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(連載1)習近平国家主席は“ビッグ・ブラザー”か   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-17 18:22 [修正][削除]
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3412/3412
 ジョージ・オーウェルの『1984年』は、理想郷であるユートピアとは正反対の邪悪に満ちた世界を描くディストピアの代表作です。奇しくも中華人民共和国建国の年と同じ1949年に公表された同作品は、独裁者スターリンが君臨したソ連邦をモデルとしたとされています。

 現在の中国の政治状況を見ますと、習近平国家主席は、同作品に登場する“ビッグ・ブラザー”に思えてきます。“ビッグ・ブラザー”とは、同小説の舞台であるオセアニア国の独裁者です。国民の前には自らの姿を現さないものの、常に国民を監視する存在であり、その顔写真のポスターは街の至る所に張られています。“ビッグ・ブラザーはあなたを見ている”というキャプション付きで。

 “ビッグ・ブラザー”のような豊かな黒い髭こそないものの、国民に対する自己顕示の強さは、習主席にも窺えます。先日開催された中国共産党全国代表大会において習氏の総書記再選出を伝える新聞の一面は、同氏の巨大な顔写真が掲載されたそうです(習近平ソングやバッジもある)。同氏には、“習大大”という愛称があり、“大大”とは中国語では“おじさん”という意味のようですが、“大”は英語では“ビッグ”です。

 また、習主席への権力集中が強まるにつれ、情報統制の手法も『1984年』の世界に近づいており(オセアニア国ではテレスクリーンという装置が使用されている)、国内でのスマホやSNS等の普及に伴い、内外の情報通信企業各社の協力の下で国民の言動をデータとして逐次監視できるシステムを整えつつあります。(つづく)

(連載2)中国本土の「一帯一路」と「AIIB」のセット戦略化について ← (連載1)中国本土の「一帯一路」と「AIIB」のセット戦略化について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-15 09:47 [修正][削除]
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3411/3412
 そして、こうした中国本土の交易拡大ルートとして、理論武装され、ターゲット化されたものが、「一帯一路構想」であります。その範囲はご高承の通り、中国本土から、中央アジア、中東、トルコを経て、バルカン半島、そして、大陸欧州を経て英国、次に中国本土から一旦南に下り、東南アジアから、バングラデシュ、インドパキスタンを経て、中東から大陸欧州、英国まで、そして、海のルート、中国本土沿岸からベンガル湾、インド洋、ペルシャ湾を経て中東、大陸欧州、英国までとなっており、中国本土が、輸入して輸出するには最適の国々がそのルートに横たわります。

 しかし、このままでは、「一旦、中国本土が資金を払い、その資金を取り戻してくるだけですから、中国本土は付加価値分程度しかメリットが無い」という状態となります。そこで、中国本土は、「世界から資金を集め、その資金も合わせて、これら開発途上国に資金供与し、その資金を中国本土の輸出や中国本土企業によるインフラ開発によって取り戻してくることによって、結果的には、世界から集めた資金を中国本土に取り戻す」という戦略を取り始めています。そして、世界から資金を集め、開発途上国にその資金を分配する機関として設立したのが、AIIBとなります。

 今年、AIIBは、S&Pなどの世界三大格付け機関から国際機関に認定され、トリプルAの格付けを取得したことから、今後はじわじわと世界から資金を調達、その資金を一帯一路構想を念頭に置きながら、開発途上国に資金分配、その上で中国本土からの輸出、中国本土企業によるインフラ開発を更に進めてくることが予想されます。

 こうした結果として、中国本土の経済的繁栄は外需によって維持される、よって、国内経済の安定成長化をカバーする先を海外の開発途上国に求めつつ、これらの国々との経済的連携を強めつつ、外交、軍事的連携も深めて行くという見事な国家戦略を策定、推進し始めていると私は見ています。日本にとっては、ある意味では、「恐るべし、中国本土」であります。(おわり)

(連載1)中国本土の「一帯一路」と「AIIB」のセット戦略化について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-14 10:21  
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 中国本土では、「習近平体制」の基盤の更なる盤石化、そして長期化の可能性が高まったと見られています。即ち、既に、「核心」の称号を受けて、中国共産党内部での地位確立に向けてしっかりと動いている習近平総書記・国家主席・中央軍事委員会委員長は、今般、北京で開催されていた中国共産党の第19回大会に於いて、自らの政策指導理念をその名も冠して織り込まれたことにより、更に盤石なものとし、また人事の動きから見て、「習体制の長期化」を予測する動きも出てきているのであります。

 こうした中、「習体制の秀逸した政策」の一つとして私が意識しているのは、「一帯一路構想とアジアインフラ投資銀行(AIIB)のセット戦略化」であると私は認識しています。中国本土の強味を、私は、「人口が多く、更に貧富の格差があることをむしろ、上手に利用していることにある」と見ており、即ち、「消費層の幅が広く人口の多い国内市場を利用して先進国から開発途上国まで、幅広く多くの国々との交易ができるようにしていること」を背景に、先ずは、特に開発途上国を中心に様々なものを輸入します。

 この際に、中国本土は対価として、「人民元」を支払っていくようにするのです。先進国では通常、現状では、国際金融社会での流動性の低い人民元決済、人民元で対価を受け取ることを嫌いますが、開発途上国では、人民元を受け取ることを受け入れるケースが出てきています。

 その背景は、「中国本土の生産する消費財の輸入が多いこと、中国本土企業に自国のインフラ開発を依頼することが増えていること」があり、その結果として、中国本土に対して資金を支払うケースが増えており、従って、その中国本土に対する支払い通貨として人民元が有効になっているからであります。(つづく)

トランプ政権内部崩壊か   
投稿者:大井 幸子 (東京都・女性・SAIL代表・-)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-13 11:07 [修正][削除]
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3409/3412
 トランプ政権が発足して以来、各省の長官は決まったものの、その手足となる部下(官僚)のポジションに空白が目立つ。これでは行政組織がスムーズに機能しないとある米国人は困惑していた。例えば、国務省(日本の外務省にあたる)では、ティラーソン国務長官以下の閣僚人事が宙に浮いている中、予算が三分の一カットされてしまい、外交交渉にも支障が出るというのだ。「ロシアゲート」の弾劾が近づくことに加えて、政権発足以来トランプ周辺では要人の多くが次々と交代し、このところは要職にある人たちが公金を私用に使うスキャンダルが多発している。つい先日、プライス厚生長官が高額なプライベートジェット機をチャーターし、税金30万ドルを使ったことで批判され、辞任することになった。

