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2012-02-10 06:50
“亀井遠心力”で「石原新党」混迷
杉浦 正章
政治評論家
「亀井が動けば、動くほど、遠心力が働く」と、たちあがれ日本の幹部がぼやいている。「亀井にしゃべれば、テレビでしゃべったのと同じで、すぐ全国的に伝わる」とも漏らす。国民新党代表・亀井静香の“信用度”が、ここにきてがた落ちとなっている。「亀井の怪情報」(都知事・石原慎太郎)に踊らされたのか、1月27日一面トップで「石原新党3月発足、亀井・平沼氏と合意 」とやった朝日新聞も、2月4日に「石原新党波乱含み、たちあがれ日本亀井氏主導に不満 」と早々と軌道を修正し始めた。まるで亀井が関与しては「石原新党」も砂上の楼閣になりかねない気配だ。それでも亀井は「新党発足は3月中。石原と橋下は既に話が付いている」とアンダーグラウンドでしきりに煽っているが、これに乗るマスコミはもはや皆無だ。新党への動きの焦点は小沢一郎が動くかどうかだが、亀井は小沢一郎が「石原新党」に「乗りたがっている」ともリークしている。しかし、小沢側近によると「小沢さんが亀井さんと最近話をしたとは聞いたことがない」と全面否定。小沢自身も「石原新党」に懐疑的で、「確定的な動きではない。不確定な部分がある」と否定的な分析をしている。9日もインターネット番組で消費増税に関して「歌を忘れたカナリアは、我々ではない。忘れた人たちが民主党を離党すればいい」と、逆に執行部のマニフェスト違反を指摘、「離党・新党」の動きを否定している。
小沢が現在感じている恐怖感は、首相・野田佳彦が消費税解散に突っ走って、小沢チルドレンを全滅させる結果を招くことにある。小沢も独自の調査をして、選挙情勢を分析しているが、結果は「民主党惨敗」と出たという。小沢にしてみれば、4月の陸山会事件での地裁判決がシロと出れば、代表選に打って出る余地が残っており、それには人数が不可欠だ。まだ一か八かの「新党」の賭に出る選択肢はないのだ。だいいち消費税大反対の小沢が、推進論者の石原と一致できるわけがないし、石原の小沢嫌いは有名だ。水と油がいっしょになれるのかということだ。民主党政調会長代行・仙谷由人が「小沢さんは、亀井さんのように極端な財政出動や金融緩和は言わない。食い違ったまま一緒になることはない」と分析しているが、その通りだろう。消費税に関して言えば、亀井は石原だけでなく、大阪市長・橋下徹とも180度方向が違う。
問題は、亀井が活用しようとしている石原の動きだが、石原は79歳という加齢もあってか、その発言が四分五裂気味だ。たちあがれ日本の会議で「皆さんに命を預けて一緒にやろうじゃないか」と、明らかに新党に前向き姿勢を示したかと思うと、その舌の根も乾かぬうちに、記者会見で「私から新党について言ったことがありますか」というのだから、手に負えない。しかし、石原の真意について政界筋は「ちょっと今は出来ないというところにある」と分析している。こうした状況の中で、たちあがれ日本代表・平沼赳夫は、8日の記者会見で「3月は都知事は都議会などで忙しいわけだから、それも勘案しながら進めていきたい」と述べ、3月の新党結成が先送りされる方向であることを認めた。たちあがれ日本幹部からは「1~2か月冷却期間を置く」と言う声が漏らされるに至った。
こうして朝日がトップで報じた「石原新党」は、「亀井遠心力」が原因で、海のものとも山のものともつかなくなってきた。問題は、行き場がなくなったが満たされない思いだけが強い政治家たちが、二大政党が激突する衆院選を前に消滅の危機感からじたばたしているところにある。亀井然り、平沼然りだ。もうそろそろ悟るべき年であることが分からないのだ。一方で維新の会は「大阪に本店を置いて、国会の支店に社員を派遣する」と大変な鼻息だが、吉幾三の唄のように「オラ東京に行くだ」まではいいが、「銀座でべこ飼うだ」になりませぬように。そもそもカリスマだけの存在である橋下が、国会議員となることに怖じ気づいているようでは、いくら塾生が1000人集まっても、烏合(うごう)の衆の集まりに過ぎない。課題の少ない地方でチヤホヤされて、落選必至の国会議員が、わらをもつかむ思いで参加しても、国を巻き込むうねりとはなるまい。
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