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2007-10-19 11:26

進学・就職に明確な目的意識を持とう

星野薫子  学生
 来る10月21日に都内で「第16回アメリカ大学留学フェア」が開催される。出展するのはアメリカ国内の大学・大学院、短期大学の約80校。アメリカでの留学を考えている日本の若者に向けてのイベントである。どんな若者が集まってくるのだろうか。
 
 私は、5年前にアメリカの高校を卒業するにあたり、大学進学を決めた頃の記憶が鮮明に蘇る。大学進学が一種の慣例である日本社会に日本人として生まれ育ったにも関わらず、「大学進学の目的や理由を明確にさせるまでは進学を認めない」という両親に思いを伝えるため、メールや国際電話でのやり取りを何度となくした。そのお陰で大学進学した頃には、大学進学のための目的、即ち「原点」がはっきりとあった。それだからだろうか、「とりあえず就職した」という19歳の日本の若者と最近知り合ったが、「とりあえず進学・就職」という発想に強い疑問を感じた。目的無くしての進学や就職は浪費になりかねない。

 アメリカの大学で知り合い、今では親友である一人にアフリカのカメルーン出身の学生がいる。彼女は大学で生物学などを学び、マラリアを始めとする伝染病撲滅の仕事に携わることを将来の夢として日々勉学に励んでいた。私が彼女からその話を聞いたのは大学4年になって親交が深まってからであり、そのときの衝撃は今でも忘れない。話してくれたときの彼女の笑顔も脳裏に焼きついている。同じ留学をしていてもこうも違うものかと大きなギャップを痛感した。彼女の中には祖国の存在が常にあり、祖国のために尽くしたいという情熱が誰よりもあった。揺ぎ無い「原点」をそこに見た。そしてカメルーン人に留まらず、地球に生まれた一個人として役に立ちたいという純粋な思いに胸を打たれた。彼女は現在、公衆衛生専門の大学院で勉強を続けている。

 日本も産官学が連携するなどして、さらなる国際人の育成に力を入れていくべきではないだろうか。国内で手軽に外国産品が手に入る環境を築いていくだけで国際人が育つわけではない。これほど米国産の品物や企業が日本に増えた今、米国の産物そのものはもはや珍しくはない。それにも関わらず、アメリカに留学しようとする若者がいるのには、そこに何か理由があるのではないかと考えざるを得ない。
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