 他にも、新婚のムニューシン財務長官が政府専用機を新婚旅行で使うなど、公金を私的に使用したと批判に晒されている。彼の新妻は女優で、人気テレビドラマではマリー・アントワネットを演じていた。高級ブランド品を身にまとう彼女が自身のゴージャスな新婚旅行をSNSで報じ、これも話題になった。トランプ政権の閣僚のほとんどが上位1%に属する富豪で、自分のお金でプライベートジェットを持てるだけの資産がある。他の99%の国民から見ればトランプ政権が批判を浴びるのは当然である。しかも、トランプ減税を掲げる今、この政策が「金持ち優遇」と批判を浴びるのも必須である。

 フランス革命時には人口の3%を占める貴族が90%の富を独占していた。フランス国王は度重なる戦費で借金が膨らみ、1777年にスイスから銀行家のネッケルを呼び、スイス金融で国家財政を建て直そうとした。ネッケルは大貴族たちの「徴税請負権(国王に金を貸し、国民からその分を徴税できる利権)」を改革し、財政の透明性を確保しようとした。当然、抵抗勢力(大貴族)の大反対にあった。ネッケルは直接市民に訴える手段を取り、国の収支決算を公表し、国庫が空っぽであることを世に知らしめてしまう。この告発で重税に喘ぐ国民の怒りが爆発し、革命の引き金になった。

 米国の格差拡大はフランス革命時よりも大きく、このままでは米国の基本的な価値観(良心の自由、人種の多様性など)や、誰でも頑張れば成功できる「アメリカンドリーム」、失敗しても立ち直れる「セカンドチャンス」までが消えてしまう。そうなると米国経済を成長させてきたポジティブなダイナミズムが失われ、社会は分断されたまま、米国が米国で無くなってしまう。米国の若い世代は危機感を持ち、社会を変えたいと思っている。実際、貧困撲滅をアプリで実践するなど様々な動きを起こしている。現在進行中のAIoTや、プラットフォーム・エコノミー、そしてアプリによる社会変革の流れが、新しい米国を形成していく。スマホを掲げたミレニアル世代の動向を注目したい。

北朝鮮の対日攻撃に集団的自衛権違憲論者はどのように対応するのか   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-11 13:22 [修正][削除]
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3408/3412
 朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて、自暴自棄に陥った北朝鮮が、日本国に対して直接にミサイル攻撃を加えるのではないか、とする憶測も強ち否定はできない状況となりました。こうしたシナリオもあり得る中、集団的自衛権を違憲とする解釈を支持する人々は、どのように対応すべきと考えているのでしょうか。

 集団的自衛権を憲法違反とする人々の多くは、一先ずは個別的自衛権は認めておりますので、自衛隊のみで対処せよと、主張するかもしれません。しかしながら、この説に従えば、日本国は、北朝鮮を相手として防衛戦争を戦うこととなります。ところが、北朝鮮の主たる攻撃手段は核弾頭を搭載したミサイルですので、自衛隊が敵地攻撃能力を保持しない限り、日本列島は、一方的な核攻撃に晒されます。果たして、違憲論者は、この状況を良しとするのでしょうか。個別的自衛権のみを容認する立場からの論理的帰結は、敵地軍事施設を破壊し得るほどの自衛隊の軍備増強しかあり得ません。そして、この帰結は、中国やロシアといった諸国との間の戦争についても適用せざるを得ません。何故ならば、特に中国は日本国の主要都市に照準を合わせた核ミサイルを既に配備しているとされています。さらに、中ロが軍事同盟を組む場合には、日本国の自衛隊は、中ロ両国の軍事力に匹敵するほどの武力を一国で備えなければならないのです。となりますと、日本国は、膨大な予算を軍事費につぎ込む必要が生じてきます。

 あるいは、もう一つの方法として考えられるのが、政府による憲法の規定を越える超法規的な措置を認めることです。そしてこの超法規的措置とは、違憲論者の云う“憲法に禁じられている集団的自衛権”を行使する、即ち、日米同盟の発動のために採られることとなるのです。

 集団的自衛権違憲論は数ある憲法解釈の一つに過ぎないのですが、違憲を唱える人々は、北朝鮮問題について国民に対して具体的な対応を詳細に語るべきなのではないでしょうか。今日、日本国が防衛、並びに、安全保障上の危機を迎えている中、なおも沈黙を続けているとしたら、本心においては日本国を見殺すつもりだったのではないかと疑われても、致し方ないのではないかと思うのです。

(連載2)アフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つ理由 ← (連載1)アフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つ理由  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-11 13:17 [修正][削除]
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3407/3412
 第ニに、アフリカには北朝鮮と歴史的に深い関係にある国が多いことです。特に国連報告で取り上げられた11ヵ国の政府・与党の多くは、冷戦時代に東側陣営から支援を受けた経験をもちます。例えば、アンゴラの与党・アンゴラ解放人民運動(MPLA)、エリトリアの与党・エリトリア人民解放戦線(EPLF)、モザンビークの与党・モザンビーク解放戦線(FRELIMO)、ナミビアの与党・南西アフリカ人民機構(SWAPO)、ジンバブエの与党・ジンバブエ・アフリカ民族同盟・愛国戦線(ZANU-PF)などはいずれも、もとをただせば冷戦時代に西側が支援する政府や組織と戦火を交えたゲリラ組織で、その時期に北朝鮮を含む東側から軍事・民生の両面で援助を受けた経験をもちます。また、タンザニアの革命党(CCM)は内戦こそ経験していないものの、冷戦期に東側から援助を受けていました。冷戦期に北朝鮮は「中国の後ろにくっついて」アフリカへの進出を開始。軍事援助やインフラ整備などを通じて、各国政府との関係を築いてきました。一方、奴隷貿易や植民地化だけでなく、独立後の政治的・経済的な介入もあって、西側先進国からの投資・援助を期待しながらも、その影響力が大きくなりすぎることに警戒感をもつアフリカの国も少なくありません。北朝鮮との関係を指摘された国のほとんどは、必ずしも西側先進国と敵対的ではありません。しかし、この歴史的な関係に基づく人的ネットワークと西側からの「独立志向」は、アフリカで「違反国」が目立つ大きな背景になっているといえます。

