産権などハイテク分野での覇権を握ることによって、GDP(国内総生産) で米国を追い抜き、さらに、サイバー攻撃や宇宙空間も視野に入れた、先端ハイテク兵器の開発により軍事面でも米国を超え、早晩、西太平洋における制海権、制空権の掌握による覇権を狙っていると言えよう。このことは、第二次大戦後から現在まで、圧倒的な経済力と軍事力によって世界の覇権国であり続けた米国にとって、到底容認できる事態ではない。したがって、「中華民族の偉大な復興」や「一帯一路」を掲げる習近平政権が、米国に代わってアジア、太平洋地域のみならず、世界における覇権を掌握すべく米国に挑戦すれば、米中貿易戦争はますます激化するであろう。

 世界第六位の領海及び排他的経済水域を保有する海洋国家の日本にとっては、何よりも「自由で開かれた平和な海」が国益であり、南シナ海における中国による傍若無人な軍事基地建設と同様に、西太平洋においても、中国が制海権、制空権を掌握し、西太平洋が中国の支配に帰する事態は最悪である。共産党一党独裁政権である中国に、米国に代わって、アジア、太平洋地域のみならず、世界の覇権を掌握させてはならない。日本は、「自由と民主主義」の価値観を共有する米国、韓国、インド、豪州、ニュージーランド、タイ、フィリピン、台湾などの諸国と連携し、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進し、アジア、太平洋地域における中国の覇権を阻止することが日本の国益である。したがって、日本政府としては、トランプ政権が米国のハイテク分野などにおける中国による数々の不正行為を糾弾し、中国の覇権主義を粉砕すべく果敢に戦っていることは日本の国益に適合するから、これに理解と協力の意思を示すべきである。

(連載2)「人材開国」は明治の開国とは全く違う ← (連載1)「人材開国」は明治の開国とは全く違う  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-28 10:48 [修正][削除]
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3594/3611
 ‘モノ’、‘資本’、‘技術’、‘情報’などは基本的には非人格的な要素であり、比較的管理が容易ですが、‘人’とは、自由意思を持ち、かつ、自由な活動能力をも有していますので、前者のように管理することはできません。否、政府や雇用主が厳格な管理を試みようとすれば、人権侵害や人種差別行為として糾弾されかねないのです。言い換えますと、一旦入国を許せば、一個の独立した人格としてその権利と自由は尊重されなければなりませんので、仮に、経済目的であれ、来日した外国人労働者が、出身国の政治問題や社会的な要素を持ち込んだ場合について、政府は、これらを認めるのか、認めないのか、という重大な選択を迫られるのです。

 ‘外国人ファースト’を是とするマスメディアは、前者以外に道はないと主張したいようですが、出身国の政治や社会が日本国内に持ち込まれれば、先日のカンボジアでの選挙に際して在日カンボジア人が都内でデモを行ったように、出身国の様々な政治問題が日本国を舞台にして噴出するでしょうし、中国出身者に至っては、本国政府の指令に従って政治的な活動に従事する可能性もあります。

 また、多文化共生主義の下では日本国の文化も相対化されると同時に多文化空間となり(政府は既に多言語化を推進…)、歴史も伝統も、そして、日本人ならではの美徳もその生命力を失ってゆくことでしょう。

 日本国政府は、経済的な目的を以って事実上の‘移民政策’を正当化しようとしておりますが、上記の政治・社会的問題に対して、どのように対応するつもりなのでしょうか。安倍首相は、自民党の総裁選を前に、目下、三選目を目指しておりますが、一般国民からの支持を失っては元も子もないのではないでしょうか。「サイレント・インベージョン(静かなる侵略)」と非難されるようにもなり、諸外国で既に失敗の評価が下されている移民拡大政策を後追いするのはあまりにも愚かであり、「人材開国」の行く末が、政府による迂闊な‘開城’による自国の破滅であるならば、こうしたリスクに満ちた政策は、早々に断念した方が賢明であると思うのです。(おわり)

(連載1)「人材開国」は明治の開国とは全く違う  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-27 11:46  
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3593/3611
 安倍政権は、外国人労働者の受け入れ拡大に向けて準備を加速するよう指示したと報じられております。「人材開国」という野心的な表現も見受けられるようになりましたが、この開国、明治時代の成功体験を意識しているとすれば、それは、現代という時代を読み違えているのではないかと思うのです。

 今般の「人材開国」は、外国人単純労働者にも門戸を広げるという意味において、過去に類例を見ません。明治時代の開国とは、通商条約の締結とそれに伴う外国との貿易の開始を意味しましたが、今般の「人材開国」は、‘モノ’でも‘資本’でもなく、‘人’が日本国内に大量に流入します。開く分野が違うのですから、江戸末から明治にかけての開国とは似て非なるものなのです。性質の違うものを恰も同じように扱うのは一種の‘印象操作’なのですが、‘人’とは、社会的、並びに、政治的な存在であり、かつ、人格を伴いますので、「人材開国」に伴う政治・社会的変化は明治の開国よりも深刻です。

