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2009-08-17 12:04
次期戦闘機の機種選定をめぐって
木下 博生
全国中小企業情報化センター参与
アメリカのオバマ政権は、アメリカ空軍が調達を続けてきたF22型戦闘機の調達予算を来年度から打ち切ることを決め、予算継続にこだわっていた米議会の議員グループもそれを諦めたと伝えられている。F22型戦闘機は、敵のレーダーに映りにくいステルス性に富み、高い技術を組み込んだ世界最強の戦闘機だと言われる。日本の航空自衛隊は、現在使われているF15型戦闘機の後継機候補として、この高性能F22の供与をアメリカ政府に求めていたが、アメリカ側は高性能の技術を持っているが故に、この戦闘機の日本への売却に難色を示していると伝えられていた。
オバマ政権によるF22の新規調達停止にともない、生産継続がストップするのをおそれた米議会関係者の一部には、性能を若干落としてでも日本への売却を可能にしようとする動きがあったが、それも立ち消えになった。アメリカ政府は、F22以外の機種の採用を日本側に打診していると言われるが、残念ながら、私はこれについて十分な情報を持ち合わせていない。以下は、私の個人的な感想である。
オバマ大統領がF22型戦闘機の新規調達を止めた理由は分らないが、私は、調達コストが高いこともその一つではないかと推測する。もし日本がF22を導入すれば、1機あたりの価格は、三百億円を超えるのではないかと言われていた。民間旅客機ならば、ボーイングのジャンボ機で百数十億円、世界最大のエアバスA380でも二百数十億円で買えるというから、戦闘機一機が超大型旅客機一機よりも高価になるのである。いくら性能が良くても、国家予算には相当の負担になる。日本向け輸出ができるよう性能を落とすために開発コストを新たにかけたら、またコストが上がる。さらに重要なことは、日本でのライセンス生産が認められず、F22メーカーのロッキード・マーティン社から完成機を購入することになる可能性が高い点である。
それなら、アメリカとヨーロッパ諸国で共同開発しているF35型戦闘機を考えたらどうであろうか。私は、F22とF35との性能比較をする能力を持ち合わせていないので、直ちにF35で良いとは断定できないが、仮に次善の策となり得るのであれば、日本が最初からこの共同開発プロジェクトに参加しておけば良かったのではないかと考える。最近、武器輸出三原則の運用を緩和して、アメリカとだけではなく、他の友好国との間でも武器の共同開発ができるようにしようとの提案がなされているが、私は、それをもっと早くやるべきであったと思う。アメリカ向けに武器技術供与を認めようと中曾根内閣が決めたのは、1983年のことであったから、それから25年以上経ってしまっている。日本の政治、行政の動きの遅さを示す典型的な事例なのである。
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