 第三に、多くのアフリカ諸国が軍事力の強化の必要に迫られている一方、西側諸国が必ずしも軍事援助を強化していないことがあげられます。アフリカでもイスラーム過激派の台頭は目立ち、テロ事件は増加傾向にあります。アフリカを根拠地とするテロ組織がヨーロッパ方面に勢力を拡張することへの警戒感から、例えばEUは今年末までに5000万ユーロ(約6000万ドル)の資金協力を約束しており、フランスとドイツはニジェールなどに約5000人の兵員を派遣する計画です。その一方で、欧米諸国は人権侵害の目立つアフリカ諸国の軍隊に兵器を提供することに慎重です。例えば米国には、人権侵害が疑われる国に軍事援助を行うことを禁じる国内法があります。そのため、アフリカ各国にとって、相手を構わず軍事援助を提供する北朝鮮は、少なからず存在意義があるといえます。国連報告で取り上げられた11ヵ国のうち、例えば国内にISが勢力をひろげつつあるコンゴ民主共和国に関しては、北朝鮮軍が兵員の訓練や9ミリ砲の提供などを行ってきたと報告されています。これに加えて、資源開発によって経済成長が進むアフリカ各国では軍の近代化が進められており、そのなかで北朝鮮はミサイルなど国際的に取り引きが規制されている軍需品を輸出しています。モザンビークやタンザニアでは、北朝鮮のHaegeumgang Trading Corporationが対空ミサイルS-125やレーダーを納入していたといわれます。

 第四に、そして最後に、アフリカにおける中国の影響力が、これら各国が北朝鮮との関係を維持することを間接的に後押ししてきたことです。2000年代以来、中国はアフリカ進出を加速。最近ではユーラシア一帯をカバーする経済圏「一帯一路」構想にアフリカの一部も含まれており、アフリカにとっては中国が影響力を伸ばすほど西側先進国の影響力をかわしやすくなります。その中国が北朝鮮制裁に慎重な姿勢を保ってきたことは、国連制裁に率先してつき合わないアフリカの国を生みやすくしてきたといえます。さらに、アフリカで活動する中国系企業には現地の法令違反などが目立ちますが、中国政府はこれをほとんど管理できていません。8月25日、日本はナミビアで活動する中国系企業の青建を北朝鮮制裁の対象に加えましたが、中国政府による管理の限界に鑑みると、これが「氷山の一角」である可能性は大きいといえます。その場合、中国系企業の関与には北朝鮮に対するアフリカ諸国の警戒感をさらに押し下げる効果があります。

 国連報告やそれを踏まえた国際メディアの報道を受けて、「違反国」では北朝鮮との関係を見直す発言が相次いでいます。9月13日、モザンビーク政府は国連制裁への協力を約束。10月20日にはAP通信が、ウガンダ副外相が北朝鮮の軍関係者などの国外退去を発表したと報じています。多かれ少なかれ、「違反国」とみられる国には国際的な圧力がかかっており、アフリカにおいて北朝鮮がこれまで通り活動することは困難とみられます。ただし、その一方で、制裁がアフリカで十分履行されるかは不透明です。例えば、ウガンダの場合、2016年にも今回と同様、北朝鮮との軍事協力を打ち切ると発表していましたが、今回の報告書によるとその後も北朝鮮との関係は残っていたことになります。ナミビアなど、その他の国でも同様の傾向があります。アフリカに限らないことではありますが、アフリカ各国政府の場合も、公式の声明と実行との間に少なからずギャップがあります。まして、冒頭に述べたように、アフリカにとって北朝鮮問題は縁遠いものです。それらに自発的な協力を促さない限り、形式的な取り締まりでは効果が薄いことは言うまでもありません。その意味で、北朝鮮制裁をめぐる問題は、関心の乏しい者の関心をいかにしてひくかという課題を浮き彫りにしているといえるでしょう。(おわり)

(連載1)アフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つ理由  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-10 14:21  
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3406/3412
 北朝鮮によるICBM発射や水爆実験を受けて、国連安保理は9月11日にこれまでになく厳しい制裁を決議。北朝鮮の反発や、制裁の強化そのものをめぐる日米と中ロの駆け引きが目立つ一方、北朝鮮制裁は世界のめだたないところにまで影響をおよぼしています。最新の制裁決議の6日前の9月5日、国連の専門家パネルは北朝鮮制裁に関する報告書を発表。このなかでは、2006年の北朝鮮制裁の導入以来2017年8月に至るまで、10ヵ国以上のアフリカの国が制裁に違反してきたと報告されました。

 一般的に経済制裁は、「抜け道」があると効果があがりにくくなります。北朝鮮がアフリカのいくつかの国を「抜け道」にしていることは、これまでにも指摘されてきたことです。しかし、北朝鮮をめぐる制裁が加速度的に強化されているなか、このテーマはこれまで以上に重要性を帯びてきており、9月以降英語メディアで頻繁に取り上げられるようになっています。例えば10月25日、CNNは「北朝鮮のアフリカ・コネクション」と題する記事を掲載しています。なぜアフリカには「違反国」が目立つのでしょうか。また、「抜け道」を防ぐことは可能なのでしょうか。

 9月の報告では、シリアに加えてアンゴラ、コンゴ民主共和国(DRC)、エリトリア、モザンビーク、ナミビア、ウガンダ、タンザニアのアフリカの7ヵ国が国連決議に基づく武器禁輸に違反してきたと報告されています。さらに、同報告書では、各国で著名な政治家などの銅像を製作することで北朝鮮の宣伝活動を担ってきた美術製作会社、万寿台創作社が、アンゴラ、ベナン、ボツワナ、マリ、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエの7ヵ国で活動していると報告されました。重複する国もあり、合計ではアフリカ11ヵ国がリスト化されています。もちろん、アフリカのほとんどの国は制裁に協力しており、北アフリカを含むアフリカ大陸54ヵ国(モロッコがその領有権を主張し、日本が国家として承認していない西サハラを除く)のうち、「違反国」は約5分の1に過ぎません。とはいえ、地域レベルでみたとき、他の地域と比べてアフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つことは確かです。そこには、大きく4つの理由があげられます。