 明治期とは、日本国民が、西欧諸国の先進的な学問や技術のみならず、その風習や文物までも取り入れ、熱心に学ぼうとした時代です。鹿鳴館時代には諸外国からその物真似ぶりが揶揄されましたが、いわば、キャッチアップが至上命題であったこの時代、近代国家の一員となるために日本人自身が積極的に自らを変え、当時の‘国際スタンダード’に合わせようとしたのです。しかも、当時の通商条約では、主として経済活動を目的とした両国間の人の行き来は許しても、移民については自由な入国を許していません。当初は開港地に外国人居住区を設け、国内における外国人の自由移動さえ許さない程であったのですから(その後、外国人の移動制限は段階的に解除…)、近代化のプロセスにおいて国民の枠組が大きく崩れることはなかったのです(韓国併合時にあっても外地からの人の移動には制限はあった…)。大小の凡そ100藩から成るゆるい連合体の幕藩体制であった江戸時代と比較すれば、日本国民という国家への帰属意識、即ち、アイデンティティーと団結力は、むしろ強まったのではないでしょうか。

 ところが、今般の「人材開国」とは、明治期の開国とは、全く異なる作用を国民に及ぼします。それは、国内に大量流入するのが‘人’であるからに他ならないのですが、国籍のみならず、言語、慣習、宗教、社会常識等が異なる様々な国々から‘人’が押し寄せてくるとしますと、日本国の政治や社会的枠組が崩壊するリスクは格段と高まります。(つづく)

宙ぶらりんな台湾   
投稿者:岡本 裕明 (非居住者カナダ・男性・海外事業経営者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2018-08-27 11:42 [修正][削除]
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 世界の外交で最も扱いが難しい一つが台湾かもしれません。日本から近く、親日家も多い台湾の外交問題はアメリカからの圧力、中国からの圧力のはざまでもがいています。中国政府は今年初め、台湾に就航している航空会社に対してその表記について台湾を国家として思わせるような表記を変更し、一つの中国の枠内であるという形を強要しました。一部の航空会社は悶着しながらもその変更表記を受け入れてきましたがアメリカの航空会社はアメリカ政府の意向もあり、強く抵抗してきました。が、最新のニュースでは航空各社はどうやら降参することになりそうです。航空会社が政府の意向を無視し、バトルして勝つことはほとんど不可能であります。「しぶしぶ」というのが正直なところでしょう。ではこの台湾、一体主権はどこにあるのか、もう一度、歴史をサラッとおさらいしておきます。

 1894年の日清戦争にまでさかのぼりましょう。この戦争で勝利した日本は翌年の下関条約で台湾を清朝中国から割譲し、日本の領土とします。その後、1945年まで50年間も日本の一部であり続けました。日本はその20年前に台湾出兵を行い西郷隆盛の弟の西郷従道が台湾に、そして、大久保利通が北京で外交交渉をするという事件もありました。この時は大久保の不思議な引け際の良さで台湾事件は何事もなく収まったという経緯があります。さて、戦後、連合軍の委託で中国が進駐します。問題はサンフランシスコ条約等で日本の台湾の放棄は謳っているものの、誰がそれを引き継ぐか、という点が明記されていない点が問題の発端でありました。つまり、台湾は地位的に、あたかも新国家が生まれてもおかしくない状況にあったとも言えます。その頃、中国国内では内戦で国民党と共産党が激しい戦いをします。そして当時の首都であった南京が共産党により陥落します。1949年のことです。37年には日本軍に陥落されていますのでわずかな間に南京は二度も落ちてしまうのです。その為、国民党は台湾に逃げ、現在に至る、というのがだいぶ端折っていますが、歴史であります。

 こう見ると国際社会では台湾の位置づけを正式には決めていないまま中国国内での帰属問題で振り回されているとも言えます。ただ国民党が台湾に新国家を制定したとするならば独立宣言をその時にしていなくてはいけないでしょう。それはありません。また、その後も中国が台湾を実効支配しているわけでもなく、台湾の政権も中国寄りになったり、主権派が主導したりと揺れ動きます。近年、中国は台湾と国交を持つ国にそれを断絶させるための力技を継続し、形勢としては中国に押されていると言ってよいでしょう。一方、トランプ大統領は台湾関係を国防上重視し、軍備や防衛面でバックアップしつつあります。個人的にはアメリカのインタレストは台湾の所属問題というより太平洋上の防衛ラインという意味合いが強く、日本列島から台湾、フィリピンに至るラインを死守し、中国の太平洋への進出をしにくくするという戦略的意味合いだろうとみています。それ以上の意味はアメリカにとってあまりなく、台湾の主権問題に立ち入ることも現状である限りにおいてないとみています。但し、台湾が完全に中国に飲み込まれるという事態は避けたいはずで、そのあたりの駆け引きはどこかであるのではないかと思います。

 台湾の人にとっては実に宙ぶらりんであり、台湾内でもその帰属に揺れ動く毎日であります。案外、台湾の人にとっては国際ビジネスもできるし、海外旅行もできるという点からは不自由があまりなく、気にしていないのかもしれません。微妙な問題でありますが中国の実効支配という力づくの抑えかたは避けてもらいたいものです。

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