 第一に、アフリカでは北朝鮮に対する警戒感が総じて薄いことがあげられます。イランに対する警戒で日本とヨーロッパの間に大きな温度差があるように、北朝鮮に対する日米の警戒感が世界全体で共有されてきたわけではありません。少なくとも今年になって北朝鮮がICBM発射や水爆実験を行う以前、特にアフリカの多くの国にとって東アジアの対立は縁遠いもので、北朝鮮は必ずしも「脅威」ではありませんでした。2016年段階で北朝鮮は158ヵ国と国交がありましたが、ここには英仏などヨーロッパの大半の国とともに、全てのアフリカの国が含まれていました。さらに、2016年段階で国内に北朝鮮大使館を置く国は47ヵ国あり、アフリカの国がこのうち3分の1に近い13ヵ国にのぼります。これらは北朝鮮に対するアフリカの警戒感の薄さを示します。一方、日米との対立が続く北朝鮮にとって、多くの国と国交があることは「国際的に孤立していないこと」を強調する手段となります。その意味で、貧困国が多くとも、国連加盟国の約4分の1を占めるアフリカは、北朝鮮にとって重要な足場といえます。北朝鮮政府は10月28日、その核兵器が「北朝鮮の主権を脅かす大国」に向けられたもので、アフリカを標的にしていないとアフリカ向けの声明で発表しています。ただし、アフリカ各国からみて北朝鮮はとりわけ親しみのある国とも限りません。平壌に大使館を構える24ヵ国のうち、アフリカの国はエジプトとナイジェリアだけで、これは各国の財政事情によるものとみられます。ともあれ、多くのアフリカ諸国からみた北朝鮮は「特に重視すべき相手ではないが、とりわけ警戒すべき相手でもない」といえるでしょう。(つづく)

“全世代型社会保障”とは社会・共産主義化のことでは?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-08 10:43 [修正][削除]
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3405/3412
 今般の衆議院選挙では、少子高齢化対策として、各政党とも揃って老齢世代に重点が置かれていた予算配分を若年層に厚くする政策を打ち出していました。政府もまた、全ての世代に対する社会保障を充実させる方針のようですが、“全世代型社会保障”とは、社会・共産主義化のことではないでしょうか。

 老齢世代に社会保障が偏る主たる理由は、高齢化が、誰もが避けて通れない“リスク”であるからです。退職後にあっては、給与所得という安定的な収入源を失いますので、公的年金制度は国民の生涯を支える重要な所得リスクの管理制度と言えます。また、健康保険制度が高齢者に手厚く設計されている理由も、収入の減少に加えて身体機能が衰える高齢者ほど疾病に罹りやすい傾向にあり、健康リスクに応える必要があるからです。介護保険制度も同様ですが、社会保障制度の基本設計は、国民のリスク管理にあります。この観点からすれば、高齢者に社会保障の配分が偏るのも(もっとも、公的年金制度では保険料は国民負担…)、合理的な根拠がないわけではないのです。社会保障制度の基本的な目的がリスク管理にあるとしますと、若年層や中年層に対する制度については、高齢者ほどには包括的、かつ、一律の制度を要するのか、疑問の余地があります。何故ならば、働き盛りの現役世代であるために所得リスクや健康リスクが殆どないか、極めて低く、リスク管理の必要性が比較的低いからです。社会保障の基本設計がリスク管理であるとしますと、リスクのない、あるいは、リスクの低い世代に対しては、所得リスクや健康リスク等に直面している人々に対象を絞ってセーフティーネットを提供する手法の方が、自由主義国における保守系政権では、むしろ一般的であったとも言えます。

 その一方で、誕生から死に至るまでの国民の生涯を全面的に保障しようとする考え方は、ナショナル・ミニマムとも呼ばれ、社会・共産主義国において制度化されてきた歴史があります。社会・共産主義の社会保障制度にあってはリスク管理の意味合いは薄く、統制経済に組み込まれた配分システムとして機能してきたのです。その公的配分が、たとえ貧困レベルであったとしても。また、“揺り籠から墓場まで”と称されたように、イギリスなどの自由主義国でも、左派政権が誕生すると、同様の全世帯型の政策が実施されました。しかしながら、財政悪化、深刻なスタグフレーション、勤労意欲の低下、貧困の罠など、様々な経済的病理が観察されたため、80年代以降は、是正が試みられたのです。

 こうした社会保障制度の基本的な考え方の違いを考慮した上で、全世代型社会保障を見ますと、統制経済との関連性はありませんし、政策目的も名目上は少子高齢化対策ですが、その発想や基本設計は、リスク管理よりも国民の全面的生涯保障に大きく傾いています(社会・共産主義と新自由主義の融合?)。この現象と並行するかのように保守とリベラルとの境の曖昧化が議論されており、今日の政治状況を見ますと、むしろ、政治全般における社会・共産主義化、あるいは、新種の全体主義化が、国民には見えない水面下において秘かに進行しているのではないかと疑うのです。

米中露の立ち位置とイランと北朝鮮について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-07 15:33 [修正][削除]
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3404/3412
 核開発、ミサイル開発問題に対する国際社会の関心は強まっている。そして、米国・トランプ政権は、北朝鮮はもとよりイランに対する警戒の姿勢を崩していない。即ち、米欧などとイランが2015年に締結したイラン核合意について、トランプ政権は、米国は合意にはとどまりつつも、イランにさらに厳しい制限を科すことを目指す方針を決めたとされている。

 さて、筆者はここで、米国のトランプ政権は、同盟国・イスラエルを強く意識し、そのイスラエルが最も警戒し、また、筆者の言葉で表現すれば、ある意味、恐れている、「ペルシャ」に対する対応は、「北朝鮮以上に重要である」と考えているものと見ている。そして、そのペルシャ、即ち、今のイランに対する圧力を強化するためには、ロシアの協力は不可欠である。

 こうした中、米国・トランプ政権は、その建国の経緯からすれば旧ソ連の流れを引くロシアがその権益を改めて主張し始めた北朝鮮問題に関しては、ロシアの立場を一定程度尊重する一方で、イラン問題に関しては、その見返りに、ロシアの協力を得るとの政策姿勢を取り始めていると見る。筆者は、こうした結果として、「北朝鮮問題に関しては、即時の軍事的衝突は回避される」との見方が今は広がり、これが日本や韓国の株価上昇の前提条件となり、また、世界的な格付け機関であるフィッチの韓国に対する格付け維持、将来見通し安定的と言った見方が出たと見ている。

 尚、上述した通り、北朝鮮に対して強い権益意識を持つ旧ソ連の流れを引くロシアのプーチン大統領は、「北朝鮮問題の解決には対話が必要である。北朝鮮を追い詰めず、脅さず、罵倒を認めてはならない」との主旨のコメントを示し、軍事行動の可能性を示唆して圧力を強める米国を牽制している点も付記しておきたい。

“戦略的棄権”もあり得るのでは?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-02 18:33 [修正][削除]
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3403/3412
 参政権とは、国民の政治に参加する権利であり、選挙とは、国民がこの権利を行使する数少ない機会です。このため、投票所にて一票を投じる行為は、規範的な意味を込めて当然視されてきました。しかしながら、近年の政治状況を見ますと、“戦略的棄権”もあり得るのではないかと思うのです。

 近年、若年層を中心とした投票率の低さが問題視され、政治への関心の薄さが民主主義の危機とされてきました。政治的無関心=低い投票率であるならば、確かに、投票率を上げるために投票を訴えることには意義がありますし、民主主義を守るためにも望ましいことです。しかしながら、どの政党の公約を見ましても、支持し得る政策と全く以って合意できない政策との“抱き合わせ販売”となっており、迂闊に一票を投じますと、“公約の誠実なる実現”を口実に、合意できない後者の政策まで押し付けられる可能性があります。また、選挙区によっては、政党間の選挙協力や配慮により、支持政党が候補者を立候補させていないケースも少なくありません。こうした場合、有権者は、選択のしようがなく路頭に迷うこととなるのです。

 その一方で、“迷える有権者”に向けてか、ネット上のニューズなどでは、自らが投じる一票の死票化を避けるための“戦略的投票”などが紹介されています。支持する候補者の落選が確実な場合には、次善の策として勝ちそうな第二候補者に投じる、あるいは、落選させたい候補者の対抗馬に投じる、といった手法も、自らの一票を政治に活かす有効な手段の一つと言えましょう。しかしながら、次善策であれ、消極法であれ、マスメディアの基本的なスタンスが、“国民は、先ずは投票すべし”一辺倒であることに、まずもって、疑問を感じざるを得ないのです。

 支持すべき候補者や全幅の信頼を置く政党が存在しない場合、投票の強要は“酷”ですらあります。悪徳事業者から不当な契約書へのサインを迫られているようにも感じられながらも、悪徳商法には定められているクーリングオフといった保護制度もないのです。すなわち、悪徳政党による詐欺的選挙で、既に投票してしまった有権者に対して、“有権者保護”の制度がないのです。特に今般の選挙では自民党の圧勝が予測されており、政権選択という意味では、既に趨勢が凡そ決せられているとされております。となりますと、選挙後にあって、自民党の公約に記された望ましくない政策の実現を阻止するためには、棄権者の多さ、即ち、投票率の低さは、国民が自民党の公約を丸呑みに支持しているわけではない根拠ともなります。今日の日本国の民主主義の危機は、与野党にかかわらず、日本国の政界全体に対する国民の不信と不審にあります。政治への無関心からではなく、こうした政界の現状に対する不満、不信任、そして統治制度の改革の要求等を表す国民の手段としての、“戦略的棄権”、あるいは、“積極的棄権”も、参政権の意義において、あって然るべきではないかと思うのです。

(連載2)米国の為替操作国と中韓について ← (連載1)米国の為替操作国と中韓について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-31 10:14 [修正][削除]
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3402/3412
 こうした中、今般、米国の財務省が発表した最新の主要貿易相手国の為替政策報告書では、韓国は4月に続き、「観察対象国」(モニタリングリスト)に含まれました。韓国が懸念していた「為替操作国」への指定は回避されましたが、米国による通商圧力に引き続き直面することとなったとも言えましょう。また、米国のトランプ大統領が「貿易報復」を公言してきた中国本土も韓国と同様に「観察対象国」とされており、こうした結果、今回の報告書で「為替操作国(深層分析対象国)」に指定された国はありませんでした。尚、韓国と中国本土のほか、現在は日本、ドイツ、スイスなど5カ国が観察対象国となり、4月に
まれていた台湾は除外されています。

 そして、現在、米国は対米貿易黒字(200億米ドル超)、経常収支黒字(対GDP比3%)、為替市場介入(対GDP比で買い越しが2%超)という独自ルールの3条件を適用し、毎年4月と10月に貿易相手国を分析し、議会に報告しており、この3条件を全て満たすと為替操作国、2条件を満たせば観察対象国に分類されるとされている中での決定が上記の中韓に対する決定です。韓国は昨年4月、初めて観察対象国に分類され、トランプ政権発足後初の報告書となった今年4月を含め、4回連続で観察対象国になっています。即ち、今回の報告書では、韓国は経常収支黒字がGDPの5.7%、対米貿易黒字が220億米ドルとなっており、2条件が対象となりました。また、中国本土は3条件のうち、対米貿易黒字だけが条件に該当しましたが、黒字規模が巨額だという理由で観察対象国となっており、中国本土の対米貿易黒字は昨年7月から今年6月までで3,570億米ドルで、2位日本(690億米ドル)の5倍を超えていることが、強く意識されたようです。

 こうした状況に対して、韓国国内では、「米国が中国本土を為替操作国と指定する為、適用基準を引き下げれば、韓国も米中貿易紛争に巻き込まれるリスクがある」といった声までも聞かれるようになっています。輸出立国である韓国は確かに主要輸出先である米国に本格的に睨まれると輸出は鈍化、その結果として、経済成長も鈍化し、甚大なる悪影響を受けるリスクを感ぜざるを得ないと思います。

 しかし、中国本土は、「米国は、人民元の国際化進展を意識すれば人民元高の進展は回避したいはずである。一方、米国は貿易赤字を意識した場合、人民元高を誘導したいはずである。よって、この両面を解決する回答は見出しておらず、例え、米国が中国本土を為替操作国に認定したとしても、為替レートをいじって中国本土に圧力をかけてくることに関しては自ずと限界がある」と見ているようで、米国のひとりよがりの為替操作国指定に対しては韓国ほどの危機感は示していないものと思われます。さて、今後、如何なる展開が見られましょうや? 注目されます。(おわり)

(連載1)米国の為替操作国と中韓について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-30 19:52  
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3401/3412
 私の経験則から申し上げますと、私は、「人間は自らが強くなると、その自らの論理を他者に押し付ける傾向がある。そして、その背景には、人間の持つ、欲得が存在している場合が多い」と感じています。人間の倫理観から言えば、「強者は弱者を思う。一方、弱者は強者を頼らず自力再生する」ことが重要であると私は考えますが、実態はそうでないことが多く、それは、人間の集まりである国同士の関係の中でも見られます。即ち、「強者の論理」がまかり通りやすい世の中になっており、人間は、そうした現実の中で、「折り合いをつけながら」生きているようにも思います。

 さて、「基軸通貨」という武器を現在、背景としている米国が、その強者の立場を利用して作っている身勝手なルールの一つをご存知ですよね? 米国は、「為替操作国認定」と言う極めて身勝手な国内ルールを作っています。この為替操作国とは、米国において、外国為替相場(為替レート)を不当に操作していると認定された対象国を言います。

 これは、米国財務省が年二回、連邦議会に提出する、日本を含めた米国の主要貿易相手国を対象とした「為替報告書(Semiannual Report on International Economic and Exchange Rate Policies)」の中で、対米通商において優位な立場を取るために、介入などで為替レートを意図的に操作している(輸出に有利になるよう通貨安に誘導している)と米国が認定した国のことを指します。一般に為替操作国の認定は、米国の視点での一方的なものですが、その影響は大きく、実際に認定された場合は、二国間協議が実施されるほか、米国だけでなく各国(同様に貿易摩擦がある国)から通貨切り上げが要求されるケースも出てきます。

 しかし、「為替レートを意図的に操作している国」が対象となるのであれば、世界がよく知っている事象とすれば、例えば、「1985年のプラザ合意」などは米国が国際会議と言う場を通して、意図的に為替レートを操作した事態である訳であり、米国は、自らが為替操作をしていることを棚に上げて他国のことを責めていることになります。これも、強者の立場を利用しての行為とも言え、世界は、「現実との折り合いをつけながら」米国の顔色を見てその対応方法を考えているようにも思います。(つづく)

(連載2)核兵器禁止条約よりNPTの方が“まし”な理由 ← (連載1)核兵器禁止条約よりNPTの方が“まし”な理由  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-26 09:55 [修正][削除]
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3400/3412
 同条約の第4条は、確かに核兵器全廃に向けての措置が記されていますが、ひたすらに加盟国に対して核兵器廃棄の義務履行を求めるのみであり(IAEAとの保障措置協定の締結や国連事務総長への申告等…)、違反国の核保有によって安全保障を脅かされる他の加盟国に許される唯一の措置は、領域内に違反国が設置した核の撤去措置に留まります(第4条4)。第11条でも紛争の解決に関する条文を置いていますが、これも、平和的手段に終始しているのです。

 第4に指摘すべき点は、核兵器禁止条約の成立により、核分野における国際法が、内容の異なる二つの法が併存する状況に陥ってしまったことです。核兵器禁止条約では、核保有は如何なる国であれ“違法”と観念される一方で、NPTでは、核保有国による保有は合法的な行為となります。つまり、同一の行為であっても、概念上、一方では違法、もう一方では合法という全く異なる法的判断が成り立つこととなるのです。こうした混合状態は、一つの法域としての国際社会を引き裂く、あるいは、混乱させる要因となりますので、決して望ましいことではありません。

 今日、北朝鮮等の核保有が深刻な危機に至っていますが、核兵器禁止条約がNPTに完全に取って替る状況を想定しますと、以上に述べた諸問題により、国際社会は“お手上げ”の状態となるのではないでしょうか。核兵器禁止条約は、北朝鮮のような無法国家には無力なのです。

 このように考えますと、ICANは、核の攻撃的使用が懸念される中国やロシアに対して甘い点も含めて、どこか偽善と謀略の匂いがします。ノーベル平和賞の受賞により核兵器禁止条約が関心を集めていますが、国際社会の“治安向上”に対しては、国際法としての一般性の高いNPTの方がよほど“まし”なのではないかと思うのです。(おわり)

(連載1)核兵器禁止条約よりNPTの方が“まし”な理由  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-25 19:02  
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3399/3412
 今年のノーベル平和賞は、核兵器禁止条約の成立に向けての活動が評価され(2017年7月7日採択)、国際NGOである核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に授与されることが決定されました。しかしながら、既存のNPTと比較しますと、核兵器禁止条約には、以下のような問題点が見受けられます。

 第1の問題点は、核保有国が一国たりとも核兵器禁止条約に加盟していないという、歴然とした現実に基づきます。NPTの場合には、核保有国は、保有の特権が認められる代わりに、核不拡散の義務をも負わされています。否、仮に、非核保有国への核拡散が生じた場合には、国連の常任理事国と凡そ一致する核保有国がその責任を負わされる立場に置かれているとも言えます。一方、核兵器禁止条約には、如何なる国にも保有の特権を与えない代わりに、核拡散に対して責任を負う国も存在していません。

 第2に、第1に関連して指摘し得るのは、核兵器禁止条約は、核保有国、並びに、その核の傘の下にある諸国が参加を見送っているため、一般国際法としての要件に欠けている、あるいは、そのレベルが極めて低い点です。正当防衛をも不可能とする性質を持つような武器等の法規制は、適用の一般性、すなわち、例外無しの適用が保障されていませんと、違反国が出現した場合、逆効果となる場合が少なくありません。この問題は、アメリカの銃規制問題とも共通していますが、侵害行為が現実に起こり得る場合には、自らの身を自らで守る手段の放棄強制は、他者による自らの殺害の容認をも意味しかねないのです。

 第3に、核兵器禁止条約には、日本国憲法第9条と同類の重大な欠陥があります。それは、核兵器の開発から使用までの一切の放棄という行動規範を定めてはいても、仮にこの行動規範に反する違法行為を行う国が出現した場合については、強制排除のための有効な最終手段が全く準備されていないことです。(つづく)

(連載2)北朝鮮情勢と米中露について ← (連載1)北朝鮮情勢と米中露について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-24 10:00 [修正][削除]
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3398/3412
 そして、満州に於いて抗日パルチザン活動に部隊指揮官として参加し、第二次世界大戦後はソビエト連邦の支持の下、北朝鮮に朝鮮民主主義人民共和国を建国したことからすれば、北朝鮮のそもそもの関係国は旧ソ連であり、それは今のロシアとなります。

 しかし、ロシアの国力の低下と中国本土の国力拡大を背景に、北朝鮮は、ロシアに対する経済依存を中国本土にシフト、然し乍ら、決して中国本土の傀儡となることはせず、中露、そして米国と言う大国の狭間で生き延びてきました。むしろ、米中露のパワーゲームを巧みに利用してきたとも言えます。

 然るに昨今、米国と中国本土の軍事筋が急接近し、「金ファミリー帝国」の撲滅に対する共同戦線を張ろうとし始めたことを受け、北朝鮮は、そもそもの関係国であるロシアに助けを求め、ロシアも北朝鮮に対する権利を失うことを嫌い、その北朝鮮と呼応する形で、「北朝鮮と米国、場合によっては北朝鮮と中露」の対話の場を積極的に作ろうとする動きを示していると思われます。

 こうした中、また、米露は北朝鮮問題とイラン問題を天秤に掛け、ロシアが影響力を残したい北朝鮮問題では米国がロシアの意向を尊重、一方で、米国がイスラエルを意識しながら、警戒しているイランの問題に関連しては、米国がロシアの協力を求めると言った形で、協調する可能性もあると思われます。いずれにしても、果たして、こうしたロシアと北朝鮮の動きが上手く作動するのか否か、を私たちは今注目しなければならないと考えています。複雑な国際情勢です。(おわり)

(連載1)北朝鮮情勢と米中露について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-23 11:00  
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3397/3412
 昨今の北朝鮮情勢を巡り、国際社会では、トランプ大統領と安倍首相の国連演説を機に、一層、「対話か圧力か?」が注目されています。こうした状況にあって、韓国ではかつてより、「北風と太陽」と言うイソップ寓話のひとつが意識されてきました。

 皆様、よくご存知の通り、この寓話の教訓は、「物事に対して厳罰で臨む態度と、寛容的に対応する態度の対比を表す言葉として用いられる。そして、手っ取り早く乱暴に物事を片付けてしまおうとするよりも、ゆっくり着実に行う方が、最終的に大きな効果を得ることができる。また、冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示すことによって初めて人は自分から行動してくれる」と言った内容が包含されていると理解されています。従って、強硬な姿勢を示す北朝鮮に対しても、「融和を以って解決することが先決である」との議論が生まれ、国際社会もここまでは我慢を重ね、対話の努力をしてきたのでありましょう。

 しかし、前述したトランプ大統領と安倍首相の発言は、平たく言えば、「もう堪忍袋の緒が切れた!!北朝鮮、いい加減にしないといよいよ本気で怒るぞ!!」とかなり強烈にその意思を示したこととなります。そして、そうした内容は例えば、英語では、「President Donald Trump downplayed the possibility of a dialogue with North Korea after its latest missile test. In particular, they have sought to apply economic pressure through China, the only major ally of North Korea」と言った表現の中にも見られ、もはや対話は重要視しない、北朝鮮に対して影響力を持つ中国本土を通じて経済的な圧力を加えていくぞと言った姿勢が明確に示され、中国本土もこれに呼応するように、対北朝鮮取引の見直しに入り、例えば中核的な銀行の北朝鮮取引停止措置に出るなど、これまで以上に北朝鮮取引を限定的とし、制裁強化の姿勢を目に見える形で具現化してきています。

 これにより、米中連携はいよいよ強化され北朝鮮がコーナーに追い込まれているとの見方も出てきていました。そうした中、私が今、注目しているのはロシアです。上記の英語のコメントで北朝鮮に対する唯一のサポーターは中国本土のみであるかのように書かれていますが、私はロシアがまだ影響力を持っていると見ています。そもそも北朝鮮建国の流れを見ると、北朝鮮建国の父である金日成氏(1912年4月15日~1994年7月8日)は、もともとは朝鮮の革命家・独立運動家であり、その後、北朝鮮の政治家、軍人となった人物です。(つづく)

(連載2)選挙公約は成長戦略も教育無償も的外れ ← (連載1)選挙公約は成長戦略も教育無償も的外れ  ツリー表示
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-21 09:59 [修正][削除]
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3396/3412
 「日本が誇る自動車のトヨタも、欧米のGMやVWも危ない。自動車産業のトップは数年でグーグルにとって代わられるかもしれない」と、そのくらい急激な構造変化が起きるのだそうです。「ソフトの塊である自動運転の電気自動車が主力になる時がくる。エンジン部品が2万点もある自動車は不利になる。エンジン工場は将来、なくなる。燃費も劇的に改善する」。

 「中国はソフト産業の育成を国家プロジェクトに据え、ソフト教育に力を入れている。7つのシステム工学大学院を国家政策の中核にしている」。NHKのドクメンタリーでも先日、ゲームソフト、ドローン、フィンテック(次世代金融技術)、無人コンビニ、シェア経済(共有型経済)などの分野で、多様な企業群、製品群がすさまじい勢いで登場している様子を報告していました。こういう中から未来のグーグルが誕生していくのでしょう。

 ソフト産業の育成とそのための教育政策を組み合わせていくことです。教育無償化の是非、無償化の範囲などで各党は論争しています。そのようなことより、次世代をになう経済社会を作るために、どのような教育政策が必要なのかを論じるべきです。産業育成では、自民党の公約では、AI(人工知能)、IOT(モノのインターネット接続)、起業促進などスローガンだけは羅列されています。ソフト企業育成と起業の基本的な大切さをもっと訴えるべきです。立憲民主党の「再生可能エネルギー、省エネ技術への投資」は必要であっても、日本経済が低迷から脱出するための処方箋になりえません。

 ソフトの専門家から注目されているのは、会津大学(福島県)の試みです。コンピューター教育と英語教育を柱にした単科大学で、教員の半数は外国人、英語による論文作成、発表が義務付けられています。大学の評価ランキングでは、800校中23位まで上がっているそうです。選挙対策のために考え出した不勉強な学生、定員割れの私学支援のような教育無償化はやめるべきです。次世代の産業育成につながるように、明確な目標を立てて、教育予算を配分していくことです。(おわり)

(連載1)選挙公約は成長戦略も教育無償も的外れ  ツリー表示
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-20 14:26  
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3395/3412
 コンピューター産業に詳しい知人が、日本の経済力、産業力の将来性を嘆いています。選挙も終盤に差し掛かり、各党は選挙公約の宣伝合戦です。「どの党の成長戦略も教育政策も的が外れている。中国はすさまじい勢いでソフト産業を強化しており、米中と日本の格差は広がる一方。このままではインドにも追い越されてしまうだろう」と警告します。「今やソフト産業が産業、経済の将来性を握っている。産業政策も教育政策もそこに焦点を絞らなければならない」と、知人は警告してます。ソフト産業を具体的にいえば、米国のアップル、グーグル、マイクロソフト、フェースブックであり、サービス業を加えるとアマゾンなどです。

 世界のトップ10の企業のうち、ほとんどがソフト産業、それを駆使した金融関係が上位(株式時価総額)を占めています。かつて経済、産業力の根幹をなした製造業、資源産業のシェアは落ち続けています。上位10社の時価総額4兆6000億ドルのうちソフト産業は2兆7000億ドルを占めます。10年前は総額2兆6000億ドルに対し、ソフト産業はその10分の1程度でした。ソフト産業が経済成長をけん引するのです。

 20年前に日本の総生産額(GDP)の10分の1だった中国は、今や日本の2倍に拡大しました。20分の1だったインドが日本の2分の1まで接近しています。「ソフト産業が成長して、GDPを押し上げている。インドは英語圏で、ソフト教育や開発に有利なので、数年で日本を追い越す」。

 なぜ日本だけが過去20年も、経済成長をしていないのか。景気政策、金融財政政策に原因があるのではないでしょう。ソフトを中心として、試行錯誤の末、成長していく新規企業が次世代の産業を背負っていく展開がなかったからでしょう。(つづく)

コスモポリタンの前提は帝国主義   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-18 15:22 [修正][削除]
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3394/3412
 最近、ハーバード大学の教授が日本について語るというテーマのネット記事をよく目にします。江戸時代の再評価や品格ある国家論など、扱う内容は様々なのですが、これらの教授の“指南”には、一つの共通点が見受けられます。それは、“日本は、より開かれた国にならねばならない”というものです。いわば、現代の日本開国論なのですが、日本国は、先進国として少子高齢化、人口減少、並びに、経済低迷といった諸問題に真っ先に直面するからこそ、海外から様々な異なる文化や考え方を持った人々を受け入れ、異質なものの接触がもたらす化学反応的なダイナミズムを活用し、これらの諸問題を克服すべきと説いているのです。多様性こそ、問題解決と発展の鍵であると…。登場する凡そ全ての教授陣が画一的な見解を述べる状況に、むしろ多様性の喪失と思想の画一化を感じさせるのですが、果たして、この日本国に対するコスモポリタン化の薦めは適切なのでしょうか。

 おそらく、コスモポリタンの薦めは、日本国のみならず全世界に対するものなのでしょう。しかしながら、この主張には、一つの重大な問題点があるように思えます。それは、コスモポリタン、即ち“世界市民”とは、そもそも帝国の枠内を前提としていることです(特定の国に属さないのではなく、世界帝国に属している…)。この言葉の起源は、アレキサンダー大王による世界征服事業にあり、紀元前4世紀にギリシャから現在のアフガニスタンにまで及ぶ広大な版図を有する、多様な民族を包摂する大帝国が出現した歴史に因ります。帝国内には国境はなく、それ故に、帝国内の様々な民族や文化が混ざり合い、融合し得る状況が出現したのです。さしもの大帝国も大王の早すぎる死と共に短命に終わり、帝国も分割され、やがて消滅するに至りますが、この時誕生したコスモポリタンの概念は、思想の世界においてのみ理想郷として生き残り、今日にまで影響を残すこととなったのです。

 ところが、今日の国際社会を眺めて見ますと、そこには、国民国家体系という、古代の帝国とは全く異なる分散型の体系が成立しています。個々人は、“世界市民”=帝国市民ではなく、例外的に重国籍のケースはあるものの、各自はそれぞれ特定の国に属し、自らが国籍や市民権を有する国との間に権利・義務関係を構成しています。現実が国民国家体系にありながら、その同一の空間において帝国由来のコスモポリタン主義を実践しますと、当然に、現行の国際体系との不整合により、政治的リスクや混乱が生じます。コスモポリタンとは、今日よりも社会が複雑ではなかった時代において、一瞬しか存在しえなかった世界帝国を前提としている“あだ花”であり、地表に既に国境線が引かれている状態でのコスモポリタン化とは、社会対立や摩擦を引き起こす、あるいは、覇権主義的な諸国や勢力による移民を介した間接支配を許す事態になりかねないのです。

 このように考えますと、日本国に対する開国の薦めは、現実、並びに、付随するリスクを無視した相当に乱暴な要求と言うことになりましょう。アカデミズムやマスメディアの世界でも、国民国家体系を克服すべき“旧体制”と見做し、その破壊を奨励する見解も見受けられますが、こうした意見は、日本国を含めた自由な諸国や人々を、新たなる帝国主義者に引き渡す手引きとなるのではないかと思うのです。

(連載2)核兵器禁止の動きと韓国について ← (連載1)核兵器禁止の動きと韓国について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-17 09:54 [修正][削除]
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3393/3412
 しかし、そこに矛盾と不公平も存在していることを意識する国々は、「核兵器禁止条約(Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons)」の批准を進めています。この核兵器禁止条約は、核兵器の全廃と根絶を目的として起草された国際条約であり、「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」とも呼ばれています。この条約は、賛成123、反対38、棄権16で可決されましたが常任理事国で核保有をする安全保障理事会の拒否権を持つ常任理事国であるアメリカ、イギリス、フランス、ロシアは反対票を投じ、中国本土は棄権をしています。

 一方、なんとあの北朝鮮は、この条約には、「賛成」をしています。また、唯一の核被爆国であり、平和憲法を持つ、我が国・日本は、米国などとともに、「反対」の姿勢を示し、また、米国の傘の下にあると見られるドイツ、カナダ、オーストラリア、或いは韓国なども事実上の不参加表明をしています。現実との折り合いとは言え、「核兵器の禁止」に向けた動きを推進する動きは萎え、暴力の連鎖の可能性が残る現実であります。

 尚、核兵器禁止条約に関しては、南北朝鮮の動きが国連で見られました。即ち、軍縮を議論する国連総会第1委員会で10月6日、韓国と北朝鮮の代表が互いに激しい言葉の応酬を繰り返し、両国による非難合戦に各国大使らは顔を見合わせ、会場内が騒然となる場面もあったと報告されています。この委員会の冒頭、アルルーム議長(イラク国連大使)が核兵器禁止条約の採択に貢献し、2017年のノーベル平和賞に決まった市民団体を祝福した直後、演説した韓国の趙国連大使は、北朝鮮の核・ミサイル開発を、「核不拡散体制と国際社会の深刻な脅威だ。北朝鮮を止めなければならない」と述べ、国連安全保障理事会の一連の議の完全履行を各国に求めました。

 これに対し、北朝鮮の慈国連大使は演説で、核兵器禁止条約は、「米国を含む核保有国が承認せず、先行きに暗い影を落としている。米国が北朝鮮への核の脅しをやめないなら、核戦力強化から1インチもひるまない」と訴え、核兵器禁止条約に賛成していない米国や韓国、そして日本も意識した発言をして非難合戦が行われたとのことであります。そして、こうした中、韓国国内では、核武装の必要性を前提とした議論が、特に日本を意識しつつ、出てきています。こうした現状を見るにつけ、私は、「人類は本当に真の平和を望んでいるのであろうか?」と疑問を感ぜざるを得ません。これも、「現実との折り合いをつけようとする結果」なのでしょうか?(おわり)

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